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2022年02月03日

【新型コロナ】入院時に新たに糖尿病と診断された「隠れ糖尿病」患者は重症化リスクが高い

 国立国際医療研究センター(NCGM)は、糖尿病を合併した新型コロナ患者の臨床的な特徴を分析し発表した。研究は2021年4月~8月に同センター病院に入院した糖尿病患者62人を対象に実施したもの。

 62人のうち、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19人で、糖尿病のある感染患者の3割にあたる。うち60歳未満の男性は12人(63%)と高い割合を占めた。

 入院時に新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往や治療歴がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高く、入院初期の血糖コントロールが難しいことが示された。

新型コロナと糖尿病を合併 新たに糖尿病と診断された患者は3割

 研究は、国立国際医療研究センター(NCGM)、同センター病院の糖尿病内分泌代謝科の内原正樹氏、坊内良太郎氏らによるもの。研究結果は、アジア糖尿病学会が刊行する医学誌「Journal of Diabetes Investigation」に発表された。

 糖尿病は新型コロナの重症化リスクのひとつであり、また入院中の血糖コントロールが悪いことは新型コロナの予後不良と関連することが知られている。

 今回の研究は、日本での入院時点で新たに糖尿病と診断された患者の臨床的な特徴を明らかにしたもの。研究グループは、同センター病院で新たに糖尿病と診断された新型コロナの患者の重症度、入院後の血糖コントロール値や予後などについて調べた。

 対象となったのは、2021年4月1日~8月18日に新型コロナと診断され、同センター病院に入院した糖尿病患者62人。患者背景・重症度・血糖値の推移などのデータを集計・分析した。

 その結果、62人の糖尿病患者のうち、入院時に新たに糖尿病と診断された患者は19人(30.6%)で、糖尿病の既往がある患者は43人(69.4%)だった。新たに糖尿病と診断された患者のうち、60歳未満の男性は12人(63.2%)だった。

 新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院中に重症化する割合が高いことが分かった(52.6% vs. 20.9%、p=0.018)。

 新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の既往がある患者に比べて、入院後3日間の血糖値の平均が高く、糖尿病の初期の治療も難しかった。

糖尿病の診断契機別の入院後血糖値の推移
新たに糖尿病と診断された患者は、糖尿病の初期のコントロールが難しい
出典:国立国際医療研究センター、2022年

コロナ禍でも糖尿病の早期発見と治療介入が重要

 「今回の研究により、糖尿病を合併した新型コロナの患者のうち、入院時に新たに糖尿病と診断された患者が3割を占め、重症化リスクが高いことが明らかになりました。新型コロナの流行が続く状況でも、健康診断や人間ドックなどの受診を定期的に行い、糖尿病の早期発見や治療介入につなげることが重要です」と、研究者は述べている。

 また、「"基礎疾患なし"と自己申告する患者のなかに、一定数未診断の糖尿病患者が含まれていることが想定されます。重症化リスクの高い患者の特定のため、今後は新型コロナ診断の段階で、可能な限り血糖値やHbA1cを評価することが望ましいと考えます」としている。

3回目のブースター接種によりオミクロン株に対する中和抗体が上昇

ワクチンの3回目接種でオミクロン株に対策

 兵庫県と神戸大学の研究で、新型コロナのワクチンの2回接種は、オミクロン株以外に対しては有効であるものの、オミクロン株の感染を防ぐには不十分であることが示された。

 しかし、3回目のブースター接種により、オミクロン株に対する中和抗体が上昇することも分かった。中和抗体は、体内に侵入したウイルスを攻撃し、不活化する能力のある抗体。ウイルスを排除し、2度目の感染を防ぐための役割もになっていると考えられている。

 2022年1月以降、新型コロナの感染者は急速に増加し、第6波が到来した。感染が広がっているのは、変異株のオミクロン株が中心とみられている。しかし研究では、オミクロン株が猛威を振るう現在、ワクチンのブースター接種が感染を抑制させるカギとなることを示された。

 新型コロナワクチンのブースター接種は、現在は18歳以上で、2回目の接種から半年~8ヵ月経過した後に接種することが可能となっている。

 一方、ブースター接種は、発熱や倦怠感などの全身性の副反応の頻度が1、2回目の接種よりも増加する傾向があることも示された。「ブースター接種は、副反応の懸念はあるものの、あらゆる年代の人に推奨されると考えられます」と、研究者は述べている。

 研究グループは、2021年6月~2022年1月に、ファイザーの新型コロナワクチン(mRNAワクチン)を2回接種した医師82人を対象に、接種後約2ヵ月と7ヵ月の時点の、オミクロン株を含む新型コロナウイルス変異株に対する中和抗体を測定した。

 さらに、ブースター接種を行った72人の血清中の中和抗体を測定し、オミクロン株やデルタ株に対する年齢ごとの抗体価の推移を解析した。

 その結果、全員がオミクロン株を含めたすべての変異株に対して中和抗体を獲得していた。オミクロン株に対する中和抗体価は、ワクチン2回接種後2ヵ月および7ヵ月の時点の抗体価をはるかに超えており(それぞれ32倍および37倍上昇)、従来株やデルタ株に対しても同様の傾向がみられた。

(A) 2回目ワクチン接種7ヵ月後およびブースター接種後の中和抗体陽性率の推移
(B) ブースター接種後の中和抗体価の推移

3回目の接種(ブースター接種)を行った全員が、
オミクロン株を含めて全ての変異株に対して中和抗体を獲得した
出典:神戸大学、2022年

国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科
国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター
Impact of newly diagnosed diabetes on COVID-19 severity and hyperglycemia (Journal of Diabetes Investigation 2022年1月24日)
神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター 臨床ウイルス学
LAcquired neutralizing breadth against SARS-CoV-2 variants including Omicron after three doses of mRNA COVID-19 vaccination and the vaccine's efficacy (medRxiv 2022年1月25日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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