ニュース
2025年04月01日
「塩分とりすぎ」で糖尿病リスクが上昇 減塩でリスク減少 こうすれば塩を減らせる

2型糖尿病のリスクのある、血糖値が上がりやすい人は、塩分のとりすぎも避けるべきだとする調査結果が発表された。
食事で塩分をとりすぎている人は、糖尿病リスクが大幅に上昇することが、大規模な調査で示された。
塩分を減らすために、2つの効果的な方法が提案されている。
塩をとりすぎると糖尿病リスクが上昇
2型糖尿病のリスクのある、血糖値が上がりやすい人は、糖質のとりかたに注意が必要であることは多くの人が知っている。それに加えて、塩分のとりすぎも避けるべきだとする研究を、米国のテュレーン大学などが発表している。
「塩分を制限することは、高血圧や心血管疾患のリスクを軽減するために必要であることはよく知られていますが、この研究では、2型糖尿病のリスクを減らすためにも役立つことが示されました」と、同大学肥満研究センター所長のルー チー教授は言う。
研究グループは、大規模研究である英国バイオバンクに参加した登録されている40万2,982人の成人を対象に、塩分摂取量と2型糖尿病の発症の関連について調査した。追跡期間の中央値は11.8年で、1万3,120人の2型糖尿病の発症が確認された。
解析した結果、2型糖尿病のリスクは、食事で塩を加えることが多い人では、塩分の摂取を控えている人に比べて、13%から39%高いことが示された。
「塩味を好んで、食品に塩を加える頻度が高いことは、長期的に2型糖尿病のリスクの上昇と関連していることが分かりました。糖尿病のリスクを減らすためにも、食事では減塩に取り組むことが大切です」と、チー教授は述べている。
塩分の過剰な摂取は、体格指数(BMI)やウエストヒップ比の上昇とも関連していた。塩分の摂取量が多いと糖尿病リスクが高まるメカニズムを解明するために、さらなる研究が必要としながらも、塩分のとりすぎにより食欲が増し、肥満や炎症などのリスク要因を高めることなどが考えられるとしている。
塩のとりすぎはインスリン抵抗性にも影響

塩分のとりすぎが、糖尿病のリスクも高めることは、スウェーデンとフィンランドの別の研究で示されている。詳細は、欧州糖尿病学会(EASD)の年次総会で発表された。
「塩分の過剰摂取は、血糖値を下げるインスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性に直接影響を及ぼし、高血圧や体重増加も促すことで、2型糖尿病のリスクも高めていると考えられます」と、カロリンスカ研究所環境医学研究所(IMM)のバハレ ラソウリ氏は言う。
研究グループは、スウェーデンの2型糖尿病のある1,136人などと、糖尿病のない1,379人を調査し比較した。糖尿病リスクに関連する遺伝的因子なども調べ、食品質問票を使用して食塩摂取量などを推定した。
その結果、食塩の1日の摂取量が2.5g(ナトリウム1gに相当)増えるごとに、2型糖尿病のリスクは43%上昇することが明らかになった。塩分の摂取量がもっとも多いグループでは、2型糖尿病のリスクは58%上昇した。なお、塩分摂取量は、多いグループでは1日に7.9g以上、少ないグループでは6.0g以下だった。
こうすれば塩を減らせる 1 |
---|
食塩を代替塩に置き換えると高血圧リスクは40%低下 |
まず勧められるのは、食事の塩分の摂取量を減らすことだ。世界保健機関(WHO)は、次のことを提唱している――。
- 調理では塩をなるべく加えないようにする。
- テーブルから塩入れを取り除く。
- 加工が最小限の新鮮な食品を増やす。
- 料理で風味をつけるときは、塩ではなくハーブやスパイスを使う。
- 市販のソース・ドレッシング・インスタント食品の使用を制限する。
- 食塩をカリウムを含む低ナトリウム代替塩に置き換える。低ナトリウムの食品を選ぶ。
このうち食塩を代替塩に置き換えると、高血圧リスクは40%低下するという中国の調査結果を、米国心臓病学会(ACC)が発表した。
代替塩は、食塩に含まれるナトリウムの一部をカリウムに置き換えたもの。薄味を自覚することなく、また味覚的な変化を感じることなく減塩ができる。
研究グループは、中国の介護施設の居住者を対象にランダム化比較試験を実施し、食塩を代替塩に替えると、血圧にどのような影響があらわれるかを調査した。
55歳以上の高血圧でない(140/90mmHg未満)、平均年齢71.4歳の男女611人を対象に、298人には通常の食塩を使った料理を提供し、313人には代替塩を使った料理を提供した。
その結果、2年間の追跡期間中に、100人年あたりの高血圧の発症率は、通常塩群では24.3だったが、代替塩群では11.7であり、代替塩により40%のリスク低下がみられた。
「代替塩を利用すると、血圧を高めることなく、食事を楽しみながら、心血管リスクを最小限に抑えられます。代替塩により健康を守れることが示されました」と、同大学臨床研究所のヤンフェン ウー氏は述べている。
「塩分の少ない食品を選択し、減塩することが、健康に大きな影響をもたらすことを、より多くの人が知るべきです」としている。
こうすれば塩を減らせる 2 |
---|
野菜などからカリウムをとるとナトリウムの排泄が増加 |
カリウムには、食品から摂取したナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排泄を促す働きがある。
カリウムの主な供給源となるのは、ダイコン・ホウレンソウ・ブロッコリー・ニンジン・レンコンなどの野菜だ。カリウムは海藻類、イモ類、豆類、ナッツ類、果物、コーヒーなどにも含まれる。腎機能が正常であれば、食事ではカリウムを十分にとることを心がけたい。
カリウムは腎臓から排泄されたり、再吸収されたりして、その濃度が調節されており、細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりするために重要な役割を果たしている。カリウムは多すぎても少なすぎても良くない。
「カリウムの多い食事をとると、尿量を増やして体内の余分な水分を排泄する利尿薬に似た効果を期待できます。食事でカリウムを十分にとると、腎臓はより多くの塩分と水分を排泄し、カリウムの排泄量が増えます」と、南カリフォルニア大学細胞・神経生物学部のアリシア マクドノー教授は言う。
アメリカなどの西洋型食生活は、赤肉や加工肉、バター、高脂肪の乳製品、精製穀物、糖分の多いソフトドリンクなどを多くとるのが特徴です。そうした食事スタイルでは、とくに野菜が不足し、カリウムの摂取量が少なくなるおそれがあります」としている。
Sodium reduction (世界保健機関 2025年2月7日)
かるしおプロジェクト 塩をかるく使って美味しさを引き出す減塩の新しい考え方 (国立循環器病研究センター)
New research links high salt consumption to risk of Type 2 diabetes (テュレーン大学 2023年11月1日)
Dietary Sodium Intake and Risk of Incident Type 2 Diabetes (Mayo Clinic Proceedings Home 2023年11月)
Consumption of Salt Associated With Increased Risk of Type 2 Diabetes, Researchers Say (American Journal of Managed Care 2017年9月18日)
Salt Substitutes Help to Maintain Healthy Blood Pressure in Older Adults (米国心臓病学会 2024年2月12日)
Effect of a Salt Substitute on Incidence of Hypertension and Hypotension Among Normotensive Adults (Journal of the American College of Cardiology 2024年2月20日)
Fruits and vegetables' latest superpower? Lowering blood pressure (南カリフォルニア大学 2017年4月5日)
Cardiovascular benefits associated with higher dietary K+ vs. lower dietary Na+: evidence from population and mechanistic studies (American Journal of Physiology - Endocrinology And Metabolism 2017年4月4日)
食事療法の関連記事
- 「塩分とりすぎ」で糖尿病リスクが上昇 減塩でリスク減少 こうすれば塩を減らせる
- ゆっくり食べる人は糖尿病や肥満のリスクが低い こうすればゆっくり食べられるようになる
- 糖尿病の人にとって「健康的な食事とは?」 健康的な食事の4つの基本原則 FAOとWHOが共同声明を発表
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発