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2025年02月04日

世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤 注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤である「アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位」 (一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え))を、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、1月30日に発売した。

 アウィクリ注は世界初の、半減期が約1週間であり作用が長時間持続する週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液。

 週1回皮下注射製剤であるため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減によっても生活の質(QOL)や治療実施率の向上が期待されるとしている。

注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減

 ノボ ノルディスク ファーマは、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤である「アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位」 (一般名:インスリン イコデク(遺伝子組換え))を、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、1月30日に発売した。

 アウィクリ注は世界初の、半減期が約1週間であり作用が長時間持続する週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液。

 皮下投与後、インスリン イコデクは可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたって持続する。

 基礎インスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となるが、アウィクリ注は週1回皮下注射製剤であるため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高いだけでなく、患者の心理的な治療負担の軽減によっても生活の質(QOL)や治療実施率の向上が期待されるとしている。

アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位

 同剤の承認は、アウィクリ注の第3相試験プログラムであるONWARDS試験の結果にもとづいている。

 ONWARDS試験は、1型糖尿病あるいは2型糖尿病の成人患者4,000例以上を対象とした6つのグローバル第3相臨床試験で構成され、うち4つの試験(ONWARDS 1、2、4、6)に日本人400例以上が参加している。

 ONWARDS試験はいずれも、アウィクリ注の有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。

 ONWARDS試験を通じて、週1回投与のアウィクリ注では、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較して非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験で、アウィクリ注の投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかったとしている。

 「インスリン治療を必要とする糖尿病のある人にとって、良好な血糖マネジメントを維持するためにこれまでの基礎インスリンでは毎日注射を行う必要があり、日常生活を送るうえで大きな負担となっていました。その結果、注射実施率の低下やインスリン導入の遅れにつながっていました。週1回の投与であれば、基礎インスリン製剤の注射回数が減り、心理的な治療の負担軽減や注射実施率の向上が期待できます」と、同社では述べている。

インスリン療法は進歩している

 インスリン療法は進歩しており、糖尿病患者の負担を減らすため、インスリン製剤や注入器などの医療機器は、より望ましいものへと改善が重ねられている。

 一方で、患者によっては頻回のインスリン注射は負担になり、注射回数の少ないインスリン製剤が望ましいという声も聞かれる。

 1月30日に都内で開催されたプレスセミナー「これからの2型糖尿病におけるインスリン治療」では、インスリン治療を阻む要因について調査の結果が紹介された。

 インスリン治療に対して、「毎日の注射の回数が患者の障害になっている」「注射回数の選択肢に不満がある」「毎日注射しなくても良好にコントロールできるインスリンが欲しい」といった認識をしている医師が多いことが示された。

 調査は、中国、フランス、日本、ドイツ、スペイン、トルコ、英国、米国の糖尿病患者を診療する医師 1,250人と、インスリン治療を行っている患者 1,530人を対象に行われたもの。インスリン注射の中断・不履行の頻度とその理由、インスリン治療への不満や考え方、インスリン治療の生活への影響などについて横断的に調査された。

 当日は、順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学の綿田裕孝教授が、「これからの2型糖尿病におけるインスリン治療」と題して講演を行った。

 週1回投与製剤に対する患者の認識として、「高い利便性」「服薬遵守率の向上」「健康関連QOLの改善」「治療への抵抗感の軽減」などが紹介された。

アウィクリ注 フレックスタッチ 総量300単位 (患者向医薬品ガイド 添付文書など) (医薬品医療機器総合機構)

Insulin adherence behaviours and barriers in the multinational Global Attitudes of Patients and Physicians in Insulin Therapy study (Diabetic Medicine 2012年2月7日)
Rationale and design of the phase 3a development programme (ONWARDS 1-6 trials) investigating once-weekly insulin icodec in diabetes (Diabetes, Obesity and Metabolism 2022年9月15日)
Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin (New England Journal of Medicine 2023年6月24日)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin degludec in individuals with basal insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 2): a phase 3a, randomised, open label, multicentre, treat-to-target trial (Lancet Diabetes and Endocrinology 2023年6月)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin glargine U100 in individuals with basal-bolus insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 4): a phase 3a, randomised, open-label, multicentre, treat-to-target, non-inferiority trial (Lancet 2023年6月10日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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