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2025年01月10日
早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
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- 糖尿病と肥満 糖尿病の検査(HbA1c 他) 食事療法
食事は、なるべく早い時間に食べるようにすると、糖尿病リスクが減少するという研究が発表された。
朝食を午前8時前に食べている人は、午前9時以降に食べている人に比べて、2型糖尿病のリスクが低いことが分かった。
食事のタイミングを1日の早い時間に変え、朝食を早い時間に食べて、夜遅くには食べないようにすると、体重の増加が少なくなることも確かめられた。
遅い時間に高カロリーの食事をとる習慣があると、血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病リスクが上昇することが、新たな研究で明らかになった。
朝食を早い時間にとると糖尿病リスクが減少
朝食は、なるべく朝の早い時間に食べるようにすると、糖尿病リスクが減少するという研究を、スペインのバルセロナ国際保健研究所(ISGlobal)が発表した。
朝食を午前9時以降に食べている人は、午前8時前に食べている人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが59%増加することが示された。
これはフランスのコホート研究に参加した10万3,312人の成人を平均7年間追跡して調査したもの。糖尿病リスクを軽減するために、「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」も重要であることが示された。
「食事のタイミングという要素は、見落とされがちですが、実は重要であることが、今回の研究で示されました。時間栄養学という分野は注目されています」と、同研究所で公衆衛生学や健康教育を研究しているアンナ パロマ クロス氏は言う。
1日の最初の食事である朝食を午前8時までにとり、最後の食事である夕食を午後7時までにとると、2型糖尿病の管理を改善するのに役立つ可能性があるとしている。
食事のタイミングを早い時間に変えると体重が増えにくくなる
同研究所の発表した新しい研究では、食事のタイミングを1日の早い時間に変え、朝食を早い時間に食べて、夜遅くには食べないようにすると、体重の増加が少なくなることも確かめられた。
これはスペインのコホート研究に参加した7,074人の成人を平均5年間追跡して調査したもの。肥満や糖尿病のリスクを減らすために、1日の早めの時間に食事をとるようにして、空腹でいる時間を長くすると効果的としている。
ヒトの体には、ほぼ1日の周期で体内環境を調整する「体内時計」の機能がそなわっており、それがホルモンの分泌や代謝、睡眠リズムといった概日リズムを調整している。
「食事を朝型にすると、概日リズムが整いやすくなり、体のカロリーの燃焼と食欲の調節が促され、健康的な体重を維持するのに役立つと考えられます」と、スペインのポンペウ ファブラ大学のルシアナ ポンズ ムッツォ氏は言う。
「食事をとるタイミングが夜型になっていたり、不規則である人は、概日リズムが乱れやすいおそれがあります」としている。
体の概日リズムの異常は、睡眠やホルモン分泌などに障害を引き起こし、2型糖尿病や肥満などのリスクを高めるとしている。
2型糖尿病のある人や、糖尿病リスクの高い予備群は、遅い時間に高カロリーの食事をとる習慣があると、血糖値が上昇しやすくなることが、スペインのカタルーニャ オベルタ大学などの新しい研究で明らかになった。
1日の摂取カロリーの45%以上を午後5時以降に摂取していると、糖代謝に悪い影響があらわれ、血糖値が上昇しやすくなり、健康に有害な影響があらわれるという。
「これまで、夕食を遅い時間に食べる習慣があると、体重が増加しやすいのは、空腹感と満腹感を調節するホルモンの分泌に好ましくない影響があらわれ、夜に高カロリーの超加工食品を食べたくなったり、食品の選択が悪くなるからだと考えられていました」と、同大学健康科学部のダイアナ ディアス リッツォロ教授は言う。
「今回の研究で、食事をとるタイミングは、1日に摂取するカロリーや体重・体脂肪に関係なく、糖代謝に影響することが示されました」。
「遅い時間に食事をとっている人は、体重や食事内容に関係なく、血糖値を正常に保つための体のブドウ糖の処理能力である耐糖能が悪い傾向があることが分かりました」としている。
研究グループは、過体重あるいは肥満があり、2型糖尿病がある、あるいは糖尿病予備群と判定された50~70歳の26人の成人を、(1) 食事スタイルが朝型(夕方までに1日の摂取カロリーのほとんどをとっている)のグループと、(2) 食事スタイルが夜型(午後5時以降に摂取カロリーの45%以上をとっている)のグループに分け、耐糖能レベルを比較した。
その結果、食事が夜型の人は、体重や食事内容に関係なく耐糖能が低く、さらに夜中に糖質や脂肪が多く含まれる食品を食べたくなる傾向があることが示された。
「さらに研究が必要ですが、1日の食事でとるカロリーの大部分を、なるべく早い時間にとるのが、糖尿病リスクを減らすために効果的である可能性があります。カロリーの多い食品は、夕食ではなく、朝食や昼食でとることが勧められます」としている。
An Early Breakfast May Reduce the Risk of Developing type 2 Diabetes (バルセロナ国際保健研究所 2023年7月18日)
Associations of meal timing, number of eating occasions and night-time fasting duration with incidence of type 2 diabetes in the NutriNet-Santé cohort (International Journal of Epidemiology 2023年6月16日)
Keeping a Longer Overnight Fast and Eating an Early Breakfast May Be Associated with a Lower Body Mass Index (バルセロナ国際保健研究所 2024年10月1日)
Sex-specific chrono-nutritional patterns and association with body weight in a general population in Spain (GCAT study) (International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 2024年9月12日)
The time of day when we eat is crucial for our health (カタルーニャ オベルタ大学 2024年11月19日)
Late eating is associated with poor glucose tolerance, independent of body weight, fat mass, energy intake and diet composition in prediabetes or early onset type 2 diabetes (Nutrition & Diabetes volume 2024年10月25日)
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