ニュース

2025年01月06日

糖尿病の予防はすぐにはじめられる こんな人は糖尿病リスクが高い 東京都など

 東京都は、糖尿病の多くの部分を占める2型糖尿病の予防に向けて、すぐに取り組みをはじめられる糖尿病予防策についてまとめたデジタルブック「今日から予防!糖尿病」の公開を開始した。

 神奈川県も、糖尿病の重症化予防の事業などを活性化するため、糖尿病対策推進プログラムを策定した。

 簡単なデータを入れると3年以内に糖尿病を発症するリスクが分かる「糖尿病リスク予測ツール」も公開されている。

糖尿病を知ることが大切

 糖尿病は、血糖値を下げるインスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまう病気。

 ブドウ糖は、生きていくためのエネルギーとして大切なものだが、多すぎると血管が傷つきやすくなる。血糖値が高い状態を放置していると、将来的に心臓病、脳卒中、腎臓病、神経障害、網膜症、足の切断といった深刻な合併症が引き起こされる。高血糖は感染症や認知症などのリスクを高めることも知られている。

 糖尿病の多くの部分を占める2型糖尿病の発症には、「インスリン分泌低下」と「インスリン抵抗性」が関わっている。

 2型糖尿病になる原因には、遺伝的な影響が関わっていて、とくに日本人を含むアジア人はインスリン分泌が低く、それほど太っていなくて、生活が少し不健康という程度でも、2型糖尿病のリスクが高くなる体質の人がいることが分かっている。

 ライフスタイルを見直し、改善することで、糖尿病のリスクを減らすことができる。2型糖尿病には、食べすぎ、運動不足、ストレスなどの環境的な影響も関わっている。

 20歳から体重が5kg以上増えた、野菜などをあまり食べていなくて食事が不健康になっている、運動不足、アルコールを飲みすぎている、健康診断を最近受けていないという人は、とくに注意が必要になる。

すぐに取り組みをはじめられる糖尿病対策 東京都

 東京都は、糖尿病の多くの部分を占める2型糖尿病の予防に向けて、すぐに取り組みをはじめられる糖尿病予防策についてまとめたデジタルブック「今日から予防!糖尿病」の公開を開始した。

 デジタルブックでは、日常生活でできる糖尿病の予防策に加え、検診結果を用いた糖尿病リスクチェックや、心がけたい生活習慣のセルフチェックなども提供している。

 糖尿病は、年齢・体型にかかわらず、発症する可能性があるので、若い人ややせている人でも油断はできないことや、糖尿病は初期にはほとんど症状がなく、症状がではじめたときにはすでに進行してしまっていることも多いので、健康診断を定期的に受けて、血糖値などを確認することが重要であることなどを紹介している。

 「糖尿病のことを正しく知ることが、予防の第一歩です。ぜひ、"ちょっと実行、ずっと健康"を目指しましょう」と呼びかけている。

糖尿病の特徴や健康への影響などを分かりやすく解説してあり、健診結果の入力、生活習慣のセルフチェックにより、糖尿病リスクや予防策を確認できる。
監修:西村理明 (東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授) など
編集・発行:東京都保健医療局保健政策部健康推進課健康推進担当

かながわ糖尿病未病改善プログラム 神奈川県

 神奈川県も、県医師会、県糖尿病対策推進会議の連携のもと、神奈川県糖尿病対策推進プログラム(かながわ糖尿病未病改善プログラム)を策定した。

 プログラムを活用し、市町村などが取り組み糖尿病の重症化予防の事業などを活性化し、地域の医療機関などとの連携がより円滑に進むようにはかっている。

 糖尿病の重症化のリスク保有者を把握し、必要に応じて受診勧奨や保健指導を行い、糖尿病の重症化を防止する、また腎機能悪化に留意し、糖尿病性腎症への移行や人工透析への移行を防止するとしている。

3年以内に糖尿病を発症するリスクが分かる
「糖尿病リスク予測ツール」
国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターは、働く世代を対象に実施している研究「職域コホート(J-ECOHスタディ)」の健康診断データをもとに、機械学習によって糖尿病の発症リスク予測モデルを構築し、それにもとづき、入力された条件と同等の人が3年以内に糖尿病を発症する確率を表示する「糖尿病リスク予測ツール」を開発した。

 この「糖尿病リスク予測ツール(第3版)」は、同センターの公式サイトで公開されている。対象としているのは、糖尿病と診断されたことがない30~64歳の人。

 性別・年齢・身長・体重・腹囲・糖尿病の既往歴・血圧・薬の服用・運動や食事の習慣・喫煙の有無などの、簡単なデータを入れるだけで、3年以内に糖尿病を発症するリスクが分かる。

 健診などの検査結果の一部を追加して入れると、さらに正確に予測できる。

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲