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2025年07月24日

糖尿病の人の熱中症を防ぐための10ヵ条 猛暑は血糖管理を悪化させる? 十分な対策を

 猛暑日や真夏日が続いている。糖尿病のある人は、高温に対する体の反応が悪くなり、脱水症状になりやすくなっている場合がある。

 糖尿病の人が熱中症を予防するために、専門家は10項目の注意点をアドバイスしている。

糖尿病の人が熱中症を予防するために何が必要?

 1型糖尿病と2型糖尿病のある人は、血糖値が高い状態が続くと、猛暑に対する体の反応が悪くなり、体の水分が過剰に失われる脱水症状になりやすくなっている場合がある。

 高血糖の影響で血管や神経に異常が出ていると、汗腺に影響があらわれ、体温を効果的に下げることができなくなり、熱中症のリスクが上昇する。

 「とくに運動を行っていないときでも、また室内にいるときでも、暑さ指数をチェックすることをお勧めします」と、国際糖尿病連合(IDF)のエリザベス スヌーファー氏はアドバイスしている。

 暑さ指数(WBGT)は、気温と湿度を組み合わせた指標で、熱中症を予防するために役立てられる。日本でも、環境省の「熱中症予防情報サイト」で、全国の最新の暑さ指数が公開されている。

熱中症を防ぐための10ヵ条

 糖尿病のある人が熱中症に対策するために、IDFや米国疾病予防管理センター(CDC)などの専門家がアドバイスしているのは、次の点だ。

熱中症を防ぐための10ヵ条

1
脱水にならないように、喉が渇いていないと感じても、水を十分に飲む。尿が少なかったり、黄褐色になっている場合は、できるだけ早く水分補給をする必要がある。

2
アルコールやカフェイン入りの飲みもの(コーヒー、お茶、エナジードリンクなど)は水分補給には適さない。水分が失われ、血糖値が上昇するおそれがある。

3
涼しく過ごすには、エアコンを使うか、エアコンの効いた建物やショッピングモールに行くのがお勧め。猛暑のときは、扇風機だけでは十分に涼しくならない。

4
ゆったりとした、軽い、明るい色の衣服を着用する。汗を吸いやすく、乾きやすいものだと体温を下げやすい。

5
ふだんから血糖値を自分でチェックしている人は、チェックの頻度を増やす。人によっては、インスリンの量を調整する必要がある場合もある。運動を行うときも、その前後や運動中に血糖値をチェックする。

6
運動は糖尿病を管理するために重要だが、日中のもっとも暑い時間帯や暑さ指数が高いときには屋外で活動しないようにする。運動を夕方や早朝など、気温が低い時間帯に行ったり、エアコンの効いた室内で行うようにする。

7
インスリンや糖尿病の薬を、直射日光のあたる場所や高温の車内などで保管しない。高温がインスリンなどの医薬品に影響を与えるおそれがある。

8
インスリンで血糖値を管理している人は、インスリン製剤をクーラーボックスで保管する。インスリンは高温にさらされたり、凍らせると成分が変性するので、氷やジェルパックのうえには直接置かない。
直射日光にさらされたインスリンは、茶色がかった色になることがある。そうしたインスリンは使用しないようにして、不明な点がある場合はかかりつけの医師などに相談する。

9
血糖自己測定器、インスリンポンプ、持続血糖モニター(CGM)などの医療機器も高温の影響を受けやすいので、直射日光の当たる場所、車内、プールサイド、ビーチなどに放置しない。測定チップなどの消耗品も同様に扱う。

10
熱中症が疑われる場合は、医師の診察を受け、アドバイスをもらうようにする。

 「糖尿病とともに生きる人は、熱中症に効果的に対策するためにも、ふだんから良好な血糖管理を維持することが大切です」と、ハーバード公衆衛生大学院環境保健学部のバラク アラハマド氏は述べている。

 「高温が、熱ストレスを増大させ、血糖管理を悪化させ、合併症のリスクを高めることが懸念されています。熱中症に対して十分に対策することが必要です」としている。

Heat and diabetes are a dangerous combination (国際糖尿病連合)
Managing Diabetes in the Heat (米国疾病予防管理センター 2024年5月15日)
Diabetes and Hot Weather (英国糖尿病学会)
Extreme heat can worsen diabetes (ハーバード公衆衛生大学院 2025年2月6日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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