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2025年03月05日

糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に

 ブロッコリーは、糖尿病の食事療法にも役立てたい野菜だ。

 ブロッコリーに含まれるスルフォラファンが、血糖値を改善するのにも有用であることが、新しい研究で明らかになった。

 ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜を食べると、血圧を下げるのに効果的という研究も発表された。

 「アブラナ科の野菜は、野菜のなかでは比較的、消費量の少ないグループに含まれます。ブロッコリーやキャベツ、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜を、食事に加えてみてはいかがでしょうか」と、専門家はアドバイスしている。

ブロッコリーは糖尿病の人の食事に役立てたい野菜

 ブロッコリーは、糖尿病の人の食事療法にも役立てたい野菜だ。

 ブッコリーや芽キャベツなどのアブラナ科の緑黄色野菜に含まれる天然化合物である「スルフォラファン」は、活性酸素を除去する抗酸化作用や、糖尿病の予防効果があることが知られている。

 スルフォラファンが、血糖値を下げるインスリンの働きや分泌を悪くし、糖尿病を悪化させるタンパク質を低下するという研究を、東北大学が発表している。

 これまでも、ブロッコリー・キャベツ・芽キャベツ・ダイコン・白菜・カリフラワー・クレソンなどのアブラナ科の野菜は、動脈硬化や、2型糖尿病・心臓病・脳卒中などの疾患を抑制するのに有用という研究が発表されている。

ブロッコリーが糖尿病予備群の血糖値を改善

 ブロッコリーに含まれるスルフォラファンが、糖尿病予備群の血糖値を改善するのにも有用であることが、スウェーデンのヨーテボリ大学による新しい研究で明らかになった。

 研究グループは、糖尿病と診断されるほどではないが、血糖値が高めの35~75歳の男女89人を対象にランダム化比較試験を行った。

 参加者を、スルフォラファンを摂取する群と摂取しない群に分け、12週間後の血糖値の変化を比べた。

 その結果、参加者の空腹時血糖値は110mg/dLから124mg/dLと高めだったが、スルフォラファンを摂取した群では、空腹時血糖値は平均して3.6mg/dLより低下した。

 「健康診断などで糖尿病予備群と指摘された人は、ブロッコリーなどの野菜を積極的に食べることで、糖尿病のリスクを下げられる可能性があります」と、同大学生理学部のアンダース ローゼングレン教授は言う。

 「糖尿病予備群の方には一般的に、健康的な食事、運動の習慣化、体重の管理など、ライフスタイルの改善が勧められます」としている。

ブロッコリーを食べると血圧が低下

 ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなどのアブラナ科の野菜を食べると、高血圧のある中高者の血圧を下げるのに効果的という研究も発表された。

 研究は、オーストラリアのエディスコーワン大学によるもの。研究グループは、年齢が66~70歳の男女18人を対象に、6週間のランダム化比較クロスオーバー試験を実施した。

 「アブラナ科の野菜には、硝酸塩やビタミンKなど、血圧を下げる効果を期待できる栄養も含まれています」と、同大学医学・健康科学部のエマ コノリー氏は言う。

 「ほとんどアブラナ科の野菜にしか含まれていない、グルコシノレートと呼ばれる天然化合物にも、血圧を下げる効果があることが報告されています」としている。

 参加者は、収縮期(最高)血圧が120~160mmHgと高めだった。介入試験の結果、アブラナ科の野菜を1日4回食べた期間は、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモなどの根菜類などを1日4回食べた期間に比べ、最高血圧が2.5mmHgより低下したことが示された。

 血圧がこれだけ低下すると、心臓発作や脳卒中を起こすリスクが5%低下することを期待できるという。

アブラナ科の野菜を食事に取り入れるのは健康的

 「アブラナ科の野菜は、健康的であることが知られていますが、野菜のなかでは比較的、消費量の少ないグループに含まれます」と、コノリー氏は指摘する。

 アブラナ科の野菜の食べるようにすると、血圧を下げ、年齢を重ねてから心臓病を発症するリスクを減らすことが期待できるという。

 「健康に良い食生活の一部として、毎日さまざまな野菜を食べることが勧められています。ブロッコリーやキャベツ、芽キャベツなどのアブラナ科の野菜を、食事に加えてみてはいかがでしょうか」とアドバイスしている。

日本でもブロッコリーは「指定野菜」に 人気の高い野菜
 日本ではブロッコリーが、新たに農林水産省の「指定野菜」に加えられることが決まっている。

 指定野菜とは、消費量が多く、国民の生活上の重要性が高い品目として、国が位置づけている制度。これまでに、キャベツ・レタス・ダイコン・白菜・ニンジン・トマト・タマネギなど、14品目の野菜が指定されている。

 ここに2026年度から、ブロッコリーも加えられることになった。新たに指定野菜が追加されるのは、およそ50年ぶりだという。

 指定野菜になると、大規模な生産者に支払われる補助金が手厚くなり、安定供給につながると期待される。ブロッコリーの価格変動が抑えられ、安く買えるようになる可能性もある。

 ブロッコリーは、生鮮だけでなく冷凍のものも需要が伸びている。切ったり茹でたりといった手間が省ける冷凍ブロッコリーも人気が高い。

Sulforaphane decreases serum selenoprotein P levels through enhancement of lysosomal degradation independent of Nrf2 (Communications Biology 2023年10月19日)
Reduced prediabetes in people who ate broccoli compound (ヨーテボリ大学 2025年2月13日)
Effect of broccoli sprout extract and baseline gut microbiota on fasting blood glucose in prediabetes: a randomized, placebo-controlled trial (Nature Microbiology 2025年2月10日)
Broccoli and kale top the shopping list for lowering blood pressure (エディスコーワン大学 2024年9月6日)
Cruciferous vegetables lower blood pressure in adults with mildly elevated blood pressure in a randomized, controlled, crossover trial: the VEgetableS for vaScular hEaLth (VESSEL) study (BMC Medicine 2024年9月2日)
「半世紀ぶり」の追加で脚光を浴びるブロッコリーを深堀り! (農畜産業振興機構 2024年6月5日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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