ニュース

2025年04月15日

「チョコレート」が糖尿病リスクを減少 チョコをより健康的でおいしい食品にする方法

 ダークチョコレートをよく食べている人ほど、2型糖尿病の発症リスクが低いことが、20万人近くの成人を30年以上追跡した調査で明らかになった。

 チョコレートを作るのに使われるカカオ豆には、フラバノールと呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれている。ダークチョコレートには、糖質や脂肪などがあまり加えられておらず、フラバノールは多く含まれる。

 ダークチョコレートに、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内の善玉菌や、その増殖や整腸を促す食物繊維やオリゴ糖などを組み合わせると、より高い健康効果を期待できるという研究も発表された。

ダークチョコレートは健康的な食品 普通のチョコとどこが違う?

 ダークチョコレートをよく食べている人ほど、2型糖尿病の発症リスクが低いことが、という調査結果を、米ハーバード公衆衛生大学院が発表した。研究成果は、「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」に発表された。

 ダークチョコレートは、糖質や脂肪などがあまり加えられていないチョコレートで、カカオの含有率は50~90%と高い。これに対して、ミルクチョコレートのカカオの含有率は10​​~50%で、砂糖や乳製品などが加えられてあり、味を甘くしてマイルドにしてある。

 米クリーブランドクリニックによると、チョコレートを作るのに使われるカカオ豆には、フラバノールと呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれている。フラバノールは、血流を改善する働きや、抗酸化作用があるとみられている。

 ダークチョコレートは、ミルクチョコレートに比べて、フラバノールを含むカカオ固形分が2~3倍含まれているという。

 ダークチョコレートには、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅、リンなどのミネラルや、食物繊維も含まれる。

チョコレートを食べている人は糖尿病リスクが最大で21%低下

 「市販されているチョコレートは、すべてが同じように作られているわけではありません。今回の研究では、チョコレートのなかでもダークチョコレートは、健康に好ましい影響を与える可能性があることが示されました」と、ハーバード公衆衛生大学院栄養学部のビンカイ リウ氏は言う。

 研究グループは、「看護師健康研究」(NHS)、「看護師健康研究II」(NHS II)、「医療従事者追跡研究」(HPFS)という3件の大規模コホートに参加した、19万2,208人の成人を30年以上追跡したデータを用いて、チョコレートの摂取頻度や種類と、糖尿病リスクとの関連を調べた。

 その結果、週に140g以上のチョコレートを食べていた人は、まったく食べなかった人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが10%低いことが分かった。板チョコの半分が、およそ25gに相当する。

 とくにダークチョコレートを食べていた人は、2型糖尿病のリスクが低かった。ダークチョコレートを食べていた人は、糖尿病リスクが21%低下した。ダークチョコレートを週に1回食べるごとに、糖尿病リスクは3%減少する計算になるという。

糖質や脂肪が加えられていないチョコがおすすめ

 一方、ミルクチョコレートについては、2型糖尿病のリスク低下との関連はみられなかった。むしろ糖質や脂質の多いミルクチョコレートを食べる量が増えると、ダークチョコレートとは異なり、長期的に体重の増加が起こりやすいことが示された。

 「ダークチョコレートとミルクチョコレートに含まれるカロリーと飽和脂肪酸の量は同じくらいですが、ダークチョコレートは糖質などが加えられておらず、ポリフェノールがより多く含まれます」と、同大学院栄養・疫学部のチー サン氏は指摘する。

 「さらに調査する必要がありますが、チョコレートが好きな人は、ミルクチョコレートではなく、カカオが多く含まれるダークチョコレートを選ぶと、健康に良い影響があらわれる可能性があります」としている。

チョコレートをより健康的でおいしい食品にする方法を開発

 米国化学会(ACS)が発表した別の最新の研究では、チョコレートに「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」を組み合わせると、より高い健康効果を期待できることが示された。

 プロバイオティクスとは、「適量を摂取すると、有用な効果を得られる、細菌などの生きた微生物」のこと。

 乳酸菌やビフィズス菌などが含まれるヨーグルトや、納豆・漬物・キムチなどの発酵食品などがプロバイオティクスだ。

 また、プレバイオティクスは、「食品に含まれる、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内の善玉菌を増やしたり、整腸作用があるなど、健康に有益な働きをする難消化性の成分」のこと。食物繊維やオリゴ糖などがある。

 インドのジェイピー情報技術研究所(JIIT)などの研究グループは今回、チョコレートと整腸作用や感染予防などの作用があるとされるアシドフィルス菌やラクトバチルス菌を組み合わせたり、食物繊維やオリゴ糖、オレンジの成分などのプレバイオティクスを加える実験を行った。

 「チョコレートにプロバイオティクスやプレバイオティクスを組み合わせると、さらに健康的でおいしい食品になる可能性があります」と、同研究所バイオテクノロジー部のスムリティ ガウル氏は言う。

 「チョコレートにシナモンやオレンジなどのフレーバーを添加する実験も行いましたが、とくにオレンジのフレーバーは、鮮やかな柑橘系の香りが濃厚なココアとマッチして、食感もやわらかくなり、お勧めできます。今後もチョコレートのさらなる健康効果を探りたいと考えています」としている。

Dark Chocolate Health Benefits (クリーブランドクリニック 2022年3月10日)
Eating dark chocolate linked with reduced risk of type 2 diabetes (ハーバード公衆衛生大学院 2024年12月6日)
Chocolate intake and risk of type 2 diabetes: prospective cohort studies (ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2024年12月4日)
Chocolate - with potential health benefits (米国化学会 2025年3月13日)
Novel Formulations of Cinnamon- and Orange-Flavored Synbiotic Corn Chocolates with Enhanced Functional Properties and Probiotic Survival Rates (ACS Food Science & Technology 2025年2月21日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲