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2025年04月02日

「1日1万歩」のウォーキングが糖尿病リスクを減少 歩数をどれだけ増やすと健康効果を期待できる?

 糖尿病を予防・改善するために、1日の歩数を増やすことが大切であることが明らかになっている。

 1日の平均歩数が8,000歩を超えるあたりから、2型糖尿病の発症率と重症化率が低くなり、1日に1万歩以上歩くと、糖尿病リスクは62%、重症化リスクは67%それぞれ低下することが示された。

 「ウォーキングはもっとも手軽にできる運動です。現状の歩数よりも、1,000~2,000歩を多く歩くようにすると、効果を期待できます。今よりも多く歩くことが、健康寿命の延伸につながります」と、研究者は述べている。

今よりも多く歩くことが健康寿命の延伸につながる

 1日に1万歩以上歩いている人は、糖尿病の発症リスクが62%、重症化リスクが67%低いことが、横浜市が実施している「ウォーキングポイント事業」でも明らかになっている。

 研究は、横浜市・横浜市立大学・日本電信電話・NTTデータ経営研究所が、事業に参加した人を対象に、生活習慣病・医療費・メタボリックシンドロームなどにどのような影響があらわれたかを分析したもの。

 国民健康・栄養調査によると、日本の成人の平均歩数は、男性で6,628歩、女性で5,659歩だ。

 「1日の平均歩数が8,000歩を超えるあたりから、2型糖尿病の発症率と重症化率に差が出てきました。現状の歩数よりも、1,000~2,000歩を多く歩くようにすると、効果を期待できます」と、研究者は述べている。

 横浜市は、市民の健康づくりと運動習慣の定着を促すため、「よこはまウォーキングポイント事業」を2014年から展開している。

 同事業は、同市に在住・在勤・在学している人を対象に実施している。ウォーキングの歩数に応じてポイントが付与され、それに応じて商品券などが抽選で当たるというもの。

1万歩を歩いている人は糖尿病リスクが62%、重症化リスクが67%低い

 「ウォーキングポイント」に参加し、1日の平均歩数が1万歩以上だった群は、5年間の2型糖尿病の新規発症率は0.50%で、参加しなかった群に比べ0.81ポイント低くなった。「ウォーキングポイント」に参加することで、糖尿病の発症率は62%低くなった。

 さらに、1日の平均歩数が1万歩以上だった群は、糖尿病の重症化率も低くなった。1日に1万歩以上を歩くことで、糖尿病の重症化率は0.71%になり、参加しなかった群に比べ1.42ポイント低くなった。糖尿病の重症化率は67%低くなった。

 分析したところ、「ウォーキングポイント」に参加した群は、1日の平均歩数が8,000歩を超えるあたりから、参加しなかった群に比べ、糖尿病の新規発症率と重症化率が低くなることも分かった。

1日の歩数が8,000歩を超えると糖尿病の発症率と重症化率は低下
1万歩以上を歩くと糖尿病リスクは62%、重症化リスクは67%、それぞれ低くなった

出典:横浜市立大学、2023年

1日の歩数を2000歩増やしただけでも効果が

 肥満やメタボ(メタボリックシンドローム)を予防・改善するために、1日の歩数を増やすことが大切であることが、40歳~79歳の成人約7万8,500人を対象とした別の研究でも明らかになっている。

 ウォーキングの歩数を1日に2,000歩増やすごとに、早死のリスクは8~11%ずつ減少するという。歩数を1万歩まで増やしていくと、健康効果はより高まっていく。

 1日1万歩のウォーキングを達成することは、肥満・心臓病・認知症・糖尿病・がん・死亡などのリスクの低下と関連していることが明らかになった。研究は、オーストラリアのシドニー大学やデンマークの南デンマーク大学などによるもの。

 「1日に1万歩を歩くことは、病気や死亡のリスクを下げるための"スイート スポット"になります」と、南デンマーク大学健康加齢活動センターのボルハ デル ポゾ クルス氏は言う。

 「今回の研究では、あまり活動的に体を動かしていない人の場合、1日の歩数を2,000歩増やしただけでも、早期死亡のリスクを減少できることが示されました。少しでも歩数を増やすように心がけることをお勧めします」としている。

 研究グループは、英国の大規模な前向きコホート研究である「UKバイオバンク」に参加した、40歳~79歳の成人約7万8,500人の歩数データと、7年後の健康状態との関連を解析した。参加者に活動量計を装着してもらい、週末を含めて最低3日間、睡眠のモニタリングも含めて、7日間にわたり身体活動を測定した。

ウォーキングの歩数を増やすと期待できる健康効果
横浜市が公開している資料より

あらゆる歩数が健康に寄与する
1日に1万歩のウォーキングがメタボのリスクを減少
 中高年者が1日に1万歩を歩くと、歩行が中高強度であっても低強度であっても、5年間でメタボリックシンドロームの発生リスクは同じくらい減少することが、愛媛大学などが中高年女性794人を対象に行った新しい研究で示された。

 「この結果は、歩行の強度に関わらず、一定水準の歩数を蓄積すること、すなわち"あらゆる歩数が健康に寄与する"という考えを支持し、歩数にもとづいた身体活動推奨の有用性を示唆するものです」と、研究者は述べている。

 「日常生活のなかで、無理なく歩数を増やすことが重要です」としている。

 研究グループは今回、愛媛県東温市で進められている「東温スタディ:地域住民とともに歩む疫学研究と予防活動」に参加した、調査開始時にメタボのなかった中高年女性794人を対象に調査を行った。

 活動量計を用いて、日常生活の歩数および強度別の歩行時間を測定し、5年間追跡して調査した。その結果、1日1万歩ぐらい歩いた群では、あまり歩かなかった群に比べて、メタボの発生が少ないことが明らかになった。

 1日1万歩程度を歩いた群のメタボの発生は、中高強度の歩行で58%、低強度の歩行で55%、それぞれ減少した。

 研究は、愛媛大学社会共創学部の山本直史准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Environmental Health and Preventive Medicine」にオンライン掲載され、とくに注目すべき論文としてEditor's Pickに選出された。

出典:愛媛大学、2025年

よこはまウォーキングポイント (横浜市)

Participants at the Yokohama Walking Point found that the new incidence and severity of diabetes were low ! (横浜市 2023年9月7日)

Pace as important as 10,000 steps for health, finds new research (シドニー大学 2022年9月13日)
Prospective Associations of Daily Step Counts and Intensity With Cancer and Cardiovascular Disease Incidence and Mortality and All-Cause Mortality (JAMA Internal Medicine 2022年9月12日)
愛媛大学社会共創学部
Patterns of daily ambulatory activity and the onset of metabolic syndrome in middle-aged and older Japanese women: the Toon Health Study (2025年2月28日 Environmental Health and Preventive Medicine)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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