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2026年02月13日

「砂糖入り飲料」と「ミルク」 日本の研究で見えた体格との関連

 「ふだん、よく手にする飲み物は?」と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。日常的に甘い飲み物を摂りすぎている自覚がある人にとっては、ドキッとする質問かもしれない。
 毎日の習慣となっているその飲料が、私たちの体格にどのような影響を及ぼしているのか。藤田医科大学の研究グループは、飲料の選択と体格の関連について、興味深い研究結果を伝えている。

「肥満」か「低栄養」か 年代によって異なる健康課題

 肥満は「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」などのリスクを高めることが知られている。
 厚生労働省が公表した最新のデータ「令和6年 国民健康・栄養調査」1)では、20〜64歳の男性における肥満(BMI 25以上)者の割合は34.2%に達し、65歳以上の男性でも30.2%が肥満に該当する。一方、女性の肥満者の割合は20〜64歳で17%、65歳以上で22%と、男性に比べると低いものの、約4〜5人に1人が肥満に該当する。

 肥満者の割合を年代別に見ると、特に女性において加齢に伴う増加が顕著だ。20代女性の肥満者は7.4%だが、50代では21.2%、60代では20.6%と、年齢が上がると大きく膨らむ。男性も20代の21%から、働き盛りの40〜50代では37%を超えてピークに達するなど、多くの人が加齢とともに体重管理の壁に直面していることがわかる。

 その一方で深刻なのが、高齢層の「低栄養傾向(BMI 20以下)」だ。65歳以上の低栄養傾向者の割合は、全体で19.5%に上る。特に女性は、男性(12.7%)を大きく上回る25.2%が低栄養傾向にあり、筋肉量の維持が不可欠となるフレイル(虚弱)への懸念は、女性においてより顕著な課題となっている。

 糖尿病管理において適切な体重維持が大切であることは周知の事実だが、近年の研究では「単に体重を減らす」だけでなく、加齢に伴う筋肉の減少をどう防ぐかという問題が改めて問われている。

「砂糖入りの飲み物」はBMIに、「ミルク」は筋肉量に関連

 将来の肥満を考えるにあたり、20代から30代は体重増加が始まるライフステージであり、この年代から食生活に気を遣い将来の肥満を予防することは重要だ。そこで注目したいポイントのひとつが、日常的に口にしている飲料である。

 藤田医科大学の飯塚勝美教授らの研究グループは、日常的に口にする「飲み物」の種類が、日本人の体格や筋肉量にどのような影響を与えているかを調査し、その結果を発表した2)
本研究では、20~39歳の日本人男女76名を対象に、ふだん飲んでいる飲料の種類と体格(肥満度:BMI、筋肉量:SMI、体脂肪率)、握力との関連を詳しく解析した。その結果、特に「砂糖入りの飲み物」と「ミルク入りの飲み物」において、体格との顕著な関連が認められた。

1.砂糖入りの飲み物:肥満度の高さと関連

 コーラやジュースといった砂糖入り飲料の摂取量が多い人ほど、肥満度の指標であるBMIと、筋肉量の指標であるSMIが高くなる傾向が確認された。砂糖入りの飲み物を多く飲む人は、一日の総エネルギー摂取量や炭水化物の摂取量が多い傾向にあったが、食事全体のカロリー摂取量の影響を考慮して分析しても、砂糖入りの飲み物を多く飲むことと肥満度や筋肉量の指標の高さには、はっきりとした関連が見られた。このことから、砂糖入りの飲み物から摂るカロリーが体格に影響を与えている可能性が示唆された。

2.ミルク入りの飲み物:筋肉量の維持と関連

 一方で、牛乳や乳飲料といった「ミルク入りの飲み物」を適度に飲んでいる人は、肥満度や体脂肪率の高さではなく、筋肉量の指標の高さと関連があることが認められた。これは、乳成分に含まれる栄養素が、体脂肪を増やすことなく筋肉を維持する助けとなっている可能性を示している。ただし、ミルクの摂取量が多くなるほど筋肉量が増えるわけではなく、一定の摂取量を超えると効果が頭打ちになる傾向も見られたため、「適度な摂取」がポイントとなる。

 本研究は小規模な調査であり、飲み物が直接的に体格を変えたという「因果関係」までを断定したものではない。研究グループは、今後さらに多くの日本人を対象にした調査を行い、飲み物と健康の関係について詳しく解明していく必要があるとしている。

成分表示から「隠れた糖質」を見抜く~賢い飲料選びのコツ~

 糖尿病予備群の方はもちろん、長年血糖管理を続けている方も、飲料のラベルを確認する習慣は重要だ。成分表示から「中身」を正しく読み解くためのポイントを整理しておく。

1.「糖質」または「炭水化物」の数値を確認する

「糖質」と「食物繊維」が分かれて書かれている場合
 トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品など、食物繊維を含む飲料の多くは、すでに計算された「糖質」の量が独立して表示されている。その場合は、「糖質」の数値をそのまま読み取ればよい。

「糖質」の表記がない場合
 一般的なコーラやジュースなどは食物繊維をほとんど含まないため、「炭水化物=糖質」と考えて差し支えない。

2.WHOガイドライン「25g」の指標

 世界保健機関(WHO)は、肥満や虫歯のリスクを抑えるための理想的な目標値として、糖質の摂取量を1日あたり約25g(標準的な成人の場合)以内に抑えることを推奨している3)。これを身近なスティック砂糖(1本3g)に換算すると、約8本分という計算になる。ところが、日常的に手にしやすい飲料には、驚くほどの糖分が含まれている4)5)

 •100%果汁ジュース(200ml):約25g(スティック砂糖 約8本分)
 •砂糖入り炭酸飲料(500ml):約50〜60g(スティック砂糖 約17〜20本分)

 たった1本の飲料を飲むだけで、理想とされる1日の上限をあっさり超えてしまう。このように具体的なイメージを持つことは、砂糖の過剰摂取のブレーキとして非常に有効だろう。



3.「砂糖不使用」の言葉に惑わされない

 もうひとつ注意したいのが、パッケージの表側に書かれた「砂糖不使用」という表示。これらはあくまで「後から砂糖(ショ糖)を足していない」という意味に過ぎない。砂糖は使っていなくても、果実由来の糖分(果糖)などが含まれている場合がある。表のキャッチコピーだけで判断せず、必ず裏面の栄養成分表示を確認する癖をつけたい。

まずは「一杯」の置き換えから

 ここまでの話を合わせると、肥満を防ぎ、健康的な体格を維持するには、飲料を賢く「置き換える」習慣をつけたいところだ。砂糖入り飲料をよく飲んでいる人は、まずは「1日1杯の砂糖入り飲料」を、水やお茶、あるいは乳飲料へと置き換えることから始めてみてはいかがだろうか。
 飲料は満腹感を得にくく、知らず知らずのうちに過剰にカロリーを摂ってしまいやすい。自身の現在・将来の体格を考えて飲料選びの視点を持つことは、健やかな生活を守るための確かな知恵となるはずだ。

•甘い飲料を「水」や「無糖のお茶」へ: 余計なカロリー摂取を抑え、BMIや体脂肪率の増加を防ぐ。
•「牛乳・乳飲料」をタンパク質源として活用: 今回の藤田医科大学の研究グループによる発表では、ミルクを含む飲み物の適度な摂取は体脂肪を過度に増やさずに筋肉量を維持する助けとなる可能性を示唆している。

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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