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2025年07月23日

【コーヒーが糖尿病リスクを低減】コーヒーを飲んでいる人はフレイルや死亡のリスクも低下

 コーヒーを適度に飲んでいる人は、糖尿病リスクが低いという調査結果が発表されている

 コーヒーを飲む習慣は、死亡や心血管疾患などのリスクの低下と関連することが、4.6万人を対象とした大規模な新しい調査でも示された。

 コーヒーを飲んでいる人は、フレイルのリスクが低いという調査結果も発表された。

 コーヒーに含まれるカフェインが代謝を刺激し、エネルギー消費量を増加させたり、コーヒーに含まれるポリフェノールなどが酸化ストレスや炎症を緩和し、長期的には血糖値を下げるインスリンに対する感受性を良くしている可能性が指摘されている。

コーヒーを飲んでいる人は死亡や心血管疾患のリスクが低下

 コーヒーを飲む習慣があると、全死亡や心血管疾患などによる死亡のリスクが低下するという大規模な調査の結果を、米国のタフツ大学が発表した。研究成果は「Journal of Nutrition」に掲載された。

 ただし、勧められるのは、ブラックコーヒーや、砂糖やクリームをあまり加えていないコーヒーで、そうしたコーヒーを飲む習慣は、1日1杯以上であると全死亡リスクの16%の低下、2~3杯であると17%の低下と関連しているとしている。

 研究グループは、米国全国健康栄養調査(NHANES)に参加した4万6,222人の成人の1999~2018年のデータを解析した。

 「コーヒーは、世界でもっとも多く消費されている飲みもののひとつであり、米国人の成人の半数は1日に1杯以上を飲んでいるという報告もあります。コーヒーが健康にどのような影響を与えるかを知ることは重要です」と、同大学栄養科学政策学部のファン チャン教授は述べている。

コーヒーは糖尿病リスクも低下

 コーヒーを適度に飲む習慣は、2型糖尿病のリスクの低下と関連するという調査結果を、欧州科学財団(ESF)が発表している。

 1日に3~4杯のコーヒーを飲んでいる人は、ほとんど飲まない人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが約25%少ないことなどが示されている。

 コーヒーを1日に飲む量が1杯増えると、糖尿病の相対リスクは7~8%低下することも報告されている。

 「コーヒーを飲む習慣のある人は全死亡リスクが少なく、糖尿病のリスクのある人でも同様の相関がみられることがみられました」と、スペイン・マドリードのヒメネス ディアス カピオ病院内分泌・栄養学科のピラール リオボ セルバン氏は言う。

 「コーヒーの健康への影響についてはさらなる研究が必要であり、因果関係を証明するために、精度の高いランダム化比較試験が必要になります。コーヒーの飲みすぎにも注意が必要ですが、有害な飲みものではないとは言えそうです」としている。

日本人を対象とした調査でも糖尿病リスクが減少

 コーヒーを飲む習慣のある人は、2型糖尿病のリスクが少ないことは、日本人を対象とした調査でも示されている。

 これは、国立国際医療研究センターや国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究で「JPHC研究」明らかになったもの。研究グループは、40~69歳の男女5万5,826人を約10年間追跡して調査した。

 その結果、コーヒーを1日に1~2杯飲んでいた人は、糖尿病の発症リスクが男性で16%、女性で19%低下した。

 「コーヒーには、ストレス緩和以外にも、糖尿病リスクを下げるような独自の効果があると考えられます」と、研究者は述べている。

コーヒーを飲んでいる人はフレイルのリスクが低下

 コーヒーを飲む習慣があると、フレイルのリスクが低下する可能性があるという最新の調査結果を、オランダのアムステルダム自由大学も発表した。研究成果は「European Journal of Nutrition」に掲載された。

 研究者は、コーヒーには抗酸化作用のあるクロロゲン酸などのポリフェノールが含まれており、炎症、サルコペニア(筋肉減少)、筋肉損傷などの予防に役立っている可能性を指摘している。

 またコーヒーは、長期的には血糖値を下げるインスリンに対する感受性を良くして、ブドウ糖の吸収の調節を改善している可能性もあるという。

 フレイルは、加齢にともない、筋力や認知機能など、心身の活力が低下した状態。適切な対策を行えば改善できると考えられている。

 「毎日のコーヒーの摂取と、老後のフレイルのリスクの低減のあいだに関連があることが示されました。コーヒーを摂取する習慣は、健康的な老化を促進する可能性があります」と、同大学公衆衛生研究所のマルグリート オルトフ氏は言う

 「コーヒーの飲みすぎはカフェインの過剰摂取につながりますが、コーヒーを飲む習慣のある人は、1日3杯ぐらいまでなら、ほとんどの場合で大丈夫でしょう」としている。

コーヒーの飲みすぎにも注意が必要

 研究グループは、アムステルダム縦断老化研究(LASA)に参加した55歳以上の成人1,161人を対象に、7年間にわたり追跡調査を行った。

 体重減少、筋力低下、疲労、歩行速度の低下、身体活動の低下のうち3つ以上がある人をフレイルと判定した。

 その結果、フレイルのリスクは、コーヒーを1日4~6杯以上飲んでいる人で64%、6杯以上飲んでいる人で63%、それぞれ低下した。

 「ただし、高齢者がより充実した生活をおくれるようにするために、食事や運動などの生活全体の介入を検討することも重要です。年齢を重ねても健康を維持する方法について、多くの人が関心をもっています」と、オルトフ氏は付け加えている。

 なお、欧州食品安全機関(EFSA)は、1日に摂取するカフェイン量は400mgまでにするよう推奨している。これはコーヒー3~4杯分に相当する。

Hold the Cream and Sugar: Black Coffee Linked to Lower Risk of Death (タフツ大学 2025年6月16日)
Coffee Consumption and Mortality among United States Adults: A Prospective Cohort Study (Journal of Nutrition 2025年7月)
Moderate coffee consumption may reduce risk of diabetes by up to 25 percent (欧州科学財団 2012年12月4日)
Psychological Factors, Coffee and Risk of Diabetes Mellitus among Middle-Aged Japanese: a Population-Based Prospective Study in the JPHC Study Cohort (Endocrine Journal 2009年6月30日)
New research suggests drinking coffee may reduce the risk of frailty (Peer-Reviewed Publication 2025年4月29日)
Habitual coffee consumption and risk of frailty in later life: the Longitudinal Aging Study Amsterdam (LASA) (European Journal of Nutrition 2025年4月24日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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