ニュース

2025年03月12日

朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防

 朝食をしっかりとることは、夕食でたくさん食べるよりも、肥満や糖尿病を改善するのに効果的という研究が発表された。

 2型糖尿病のある人は、夕食よりも朝食にカロリーを多く配分すると、血糖管理が改善しやすいことも確かめられている。

 朝食をぬくのが習慣になり、不活動な生活をしていると、内臓脂肪が蓄積しやすいことが、新しい研究で明らかになった。

朝食をしっかりとると肥満や糖尿病のリスクが低下

 朝食をしっかりとることは、夕食でたくさん食べるよりも、肥満や2型糖尿病を予防・改善するのに効果的という研究を、国際内分泌学会が発表している。

 「毎日の食事で、朝食を適切にとることは価値が高いことが分かりました」と、ドイツのリューベック大学の脳・行動・代謝センターのジュリアン リヒター氏は言う。

 「含まれるカロリー量に関係なく、朝食は夕食に比べ、体の食事誘発性熱産生が2倍以上高いことが示されました」としている。

 「食事誘発性熱産生」とは、食事をとったときの栄養の消化・吸収により生じる代謝にともなうエネルギー消費のこと。体の代謝がどれだけ良く機能しているかを知るための指標になる。

 しっかりした朝食をとると、食事による血糖値とインスリン値の上昇が抑えられ、1日を通して高カロリーの甘い食品に対する欲求が少ない傾向もみられたという。

 研究グループは、16人の男性を対象に日を変えて、低カロリーの朝食と高カロリーの夕食と、高カロリーの朝食と低カロリーの夕食をとってもらい、それぞれの場合の食事誘発性熱産生などを比較した。

 「体重を減らし、肥満や糖尿病などの代謝性疾患を予防するために、夕食でたくさん食べるよりも、朝食をしっかりとることをお勧めします」と、リヒター氏は述べている。

朝食にカロリーを多く配分すると血糖管理が改善しやすい

 2型糖尿病のある人は、夕食よりも朝食にカロリーを多く配分すると、血糖管理が改善しやすいことは、イスラエルのテルアビブ大学などによる別の研究でも示されている。

 研究グループは、2型糖尿病と診断されてから10年未満の、30〜70歳の男女18人を対象に、1日の食事で、朝食のカロリーの比重を高めた食事パターンと、夕食のカロリーの比重を高めた食事パターンをそれぞれとってもらい、血糖の変化などを比べた。

 その結果、1日の食事でとるカロリーは同じであっても、朝食のカロリーの比重が高いと、食後の高血糖が20%少なく、血糖値を下げるインスリンや、小腸から分泌されインスリン分泌を促すホルモンであるGLP-1の値なども高いことなどが示された。

 「1日の3食の食事のハラランスが、血糖管理に大きく影響することが示されました」と、同大学医療センターのダニエラ ヤクボヴィッツ教授は言う。

 「体には、24時間周期で生物学的プロセスを調整する体内時計が備わっており、代謝にも影響しています。生体リズムに合わせて、食事をとる時間帯を調整することで、代謝の健康を高められる可能性があります」としている。

 これまでの研究でも、糖尿病の人が朝食を抜くのを習慣にすると、1日を通して血糖値が上昇しやすくなり、過去1~2ヵ月の血糖値の平均をあらわすHbA1cも高くなりやすいことなどが示されている。

 「食事を調整することで、代謝コントロールを最適化し、2型糖尿病の合併症を予防できる可能性があります」と、ヤクボヴィッツ教授は指摘している。

朝食をぬく習慣があり不活動だと"お腹ポッコリ"の肥満に
 農林水産省の調査によると、朝食を習慣的に食べない朝食欠食は、とくに若い世代で多くみられる。ダイエット目的で、積極的に食べない人もいる。

 朝食をぬくのが習慣になり、不活動な生活をしていると、内臓脂肪が蓄積しやすいことが、名古屋大学の新しい研究で示された。

 中年男性に多い"お腹ポッコリ"の肥満は、朝食をバランス良くしっかり食べる規則正しい食生活と、活動的な生活により予防できる可能性がある。

 研究グループは、活動量の少ない不活動症候群モデルのラットを用いた実験を行い、朝食欠食をさせたところ、体重増加はみられなかったものの、内蔵脂肪だけがとくに蓄積することを確かめた。

 朝食欠食をすることで、体内時計が乱れて、体温上昇のリズムが遅れ、肝臓や脂肪組織の脂質代謝関連遺伝子のリズムも遅れ、脂質代謝が乱れて、内臓脂肪の蓄積が起こることも分かった。

 研究は、名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭教授らを中心とする研究グループによるもの。

 研究グループはこれまでも、朝食欠食をすることにより、体重が増えたり、筋肉が減ることを、実験動物により明らかにしている。

[朝食欠食+生活不活動]により内臓に脂肪がたまりやすくなる

出典:名古屋大学、2025年

People who eat a big breakfast may burn twice as many calories (内分泌学会 2020年2月19日)
Twice as High Diet-Induced Thermogenesis After Breakfast vs Dinner On High-Calorie as Well as Low-Calorie Meals (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2020年2月19日)
High-energy breakfast with low-energy dinner helps control blood sugar in people with type 2 diabetes (Diabetologia 2015年2月24日)
High-energy breakfast with low-energy dinner decreases overall daily hyperglycaemia in type 2 diabetic patients: a randomised clinical trial (Diabetologia 2015年3月1日)
名古屋大学大学院生命農学研究科
Physical inactivity and breakfast skipping caused visceral fat accumulation in rats (Scientific Reports 2024年9月30日)

食育に関する意識調査 (農林水産省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲