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2019年09月04日

糖尿病の最新全国ランキング ベストは神奈川県 ワーストは青森県

 人口10万人に対する糖尿病による死亡率が全国でもっとも高いのは青森県、もっとも低いのは神奈川県であることが、厚生労働省の調査で明らかになった。
青森県は4年連続で全国ワースト
 厚生労働省「2018年人口動態統計月報年報」によると、人口10万人に対する糖尿病による死亡率を都道府県別にみると、青森県が20.2人で、全国平均の11.4人を大きく上回り全国ワースト1位だった。ワースト2位は徳島県の17.9人、3位は香川県の17.8人だった。

 糖尿病死亡率がもっとも低かったのは、神奈川県の7.8人で、全国平均を大きく下回り、ワーストの青森県の半分以下にとどまっている。2位は愛知県(7.9人)、東京都(8.8人)と続き、前年とほぼ同じ順位だった。
糖尿病による死亡率(対人口10万人) 47都道府県の順位(2018年)
青森県 糖尿病が進行してから治療を開始する患者が多い
 青森県は、「健康あおもり 21(第2次)」で生活習慣病の発症予防と重症化予防に取り組み、さまざまな取組を進めてきたが、人口動態統計での糖尿病死亡率は4年連続で全国最下位となっている。

 県では、糖尿病により引き起こされることの多い脳卒中や心筋梗塞による死亡が多い。食塩摂取量が多い、多量飲酒者が多い、喫煙率が高いといった気質や文化や、雪国ゆえの運動不足からの肥満や、健診受診率の低さなども影響しているとみられる。

 糖尿病の病状が進行すると、失明や人工透析といった合併症も引き起こされ、患者のQOL(生活の質)の著しい低下や、医療経済への大きな負担が生じる。合併症を防ぐために必要なのは、糖尿病を早期発見し、適切な治療を継続することだ。

 県が2006年度に行った糖尿病調査の結果からは、▼青森県は全国と比べて糖尿病の病状の進行したケースが多い、▼病状が重篤化してから生活習慣を改善したり、情報を収集している患者が多い、▼3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)を発症している患者の割合が全国と比べて高い――といった実態が浮かび上がった。

 このため県は2017年に、県医師会、県糖尿病対策推進会議とともに「青森県糖尿病性腎症重症化予防連携協定」を締結し、糖尿病性腎症重症化予防に向けた取組みを推進するため「青森県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定した。

 県民の糖尿病予防や重症化予防についての意識の向上させるために、2018年から「あおもり糖尿病川柳コンテスト」を実施。第1回の最優秀賞は「薬より "食"で下げよう 血糖値」だった。第2回の受賞作品は、11月14日の「世界糖尿病デー」に発表される。
神奈川県 かかりつけ医と専門医の地域での連携を推進
 神奈川県では県医師会、県糖尿病対策推進会議との連携により、市町村代表や関係団体などと検討を行い、「神奈川県糖尿病対策推進プログラム(かながわ糖尿病未病改善プログラム)」を2019年に策定した。

 ▼市町村の保険者や医療機関が連携し、糖尿病の重症化のリスク保有者を把握し、必要に応じた受診勧奨や保健指導を行うことで、糖尿病の重症化を防止する、▼腎機能悪化に留意し、糖尿病性腎症への移行や人工透析への移行を防止する、▼糖尿病の重症度をふまえて情報提供を行い、広く知識啓発をはかる、▼医療機関や地域の連携の促進により、さまざまな糖尿病合併症の予防をはかる――という取組みをしている。

 同県では、かかりつけ医や糖尿病専門医などとの地域での連携を促進するため、「糖尿病連携手帳」の普及に取り組み、「地域連携クリティカルパス」の普及に向けたモデル事業を実施してきた。

 「未病」を「ME-BYO」と表記して、糖尿病や合併症を診断される前から予防に取り組む活動も積極的に推進している。お薬情報や健康情報などをパソコンやスマートフォンを通じて管理できるアプリ「マイME-BYOカルテ」も配信。ビッグデータの利活用も進めている。

 県では、「ME-BYO」のコンセプト県民へ浸透させる活動を通じて、全ての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の実現を目指しているという。
糖尿病は心疾患、脳卒中、がんの発症リスクを高める
 「2018年人口動態統計月報年報」で、死亡数の死因順位の上位に挙げられているのは、どれも糖尿病と関連の深い疾患だ。

 死亡数の死因順位は、(1)悪性新生物(がん) 38万6,643人(人口10万対の死亡率は311.3)、(2)心疾患 20万8,210人(同 167.6)、(3)脳血管疾患 10万8,165人(同87.1)となっている。

 糖尿病が原因の死亡数は1万4,170人と多くないが、実際には糖尿病(高血糖)や高血圧が悪影響をもたらし、心疾患や脳血管疾患に進展するケースが多い。最近の研究では、糖尿病はがんの発症リスクを上げることも明らかになっている。

 糖尿病の治療の目的は、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患を防ぎ、健康な人と変わらない寿命と、日常生活の質(QOL)を維持することだ。実現するために地域ぐるみの対策が必要されている。
2018年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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