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2026年07月03日
歩行の健康増進効果くっきり ~医療ビッグデータで判明~
「1日1000歩多く歩いたら、血圧やコレステロールといった数値が改善したり、がんなどで入院する回数が少なくなったりした」「1日1時間以上歩く人は重い熱中症になるリスクが低減した」―。住友生命保険が歩行と健康に関するこんな分析結果を公表した。膨大な国内医療データと客観的な歩数データから導き出したという。

ウオーキングは手軽な運動の一つ。健康維持へ一歩踏み出してみては?
◇1000歩増やすだけ
「プラス1000歩」の効果については、このほど同社がまとめた「健康増進白書」で明らかにした。1000歩は時間にすると約10分、距離だと600~700メートルほど。少し先のコンビニまで往復したり、最寄りのバス停より一つか二つ手前で降りて出社・帰宅したりすれば増やせる。多忙な日常生活の中でもこの程度ならハードルは低いとみられる。
分析は医療データサービス会社のJMDCと共同で実施した。JMDCが全国の健康保険組合などから取得したレセプト(診療報酬明細)や健康診断のデータと、ウエアラブル端末などから得た歩数データを活用。対象者は健診値が約18万人、入院に関しては約8万人に上る。白書は分析対象期間である1年前後の間に1日の平均歩数が1000歩以上増えた人たちを歩数増加群、それ以外を歩数非増加群に分けて両者を比較している。
◇健診値改善、入院少なく
取り上げた健診値は体格指数(BMI)、収縮期血圧、拡張期血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、GOT(AST)、GPT(ALT)、γ―GTP、HbA1c、空腹時血糖、尿たんぱくの計12項目。肥満度や脂質、肝臓・腎臓の状態などを反映し、生活習慣病のリスクを知る手掛かりとなる。
白書によると、対象者全体の健診値はおおむね悪化傾向を示した。これらの数値は一般的に加齢とともに悪化するため、ある意味で自然な成り行きとの見方ができる。そうした中、歩行増加群に限ると大半の項目で改善が見られた。非増加群の中にも改善した人はいるが、両群の改善者の割合を見ると、統計的に有意な差が見られた10項目すべてで増加群が非増加群を2~20%上回った。
一方、入院の平均回数は歩行増加群が少なく、がん、心筋梗塞、脳卒中の三大疾病に起因するケースでは非増加群を43%下回った。健診値などを巡る両群の差異について、住友生命の藤澤陽介データサイエンスオフィサーは「歩数が健康状態全般に顕著に効いていることを示唆する結果だ」と説明する。

住友生命とJMDCが作成した「熱中症白書」より
◇熱中症の重症化抑制
熱中症に関する分析は約1350万人分のデータを対象とした。それによると、1日1時間以上の歩行または同等の身体活動を行っている人は、そうでない人より熱中症で入院するリスクが17%低かった。中枢神経や肝・腎機能に支障が出るような重症者が少なかったとみられる。
その理由に関し、住友生命は「暑熱順化の働きが大きい」と推察する。「普段から歩いて汗をかく習慣をつけておけば、夏の暑さに対する耐性が高まり、熱中症になっても重症化を防ぐことができる」というわけだ。
ただ、暑いさなかに活動すれば、重症に至らないまでも熱中症にかかる懸念は拭えない。今回の分析でも、歩行習慣のある人はない人に比べ、熱中症と診断されるリスクが8%、同疾患で点滴治療を受けるリスクが3%それぞれ高かったという。
◇国推奨も歩数減続く
健康状態を良好に保つには、栄養バランスの取れた食事や良質な睡眠と並び、適度な運動の重要性が広く認識されている。ウオーキングはその一つとして推奨される機会も多く、国民の健康増進を目指した施策「健康日本21」でも、20~64歳が1日8000歩、65歳以上は同6000歩が目標に掲げられている。にもかかわらず、生活の省力化などの影響から歩数は減少傾向にある。
歩くのに特別な装備などは必要ない。「若い頃に比べると体重がかなり増え、血圧も高い」「猛暑が続く夏を乗り切れるのか不安だ」。こんな危惧を抱いているなら、日々の歩行距離・時間を少し増やしてみてはどうだろうか。
もちろん、近年顕著に増えている熱中症への用心は必要だ。暑い時期にウオーキングをする際は、水分を十分に取るほか、気温が高い時間帯を避けたり、帽子や日傘などを忘れずに使用したりといった対応を心掛けたい。冷感グッズを身に着けるのもいいかもしれない。(平満)
[時事通信社 2026年7月1日]
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