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2026年01月16日
「糖尿病が強く疑われる人」は推計1,100万人―「国民健康・栄養調査」
厚生労働省は2025年12月、2024年に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表した。4年に1度の拡大調査となった今回は、全国平均にとどまらず、都道府県ごとの健康状態や生活習慣の違いが詳しくまとめられているのが特徴。
調査結果からは、糖尿病が強く疑われる人が推計1,100万人に達した現状や、働き盛り世代が治療を継続する上での課題、そして食生活や運動習慣の理想と現実の隔たりが浮かび上がっている。
日本の成人の10人に1人が「糖尿病が強く疑われる」現状
今回の調査において、糖尿病が強く疑われる人は全国で約1,100万人と推計された。これは日本の成人のおよそ10人に1人(男性17.7%、女性9.3%)に相当する数字であり、1997年(平成9年)の調査開始以来、増加傾向が続いている。特に60歳代以上の層でその割合が高い状況である。
「糖尿病が強く疑われる人」とは、検査でヘモグロビンA1c(HbA1c)の値が6.5%以上であったか、あるいはすでに糖尿病の治療を受けている人を指す。国が掲げる目標(健康日本21・第三次)ではこの人数を2032年までに「1,350万人以内」に抑制することを目指しており、現状の1,100万人はこの目標枠内にはあるものの、1997年の調査では約690万人であり、右肩上がりの勢いが止まっていないことや高齢化が進むことをふまえると、決して楽観視できない。
一方で、予備群に相当する「糖尿病の可能性を否定できない人」(HbA1c値が6.0%以上、6.5%未満の人)は約700万人であり、ピーク時(約1,320万人)から減少が続いている。糖尿病が強く疑われる人が増え続ける中で、この予備群の減少をどう捉えるかは今後のさらなる分析が待たれるところ。
出典:「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」P.13(厚生労働省、2025年12月 2日)
30〜40代の働き盛り世代にみられる「治療の空白」
糖尿病対策において現在、大きな課題として浮かび上がっているのが治療状況だ。糖尿病を指摘されたことがある人のうち、現在治療を受けている人の割合は67.4%にとどまっている。
特に懸念されるのが、30~40代の働き盛り世代。この年代では治療を受けていない人(未受診・治療の中断)の割合が他の世代より高く、男性の30代で約56%、40代で約66%、女性の30代で約94%、40代で約80%が治療を受けていないという結果が出ている※。仕事や育児に忙しい時期ではあるが、糖尿病は自覚症状が乏しいまま進行するケースも少なくない。将来の合併症を防ぎ、有病者の重症化を抑えるためにも、早期の受診と治療の継続が極めて重要となる。
※ただし、30〜40代は母数(糖尿病を指摘された人の数)が少ないため、数値がブレやすい点には留意が必要
出典:「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」P.14(厚生労働省、2025年12月2日)
肥満だけでなく「低栄養」にも注意を
体格(BMI)に関しては、性別や世代によって抱える課題が異なることが鮮明となった。
適正体重を維持している人の割合は60.7%、肥満(BMI25以上)の該当者は25.3%。肥満の該当者を年代・性別でみると、20~64歳の男性では34.2%、65歳以上男性で30.2%、20~64歳の女性では17.0%、65歳以上女性で22.0%を占めている。
一方で見過ごせないのが、「やせ」や「低栄養」の問題である。20~30代女性では16.6%が「やせ(BMI18.5未満)」の状態にある。
さらに、65歳以上の高齢者では19.5%が低栄養傾向(BMI20以下)に該当しており、高齢期における健康リスクとして顕在化している(20歳以上の男女総数では14%)。
糖尿病の管理において肥満の解消は重要であるが、やせ過ぎにも注意が必要。特に高齢の患者においては、過度な体重減少がフレイル(虚弱)を招き、結果として糖尿病の適切な管理を妨げることにもなりかねない。ライフステージに合わせ、適切な栄養を摂りながら体重と筋肉量を維持する意識を持つことが、健やかな生活を送るための鍵となる。
食塩摂取量は過去最低を記録するも、国の目標値には未だ届かず
糖尿病の管理や予防に関わりの深い日々の食事についても、現状が詳しく報告されている。
- 食塩摂取量:平均9.6g(男性10.5g、女性8.9g)で、この12年間で最も低い値となった。しかし、国の目標値である7gとはまだ隔たりがある。
- 野菜摂取量:平均258.7gで、目標の350gに対して約90g不足。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上摂る人の割合も52.8%にとどまり、特に20~30代で低い傾向がみられた。
- 果物摂取量:平均78.1gで、目標200gの4割程度にとどまっている。
- 運動習慣:習慣的に運動を行っている人の割合は34.6%と低調。また、1日の歩数の平均値は7,071歩(男性7,763歩、女性6,495歩)であり、国が目標とする7,100歩にわずかに届かなかった。
食事による血糖管理はもちろん、日常生活での活動量を維持することは糖尿病治療の大きな柱である。体を動かす習慣がないという人は、まずは無理のない範囲から着実に生活へ取り入れていくことを心がけたいところだ。
喫煙、飲酒のリスク管理も依然として重要
現在、習慣的に喫煙している人の割合は14.8%(男性24.5%、女性6.5%)となり、2022年(令和4年)と並んで過去最低水準となった。ただ、40~50代の男性では依然として3割を超えている。
また、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒(純アルコール摂取量で、男性40g/日以上、女性20g/日以上)をしている人は11.4%(男性13.9%、女性9.3%)であった。年代でみると特に60代男性(21.6%)や50代女性(18.4%)で高い割合を示している。
たばこやお酒は、血糖管理や血管の健康にもかかわるため改めて注意が必要だ。
出典:「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」P.22(厚生労働省、2025年12月2日)
健康の地域差も明らかに
今回の調査では、体格(BMI)や野菜摂取量、食塩摂取量、歩数、喫煙率(男性)の5項目について、地域差が明らかになっている。個人の意識だけでなく、その地域に根付いた食文化や交通インフラ、気候、社会文化的背景が健康状態に影響を与えていることは従来から指摘されてきたが、今回の調査では、その傾向がデータとしてより明確に示された。
現在、糖尿病と向き合っている方や予備群の方は、決して「自分だけの責任」と考えすぎないでほしい。住んでいる地域の特性を知ったうえで改善可能なポイントを見つけ、利用できるサービスや環境を上手に活用することも健康を守るための一つの知恵である。今回の調査結果は、個人が健康づくりに励むのと同時に、社会全体で健康を支える環境を整えていく必要性を改めて伝えるものとなっている。
■参考
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