ニュース

2022年09月27日

【新型コロナ】糖尿病のある子供や若者のワクチン接種を推奨 小児や若年者の感染が増加 主治医と相談を

 新型コロナの感染拡大にともない、5~17歳の小児や若年者の感染者数が増加し、小児の重症例、死亡例も発生している。

 一方、新型コロナワクチンの安全性・有効性については、小児や若年者でも確認されている。副反応についても、国内の安全性データが集積され、12~17歳でのワクチンの副反応の発生率は、若年成人と同等であり、5~11歳での副反応はより軽い傾向があることが分かった。

 厚生労働省では、「基礎疾患がある子供など、とくに重症化リスクの高い方には接種をお勧めしています。かかりつけ医とよく相談しながら、接種をご検討ください」と呼びかけている。

小児や若年者のコロナ感染者数が増加 死亡例も発生

 厚生労働省は、5~11歳の子供へのワクチン接種について解説した保護者向けパンフレットを公開している。接種の効果や安全性、副反応などに関するデータを示すなど、自分の子供への接種に対する理解を促している。

 新型コロナワクチンの5~11歳を対象とした臨床試験では、糖尿病、肥満、喘息、神経疾患、心臓疾患などの基礎疾患がある子供も含めて試験が実施され、ワクチン接種の有効性が確認されている。

 また、安全性についても、評価された例数に限りがあることに留意する必要があるものの、被験者全体における結果と同様であったことが確認されている。

新型コロナ感染者は男女とも10歳未満が、10代、30代、40代と並んで多い

出典:新型コロナウイルス感染症情報(厚生労働省)

 新型コロナの感染拡大にともない、小児の感染者数が増加し、小児の重症例、死亡例も発生している懸念から、厚生労働省と国立感染症研究所は、日本小児科学会や日本救急医学会などの関係学会と協力して、新型コロナ感染後の20歳未満の死亡例について、急性期以降の死亡例も含め幅広く調査した。

 調査対象となったのは、発症日(あるいは入院日)が2022年1月1日以降の新型コロナ感染後の20歳未満の急性期の死亡例および急性期以後に死亡した症例。

 その結果、新型コロナワクチンについは、接種対象外年齢の者が48%、接種対象年齢の者が52%で、接種対象年齢では、未接種が87%、2回接種が13%となった。

 調査では、接種対象でも多くの小児の死亡例で、新型コロナワクチンは未接種だった。基礎疾患のない症例も死亡しており、ワクチン接種が必要であることが明らかになった。

 「今回の実地調査で、内因性死亡が明らかとされた小児などの死亡例で、新型コロナ感染後は、基礎疾患のある者はもちろん、基礎疾患のない者でも、症状の経過を注意深く観察することが必要であると考えられます」と、研究グループでは述べている。

5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨

糖尿病など基礎疾患のある子供や若者はとくにワクチン接種が必要

 日本小児科学会では、「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を示しており、「5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します」と明言している。

 これは、第7波による急激な感染者増にともない、5~17歳の重症化例や死亡例が増えたことを受けたもので、とくに小児での新型コロナの重症化予防に寄与することが確認されたことをふまえ、メリット(発症予防や重症化予防など)がデメリット(副反応など)を大きく上回ると判断し、健康な小児へのワクチン接種は「意義がある」という表現から、「推奨します」という表現に変更したもの。

 小児の呼吸不全例は、成人と比較して比較的まれだが、オミクロン株流行以降は、小児に特有の疾患であるクループ症候群、熱性けいれんが増加し、脳症、心筋炎などの重症例も報告されているとしている。

 当初は、オミクロン株の出現により新型コロナワクチンの発症予防効果は減弱することが懸念され、重症化予防に関する情報も少ない状況だった。その後は、世界各国からの大規模な研究成果が蓄積され、オミクロン株を含めて重症化予防効果が40~80%程度認められることが確認された。

 さらに、国内の安全性データが集積され、12~17歳でのワクチンの副反応の発生率は、若年成人と同等であり、5~11歳での副反応はより軽い傾向が確認された。

年齢にかかわらずワクチン接種 主治医と相談を

 同学会では「小児での新型コロナワクチンの安全性・有効性に関する情報が収集されつつあり、小児においてもその効果と安全性が確認されています」「新型コロナは、2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者で重症化リスクが増大することが報告されています」と述べている。

 とくに、基礎疾患のある小児について、「COVID-19重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します。基礎疾患を有する小児への新型コロナワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます」と述べている。

 ワクチンの副反応については、「若年成人と同等であり、5~11歳における副反応はより軽い傾向が確認されています」として、「心筋炎・心膜炎の発生報告が稀にあるため注意は必要ですが、発症のリスク因子(10~20歳代の男性)、接種後の症状、発症時期などが明確となり、厚生労働省からの情報提供が充実しています。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなどの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導してください」と、同学会では注意を促している。

 さらに「新型コロナワクチンを受けた日には激しい運動などは控えるなど、接種後の注意点を子供たちがよく理解できるようにしてください」としている。

公益社団法人 日本小児科学会

5~11歳の子どもへの接種(小児接種)についてのお知らせ (厚生労働省)

データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報- (厚生労働省)
新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報) (国立感染症研究所 2022年9月15日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲