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2026年01月29日

血糖値が高いとむし歯になりやすい?口の中に漏れ出す糖のお話

 糖尿病になるとむし歯になりやすいことが知られているが、その詳しい仕組みは分かっていなかった。こうした中、大阪大学大学院の研究グループは血液中の糖分が唾液に漏れ出す事実を突き止め、それが口腔内の細菌バランスを崩してむし歯リスクを高めることを確認した1) 。この発見は、良好な血糖管理が直接的に口内の健康を守ることにつながることを示している。

血液から唾液への「糖の漏れ出し」が細菌バランスを乱す

 口の中では常に唾液が分泌されているが、その中には無数の細菌が存在している。口腔内には500種類以上、1000億個以上の細菌が存在するとされている2)

 口腔内の細菌には、口の健康を保つ「善玉菌」、むし歯や歯周病の原因となる「悪玉菌」、状況によって働きが変わる「日和見(ひよりみ)菌」が含まれている。健康な状態ではこれらのバランスが保たれているが、唾液中の糖分が増えると糖をエサにして増殖する悪玉菌が優位になり、細菌バランスが崩れて酸の産生が増える。すると歯が溶けてむし歯が発生しやすい環境を生んでしまうことに。

 唾液中の糖分が増えてむし歯になる原因としては、甘いものを食べた後に歯磨きなどのケアをしないままでいることが知られているが、今回紹介する研究は、これとは別の視点によるものである。

 大阪大学大学院の研究グループは、2型糖尿病患者と健常者の「腺唾液(せんだえき)」という唾液腺から出たばかりの特別な唾液を調べた結果、血液中の糖が唾液へと漏れ出している事実を確認した。

※口の中の細菌や食事成分などと混ざる前の純粋な唾液。通常の唾液だと口腔細菌の影響を受け正確に評価することができないため、唾液腺開口部から直接採取した「腺唾液」が用いられた。

良好な血糖管理は大切な歯を守ることにもつながる

 さらに研究グループは、高血糖によって血液から唾液に漏れ出した糖(グルコースとフルクトース)が、口腔細菌バランスを変化させ、むし歯リスクを高めることを解明。
 つまり、「食べ物として口に入った糖」だけでなく、「血液から唾液へ移行した糖」も、むし歯に関わることが示されたのだ。
 また、血液から唾液への糖の移行が大きいほど、むし歯菌が増加して酸を産生し、むし歯のリスクを上げることも分かった。



 一方で、糖尿病のある人が2週間の教育入院により集中的に血糖を管理すると、唾液中の糖が減少して善玉菌が増加し、口腔環境が改善することも確認されている。

 これまで多くの研究で「糖尿病と歯周病」の因果関係が示されてきたが、今回の研究では「糖尿病とむし歯」の綿密な関係が明らかになった。日々の血糖管理を良好に保つことは、全身の健康維持のみならず、大切な歯をむし歯から守るためにも大事なセルフケアといえるのだ。

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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