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2022年12月01日

冬に新型コロナとインフルが同時流行するおそれが 糖尿病など基礎疾患のある人はワクチン接種を

 インフルエンザの季節が今年もやってきた。今年は、季節性インフルエンザと新型コロナが、同時流行する可能性が指摘されている。

 新型コロナとインフルエンザの流行を抑えるために、▼必要な場面での適切なマスクの着用、▼3密・換気対策を引き続き継続することが、引き続き呼びかけられている。

 さらに、感染と重症化を予防するための決め手となるのは、やはり予防ワクチンの接種を受けることだ。

 「新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えて、両ワクチンの接種を受けることが大切です。両ワクチンの同時接種も可能です」と、専門家は指摘している。

インフルと新型コロナが同時流行する可能性

 インフルエンザの季節が今年もやってきた。今年は、季節性インフルエンザと新型コロナが、同時流行する可能性が指摘されており、とくに注意が必要になる。

 新型コロナの感染拡大の第7波は10月に入ってからは落ち着きをみせていたが、その後は増加傾向に転じ、11月中旬には東京都の新規感染者数が1万人を超えた。第8波の感染ピークの到来が懸念されている。

 一方、インフルエンザは、まだ国内では感染が広がる兆候はみられないものの、この夏に南半球のオーストラリアで大流行し、日本ではインフルエンザウイルスに対する抗体保有率が低下していることもあり、専門家はインフルエンザ3シーズンぶりに流行の可能性を指摘している。

いったん感染が起きると大流行になるおそれが

 新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が懸念されるなか、政府は医療・研究団体、経済団体、地方自治体などとともに「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」を立ち上げ、検討を重ねてきた。

 専門家は、国内外の状況から10月の段階で「新型コロナの第8波が起きる可能性は非常に高い」と助言している。

 新型コロナは2020年と2021年のいずれも、年末から年明けにかけて流行が拡大した。ウイルスは一般的に、冬場の乾燥期に活性化する。そのうえ寒さで換気が不十分になったり、年末年始を迎えて人の動きが活発になるなど、流行が拡大しやすい条件が揃っている。

 一方、インフルエンザの患者は、世界保健機関(WHO)などによると、新型コロナが世界的に蔓延した2020年春以降大きく減少したものの、昨年11月ごろから報告数が増えている。とくに南半球のオーストラリアでは4月ごろから増加傾向が顕著になり、6月にピークを迎えた。

 日本感染症学会は、7月の段階でインフルエンザのこの冬の流行を予想して提言を発表。「過去2年間は国内で流行がなかったために、社会全体の集団免疫が低下しています。そのため、いったん感染が起きると、とくに小児を中心に社会全体として大きな流行になるおそれがあります」と注意を呼びかけている。

 欧米では2021~2022年に、インフルウイルスのタイプのうち、主として「A香港型」と呼ばれるウイルスによる流行がみられた。中国でも、今年になってA香港型が増加している。また、オーストラリアで今年度に検出されたインフルウイルスの型が判明したもののうち、約80%がA香港型だった。

 そのため同学会は、「今季は日本でもA香港型の流行が主体となる可能性があります。A香港型が流行すると、インフルによる死亡や入院が増加することが知られているので、とくに警戒が必要となります」と注意を促している。

糖尿病の治療が新型コロナへの対策にもなる

 「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」の成果をふまえて、厚生労働省は国民向けの周知用リーフレットをとりまとめ、関係団体らに啓発の協力を依頼している。

 新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスは、大きさも形も非常によく似ている。両ウイルスともいずれも直径約100nmの球状で、表面にとげのようなタンパク質があり、ヒトに感染する際はこのタンパク質がヒトの細胞の受容体と結合する。新型コロナとインフルは表面についているタンパク質の種類が違うので、対応する受容体も異なる。

 いずれも感染経路は、▼飛沫感染、▼飛沫核感染(空気感染)、▼接触感染など。症状も、▼発熱、▼咳、▼のどの痛み、▼倦怠感・頭痛などは共通しており、発症直後は自分では判断しにくい。このため同時流行が起こると、当人や家族はもちろん、医療機関にとっても厄介だ。

 糖尿病と診断されたり、治療を受けている人では、血糖値が十分にコントロールできていない場合は、感染症にかかると重症化するリスクが高いことが知られている。

 高血糖が新型コロナの重症化リスクとなっている理由としては、高血糖により免疫機能の低下がもたらされることが挙げられている。糖尿病であっても、血糖コントロールが良好であれば、感染症の重症化リスクは糖尿病でない人と同程度になるという報告もある。

 糖尿病の治療を受けている人は、食事療法や運動療法、薬物療法といった治療をしっかりと続けて血糖値のコントロールを続けることが、新型コロナやインフルエンザへの対策にもなる。血糖コントロールと、新型コロナとインフルのワクチン接種を受けることが大切だ。

新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの違い

 新型コロナウイルス感染症インフルエンザ
症状の持続期間2~3週間3~7日間
致死率0.25~3%0.1%以下
季節性今のところなしあり (1~2月がピーク)
潜伏期間1~14日 (平均5日)1~4日 (平均2日)
感染した場合の無症状率数%~60%10%
症状発熱、咳、のどの痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、息切れ、嗅覚・味覚の障害、全身のだるさなど発熱、咳、のどの痛み、倦怠感、頭痛、筋肉痛、鼻水、関節痛、下痢(子供に多い)、全身のだるさなど

新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースの公表している資料を参考にして作成

ワクチン接種が感染と重症化を予防するための決め手に

 新型コロナとインフルエンザの流行を抑えるために、感染症学会では、▼必要な場面での適切なマスクの着用、▼3密・換気対策を引き続き継続することを、引き続き呼びかけている

 さらに、感染と重症化を予防するための決め手となるのは、やはり予防ワクチンの接種を受けることだ。「コロナ・インフルの同時流行に備えて、両ワクチンの接種を受けることが大切です。両ワクチンの同時接種も可能です」と、日本感染症学会では指摘している。

 「コロナワクチンとして、オミクロンBA.1、オミクロンBA.4、5対応の2種類(2価ワクチン)も利用可能となっています。従来のワクチンに比べて2価ワクチンの高い有効性が推定されています」としている。

 さらに、新型コロナとインフルのどちらも、診療の原則は対面診療となるが、重症化リスクに応じた対応が必要としている。

 新型コロナとインフルが同時流行した場合、「外来診療のひっ迫が想定されるときは、医療機関への受診は重症化リスクの高い人(高齢者、基礎疾患のある人、妊婦、小学生以下の小児)を優先する必要があります。重症化リスクの低い人には、新型コロナ検査キットによる自己検査を推奨し、自宅療養へ誘導します」としている。

重症化リスクの高い方(高齢者・基礎疾患を有する方・妊婦)、小学生以下の子どもと保護者の方

発熱などの症状がある場合の対応

 発熱などの症状のある人は、▼まずは電話でかかりつけ医に相談する、▼かかりつけ医がいない場合やどこに相談してよいか分からない場合は、自治体の発熱相談センターなどに電話で相談する、▼医療機関に電話で相談した結果、受診の必要がある場合には、医療機関の指示に従って受診する。感染を広げないために、マスクを着用し、公共交通機関の利用を避けるなど、感染対策をしたうえで受診することが大切。

 なお、自治体が指定した医療機関以外にも、発熱患者が受診できる医療機関はあるので、まずはかかりつけ医などに電話で相談することが勧められている。

 また、インフルについては電話・オンライン診療を活用する方法もある。オンライン診療では、対面診療に比べて得られる情報は限定され、判断に迷う場合や重症化を否定できない場合には、受診が必要となることがあるものの、オンライン診療でも、対症療法としての解熱剤、鎮咳剤に加えて、インフルの可能性が高いと判断される場合には抗インフル薬の処方も可能となっている。

 感染症学会では、「今季は、発熱された患者さんでは、ワクチン接種歴に関わらず、新型コロナとインフルエンザを見分けることが重要となります。また両者が合併して重症になる場合もあります。したがって、発熱者では両方のウイルスに対する検査が必要となることがありますので、とくに基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人は、症状のある場合は医療機関の受診をお勧めします」としている。

感染拡大防止へのご協力をお願いします

この冬は、ワクチン接種・新型コロナ抗原定性検査キット・解熱鎮痛薬の準備を

新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応 (厚生労働省)
新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース (厚生労働省)
新型コロナウイルス・季節性インフルエンザの同時流行に備えた対応 (厚生労働省)
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えたリーフレットについて (周知のお願い) (厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部)

一般社団法人 日本感染症学会 インフルエンザ情報
新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース (厚生労働省)
新型インフルエンザ治療ガイドライン・手引きなど (厚生労働省)
新型インフルエンザ等対策 (日本医師会)
Flu and Pneumonia Shots (米国糖尿病学会)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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