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2024年11月27日

糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 脳卒中の脅威は世界で拡大 【脳卒中を予防するための8項目】

 糖尿病のある人は、血糖値が高い状態が続くと、脳卒中の発症リスクが高くなることが知られている。これから寒い冬になると脳卒中が増えるので注意が必要だ。

 世界的に糖尿病・高血圧・肥満などが増えており、脳卒中を新たに発症した人は30年間で70%増えたことが明らかになった。

 「脳卒中は予防と治療が可能です。脳卒中の最大80%は予防できると考えられています」と、研究者は指摘している。

糖尿病のある人は脳卒中リスクが高い

 脳卒中は、脳の血管が急にやぶれたり、つまったりして、脳の血液の循環に障害をきたし、さまざまな症状を引き起こす病気。

 主に脳の血管がつまってしまう脳梗塞は、動脈硬化により血管が狭くなったり、血管が老化したりすることが主な原因となる。心臓が原因で発症することもある。

 糖尿病のある人は、脳卒中や脳梗塞のリスクが高い。血糖値が高い状態が続くと、体の太い血管や細い血管に障害が起こり、動脈硬化が進行しやすくなる。

 糖尿病のある人は、血糖値が正常の人に比べて、虚血性脳卒中のリスクが2~4倍高いことが、大阪大学などが40~69歳の日本人約3.6万人を12年間追跡した調査で明らかになっている。

 「中年以上の日本人にとって、糖尿病は脳卒中の重要な危険因子です」と、研究者は述べている。

 これから寒い冬になると、重症の脳卒中が増えるので注意が必要だ。とくに心房細動などの心臓を原因とするタイプの脳梗塞は冬の発症が多いことが知られている。

脳卒中は世界中で大幅に増加 予防が大切

 世界的に糖尿病・高血圧・肥満などが増えているのを受け、脳卒中を新たに発症した人は1990~2021年に70%増えたという調査結果を、米国のワシントン大学 保健指標評価研究所(IHME)が発表した。

 脳卒中で死亡した人の数も44%増え、脳卒中がもたらす障害や損失も32%増えている。脳卒中の脅威は世界中で拡大している。

 「世界で毎年、1,190万人が脳卒中を発症し、730万人が脳卒中により命を落としています。脳卒中の発症には、運動不足、気候変動による高温化、大気汚染、喫煙、糖尿病なども関連しています」と、ニュージーランドのオークランド工科大学のヴァレリー フェイギン教授は言う。

 「良い知らせもあります。脳卒中は予防と治療が可能であることです。脳卒中による負担の84%は、23の修正可能な危険因子に関連しており、改善が可能です」としている。

 脳卒中のリスクを高めるものとして、▼肥満(リスクが88%増)、▼気候変動による高温など(72%増)、▼糖尿病(32%増)、▼糖質が多く含まれる高カロリーの食品や飲料(23%増)、▼運動不足(11%増)、▼高血圧(7%増)、▼コレステロールを下げる不飽和脂肪酸の少ない食事(5%増)などを挙げている。

脳卒中を予防するための8項目の生活スタイル
ライフ エッセンシャル 8

 米国脳卒中学会(ASA)は、脳卒中の一次予防を推進するために、「脳卒中一次予防ガイドライン 2024年版」を発表した。高血圧、高コレステロール、高血糖、肥満などの脳卒中の危険因子について、検査を受けることが重要としている。

 ▼食事の改善、▼運動不足の解消、▼体重の適切な管理、▼コレステロールを下げる、▼血圧値を下げる、▼血糖値を下げる、▼十分な睡眠、▼禁煙という、健康的な生活スタイルを8項目にまとめた「ライフ エッセンシャル 8」も推奨している。

 「米国では、毎年60万人以上が脳卒中を発症していますが、その最大80%は予防が可能と考えられています」と、ウェイクフォレスト大学神経学部のシェリル ブッシュネル教授は言う。

 「健康を維持するために知識を得て認識を高めることは、脳卒中のリスクを軽減するのに役立ちます」としている。

 脳卒中を発症するリスクの高い人は、その前兆と予防策を学ぶことが、脳卒中を予防し、再発を防ぐための最善の方法となる。

 脳卒中を発症したときの、脳卒中の3つの症状[顔の麻痺・腕の麻痺・言葉の障害]を簡潔にまとめた「FAST」(ファスト)を知ることも重要だ。この3項目をテストして、1つでも該当する場合は、脳卒中の可能性が高い。

 脳卒中の症状に気づいたら、発症時刻を確認して、すぐに911番(日本では119番)に電話し、助けを求めることが重要になる。

 「脳卒中の一次予防について関心と知識をもち、理解を高めることが、脳卒中のリスクを軽減するのに役立ちます」と、ブッシュネル教授は述べている。

脳卒中が起こったときにどのような症状があらわれるか
日本の国立循環器病研究センターが公開しているFASTキャンペーンのポスター

脳卒中 循環器病について知る (国立循環器病研究センター)
Diabetes Mellitus and Risk of Stroke and Its Subtypes Among Japanese: The Japan Public Health Center Study (Stroke 2011年8月11日)
The Lancet Neurology: Air pollution, high temperatures, and metabolic risk factors driving global increases in stroke, with latest figures estimating 12 million cases and over 7 million deaths from stroke each year (ワシントン大学 保健指標評価研究所 2024年9月18日)
Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2021: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021 (Lancet Neurology 2024年10月)
Stroke Facts (米国疾病対策センター 2024年5月15日)
New guideline: Preventing a first stroke may be possible with screening, lifestyle changes (米国脳卒中学会 2024年10月21日)
2024 Guideline for the Primary Prevention of Stroke: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association (Stroke 2024年10月21日)
Life's Essential 8: Your checklist for lifelong good health (米国脳卒中学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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