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2025年01月23日

糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法

 糖質が加えられた高カロリーの甘い飲料の飲みすぎにより、世界で毎年220万人が2型糖尿病を、120万人が心血管疾患を新たに発症しているという推計が発表された。

 高カロリーの飲み物を、水、無糖のお茶、コーヒー、ミルクなどに置き換えたり、低カロリー甘味料を上手に利用し、カロリー摂取量を減らす方法が提案されている。

高カロリー飲料により世界で毎年220万人が糖尿病を発症

 水分補給をするときに気を付けたいのは、簡単に手に入るコーラやジュース、缶コーヒーなどの清涼飲料水には、糖質が含まれている高カロリーのものが多いことだ。

 糖質が加えられた高カロリーの甘い飲料の飲みすぎにより、世界で毎年220万人が2型糖尿病を、120万人が心血管疾患を新たに発症しているという新たな推計を、米タフツ大学が発表した。

 「糖質の多い飲料は血糖値を急上昇させ、長期間にわたり定期的に摂取していると、体重増加、内臓脂肪の増加、肝臓や骨格筋のインスリン抵抗性、さらに世界で主要な死亡原因となっている2型糖尿病や心臓病に関連する多くの代謝障害を引き起こします」と、同大学栄養科学政策学部のダリウシュ モザファリアン氏は言う。

 研究グループは、1990年と2020年の184ヵ国のデータをもとに加糖飲料に起因する2型糖尿病および心血管疾患に対する国別・地域別負担を推定した。

 加糖飲料に起因する負担の割合は世界的に、女性よりも男性で、高齢者よりも若年成人で、高学歴成人よりも低学歴成人で、農村部成人よりも都市部成人で、それぞれ高くなった。

高カロリー飲料による糖質のとりすぎは深刻

 「加糖飲料により大量の糖質を短時間に摂取することで、肝臓の脂肪合成が活性化され、肝臓と筋肉の異所性脂肪の沈着と代謝機能障害が促され、さらに加糖飲料は食事中の他の健康的な食品に置き換えられる可能性があり、それらの不足によって害が及ぼされます」と、研究者は説明している。

 「過剰な脂肪蓄積と代謝機能障害は、炎症性サイトカインを活性化し、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクを高めます。これらのリスク要因はすべて、アテローム性動脈硬化症とプラークの不安定化を促進し、虚血性心血管イベントの一因となります」としている。

 加糖飲料の広告規制や課税など、公衆衛生上の多面的なアプローチが必要とされており、すでに一部の国では、そうした対策が講じられる。

 たとえばメキシコは、加糖飲料の国民1人あたり消費率が世界でもっとも多い国のひとつで、2014年にそうした飲料への課税を導入した。初期の調査では、この課税はとくに低所得者層での消費削減の効果をもたらしたことが示唆されている。

 研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、米国心臓学会(AHA)、メキシコ国立科学技術評議会の支援を得て行われた。

高カロリーの甘い飲料を減らす方法1
水や無糖のお茶に置き換えると糖尿病リスクは減少

 高カロリーの清涼飲料水を、水、無糖のお茶、コーヒー、ミルクなどに置き換えると、糖尿病リスクが減ることが、英ケンブリッジ大学による別の研究で示されている。

 研究グループは、英国で実施された大規模研究に参加した40~79歳の男女2万5,639人を対象に、約11年間追跡して調査した。

 その結果、糖質の含まれる高カロリー飲料を飲まずに、水、無糖のお茶、コーヒーに置き換えた人は、2型糖尿病の発症リスクが14%から25%低下することが示された。

 逆に、高カロリー甘い飲料によるカロリー摂取量が5%増えるごとに、糖尿病のリスクは18%増加することも分かった。

 「高カロリーの加糖飲料から摂取するカロリーを減らすことで、糖尿病の負担を軽減できることが分かったのは良い知らせです」と、同大学の英国医学研究会議(MRC)疫学ユニットのニタ フォルーヒ氏は述べている。

高カロリーの甘い飲料を減らす方法2
低カロリー甘味料を上手に活用

 甘味が欲しいときには、低カロリー甘味料を上手に利用し、カロリー摂取量を減らす方法も効果的だ。

 米国糖尿病学会(ADA)と米国心臓学会(AHA)は、低カロリー甘味料を適切に使用すると、減量や体重管理に役立ち、代謝にも良い影響を与える可能性があると公表している。

 低カロリー甘味料を定期的に利用すると、カロリー摂取量が減り、体重増加を抑えられたり、健康的な体重を維持するのに役立つという研究も発表されている。

 「低カロリー甘味料は砂糖よりも甘いものが多く、少量で砂糖と同じレベルの甘さを実現できます」と、米ハーバード公衆衛生大学院では解説している。

 「カロリーや糖質の摂取量を減らすために、または糖尿病や糖尿病予備群の人が血糖値をより良く管理するために、砂糖の代わりに低カロリー甘味料を利用している人は世界中に多くいます」としている。

New Study Links Millions of Diabetes and Heart Disease Cases Globally to Sugary Drinks (タフツ大学 2025年1月6日)
Burdens of type 2 diabetes and cardiovascular disease attributable to sugar-sweetened beverages in 184 countries (Nature Medicine 2025年1月6日) Consumption of sweet beverages and type 2 diabetes incidence in European adults: results from EPIC-InterAct (Diabetologia 2013年4月26日)
Replacing one serving of sugary drink per day by water or unsweetened tea or coffee cuts risk of type 2 diabetes, study shows (Diabetologia 2015年4月30日)
Prospective associations and population impact of sweet beverage intake and type 2 diabetes, and effects of substitutions with alternative beverages (Diabetologia 2015年5月6日)
The Nutrition Source - Sugary Drinks (ハーバード公衆衛生大学院)
The Nutrition Source - Low-Calorie Sweeteners (ハーバード公衆衛生大学院)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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