ニュース

2025年10月28日

20~30代の習慣が、将来の心筋梗塞などのリスクを大きく左右する

 人生の後半になると増えてくる心筋梗塞や脳卒中などの起こりやすさ(リスク)は、人生の前半の生活習慣次第で大きく異なることを示唆するデータが報告された。45歳までに生活習慣が悪化していた人は、好ましい習慣を維持していた人に比べてリスクが約10倍高いという。米ボストン大学のDonald Lloyd-Jones氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に10月6日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「変化が重要だ。心臓の健康状態の改善は将来のリスク低下につながるため、人生の早い段階で生活習慣を見直して、それを維持しておく方が良い」と語っている。

 この研究では、1985~1986年に研究参加登録された18~30歳の成人を、その後35年間にわたって追跡し、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)と呼ばれる疾患のリスクを調査した。また、研究に参加した人は、参加から20年の間に3回以上、心臓の健康状態を調べる検査を受けていた。その検査において、心臓の健康状態の評価には、米国心臓協会(AHA)の「Life's Essential 8」の達成度を点数化した指標(LE8スコア)が用いられた。具体的には、食事・運動・喫煙・睡眠という四つの習慣と、BMI、血圧、血糖値、non-HDL-C(血清脂質のうち善玉コレステロール以外)という四つの検査値を100点満点のスコアとして把握。20年間で、そのスコアがどのように変化したかと、その後のCVDイベント(心筋梗塞、心不全、脳卒中、冠動脈血行再建術、心血管死)のリスクとの関連が検討された。

 解析の対象者となった人数は4,241人(研究に参加した年の年齢が24.9±3.6歳、女性が55.5%)で、20年目(平均約45歳時点)以降から平均13.8年の間に、211件のCVDイベントが発生していた。研究参加から20年目までに心臓の健康状態が常に良好だった群(21.3%)を基準として、結果に影響を及ぼすことのある因子(年齢、性別、人種、教育歴など)の影響を調整後、心臓の健康状態が常に中程度だった群(37.7%)のイベントリスクは約2倍だった。20年目までに心臓の健康状態がやや低下した群(32.0%)のリスクは約5倍だった。そして、20年目までに心臓の健康状態が、より大きく低下した群(9.0%)は、CVDリスクが約10倍に上った。このほか、20年間でLE8スコアが10点低下するごとに、リスクが53%上昇するという関連も認められた。

 この報告をレビューした米ハンティントン病院のGaurav Rao氏は、「重要なこととして、18~30歳の間に健康状態の改善に取り組むことの意義が示された点が挙げられる。心臓専門医への受診を45歳になるまで待つ必要はなく、人生の早いうちに診察を受けることで、将来のリスクに影響を与えることができる。人生の後半での生活習慣の変化も健康に役立つかもしれないが、より早い段階での変化の方が、より永続的な効果をもたらすだろう」と話している。

[HealthDay News 2025年10月9日]

https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/health-habits-in-20s-30s-can-have-dramatic-effect-on-later-heart-attack-stroke-risk

(参考情報)

Abstract/Full Text https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2839656

Press Release
https://www.bumc.bu.edu/camed/news-events/articles/2025/improving-heart-health-in-young-adulthood-reduces-risk-for-cardiovascular-disease-in-later-life/

Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲