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2025年07月10日

人気のバービー人形に1型糖尿病のモデルが登場 1型糖尿病への理解と認知を世界に拡大

 日本でも人気の高いバービー人形のラインナップに、1型糖尿病のモデルを追加したと発表された。

 新たに開発された1型糖尿病のバービーは、持続血糖モニター(CGM)や、インスリンポンプを身につけている。ブルーの水玉模様の衣装は、糖尿病のシンボルを表現している。

 1型糖尿病の支援・啓発活動を行っている個人や団体は、「この疾患のある人たちを支援し、他の人々にも知ってもらうために活動することに大きな意義を見出しています。あらゆる困難を乗り越えて前進し、夢は実現できることを子供たちに伝えたい」と語っている。

1型糖尿病のバービー人形が登場

 米国のマテル社は、日本でも人気の高いバービー人形のラインナップに、1型糖尿病のモデルを追加したと発表した。

 この1型糖尿病(T1D)のモデルは、「ブレイクスルーT1D」と提携し開発したもの。

 ブレイクスルーT1Dは、1型糖尿病の研究と1型糖尿病の人やその家族を支援する団体として、世界的に活動している。

 かつてはJDRF(若年性糖尿病研究財団、Juvenile Diabetes Research Foundation)と呼ばれていたが、1型糖尿病は子供や若年者の発症が多いものの、成人も発症するので、すべての1型糖尿病の人が健康を維持しながら長生きできる社会の実現を目指し、名称を変更した。

 ブレイクスルーT1Dによると、1型糖尿病は自己免疫疾患であり、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンが分泌されなくなり発症する。血糖値を調整するインスリンを、注射やインスリンポンプで体外から補充する管理が必須になる。

 1型糖尿病は、食事や運動などのライフスタイルと関係なく発症し、原因はまだ完全には解明されていないが、遺伝的要因と環境的要因の両方が関与していると考えられている。世界の1型糖尿病の人口は約900万人と推定されている。

 新たに開発された1型糖尿病のバービー人形の主な特徴は次の通り――。

持続血糖モニター(CGM)1型糖尿病の管理を改善するため、腕にCGMを装着している。
CGMは、グルコースレベルを継続的に測定するための小型のウェアラブルデバイス。
血糖値は、食事や運動などの影響を受けて1日のなかでも、日日間でも変動するが、CGMを使用すると血糖変動が詳しく分かる。
CGMを装着したままにするために、ハート型のバービーピンクの医療用テープと、CGMを管理する専門アプリの入ったスマートフォンを身に着けている。
インスリンポンプインスリンポンプを腰に装着している。インスリンポンプは、必要に応じて自動的にインスリンを投与できる小型のウェアラブル医療機器。
ブルーの水玉模様の衣装スタイリッシュなブルーと水玉模様のトップと、それに合うフリル付きのスカートを身につけている。ブルーサークルは、糖尿病の啓発活動である「世界糖尿病デー(World Diabetes Day)」のシンボルでもある。
ハンドバッグパステルブルーのハンドバッグが付属。外出時に、血糖自己測定器などの1型糖尿病用品や、低血糖を防ぐための捕食などの必需品を持ち運ぶのに使う。

1型糖尿病への理解を世界に広めたい

 「1型糖尿病のバービー人形の開発の協力を依頼されたときは、ほんとうに感激しました。1型糖尿病のバービー人形を開発するために、緊密に協力し、この疾患のある人が使用する可能性のある医療機器や人形の外見、そしてドレスのパターンにいたるまで、正確に再現しました」と、ブレイクスルーT1Dのアーロン コワルスキー氏は述べてる。

 コワルスキー氏は、自身が1型糖尿病で、1型糖尿病の研究で世界的に知られた専門家であり、血糖値の動きが持続的に分かる持続血糖モニター(CGM)や、人工膵臓に関する研究も行っている。コワルスキー氏は、糖尿病の管理を改善するために運動療法が重要であることを示すために、自身が運動に取り組み、マラソン完走を20回以上も行っているという。

 「私は13歳から、弟は3歳から、1型糖尿病とともに生きてきました。このパートナーシップは、私にとって非常に特別な意味をもつものです。1型糖尿病の認知度を向上することは、この疾患とともに生きる人々やそのご家族に大きな影響を与えます。1型糖尿病とともに、充実した、活気に満ちた、力強い人生をおくることができるということを、より多くの子供たちに伝えることを望んでいます」と、コワルスキー氏は述べてる。

困難を乗り越え夢は実現できること伝えたい

 バービーを販売しているマテル社は、ブレイクスルーT1Dとの継続的なパートナーシップの一環として、2025年に開催されたブレイクスルーT1D子供会議に、1型糖尿病のバービーを寄贈したとしている。2年に1度開催されるこのイベントは7月に開催され、全米50州、英国、オーストラリア、イスラエル、オランダ、カナダから、170人の4~17歳の1型糖尿病の子供や若者がワシントンD.C.に集まり、国会議員と直接交流したとしている。

 また、世界的な活動をしているモデルで、自身が1型糖尿病で啓発活動も行っているライラ モス氏や、米国のエクササイズインストラクターであり、やはり1型糖尿病で支援活動も行っているロビン アルゾン氏にも、1型糖尿病の人形を贈呈した。

 ライラ モス氏は、「自分のプラットフォームを使い、1型糖尿病について啓発活動を行い、人と違うことが素晴らしいことだと伝えられることを誇りに思っています。私のインスリンポンプのパッチを見て、自分のことを代弁してくれていると感じてくれた方々からメッセージをいただくことは、私にとって何よりも大きな意味があります」と語っている。

 「この1型糖尿病のバービー人形も、パッチをつけていて、明らかに私に似ており、特別な気持ちになります」としている。

 ロビン アルゾン氏は「10年前に1型糖尿病と診断されてから、この疾患のある人たちを支援し、他の人々にも知ってもらうために活動することに大きな意義を見出しています。知識は力であり、とくに若い世代にとっては重要なことです」と述べている。

 「1型糖尿病に対する認知を高める取り組みの一環として、このバービー人形を受け取ることができて大変光栄です。あらゆる困難を乗り越えて前進し、夢は実現できることを子供たちに伝えたいと考えています」としている。

多様性を表現したバービーのコレクションを展開

 英国のカーディフ大学の研究者らが行った研究では、人形遊びは子供の発達段階で、短期的および長期的な影響をもたらすことが示された。子供たちにとって人形遊びは、共感力を育み、社会性を身につけ、将来に平等な競争の場で活躍することを促し、成功への道を歩むのに役立つ可能性があるとしている。

 マテル社は、米国の大手の玩具およびファミリーエンターテイメント企業。「バービー」は世界でもっとも有名なファッションドールで、1950年年代に発売され、日本でも人気が高い。

 マテル社は、バービーの多様性(ダイバーシティ)を表現したコレクションを展開しており、補聴器や義肢を付けたモデルや、車いすに乗っているモデルなど、多様な175種類以上のモデルを販売しているという。

 「1型糖尿病を患うバービー人形の登場は、私たちのインクルーシブ(包み込むような、包括的な)な社会づくりと多様性の表現に向けた取り組みの重要な一歩です」と、同社のクリスタ バーガー氏は述べている。

 「バービーは子供たちの幼い頃からの世界観の形成に貢献します。1型糖尿病のような病状を反映させることで、より多くの子供たちが、想像する物語や愛らしい人形のなかに自分自身を重ね合わせることができるようになります」。

 「より多くの子供たちが、子供たち自身の経験を超えた人形遊びにより、よりインクルーシブな感覚と共感を育むことを期待しています」としている。

 この人形は、植物などの再生可能なバイオマスから作られ、COの排出のにつながるとされるバイオサーキュラープラスチックが50%以上使用されているという。

Barbie® Introduces First-Ever Barbie Doll with Type 1 Diabetes to Expand Representation and Inspire More Children (マテル 2025年7月8日)
Breakthrough T1D and Mattel have partnered to create the first Barbie® doll with type 1 diabetes! (ブレイクスルーT1D 2025年7月8日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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