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2022年11月25日

【新型コロナ】糖尿病の人はなぜ重症化しやすい? どうすれば防げる? ワクチンの追加接種が大切

 糖尿病とともに生きる人が新型コロナに感染すると、健康に対して長期的な影響がもたらされる可能性があるという研究が発表された。

 新型コロナワクチンは、糖尿病などの基礎疾患のある人でも、新型コロナの発症を予防する高い効果があり、感染や重症化を予防する効果も確認されている。

 日本を含む世界各国で、糖尿病の人はワクチン接種の優先順位が高い。適切な時期がきたら、ワクチンの追加接種を受けることが勧められている。

 血管の健康状態を維持するのに重要な役割を果たしている血管内皮は、糖尿病の人では機能が低下していることが多い。新型コロナの重症化は、血管内皮の異常や障害と関連しているという研究も発表された。

糖尿病の人が新型コロナに感染すると長期的な影響が

 糖尿病とともに生きる人が新型コロナに感染すると、心臓や脳に影響があらわれ、健康に対して長期的な影響がもたらされる可能性があるという研究を、米国のセントラルフロリダ大学医学部が発表した。

 「新型コロナの感染は、遺伝子構成を変化させ、炎症を引き起こし病気の進展を促進し、糖尿病や糖尿病と関連の深い心臓病などをさらに悪化させる可能性があります」と、同大学で心臓血管の研究をしているディネンダー シングラ教授は言う。

 シングラ教授は糖尿病、心不全、炎症などについて多くの研究をしている。今回の研究で、新型コロナの重症化リスクが高いとされる糖尿病の人への影響について調べた。

 その結果、新型コロナに感染した糖尿病患者の一部で、感染したことのない患者に比べ、血中の細胞組成が異なることを確認。糖尿病の人が新型コロナに感染すると、血液組成やサイトカイン(細胞から分泌されるタンパク質で、炎症の重要な調節因子となる)に違いが起こる可能性を指摘している。

 「私たちは、新型コロナ患者には3つの主要な長期的な影響があらわれると考えています。1つめは、糖尿病予備群の人の2型糖尿病の発症リスクを高めること、2つめは、心筋症や筋肉機能障害などの糖尿病の合併症を悪化させること、3つめは、アルツハイマー病にもつながるおそれのある認知機能障害を引き起こすおそれのあることです」としている。

新型コロナワクチンの接種を受けることが大切

 「新型コロナワクチンは、新型コロナの発症を予防する高い効果があり、感染や重症化を予防する効果も確認されています。とくに糖尿病のある人には、ワクチン接種をお勧めします。米国では、新型コロナの主要なワクチンは3種類あり、国民の75%以上が保護されています」と、シングラ教授は言う。

 「糖尿病の人が新型コロナに感染すると、糖尿病のない人に比べ、重症化や死亡のリスクが高いことが知られています。そのため、糖尿病の人はワクチン接種の優先順位が高く、どのワクチンも糖尿病などの基礎疾患のある人でも効果が高いことが示されています」。

 「新型コロナのワクチンは、接種を受けてから時間が経過すると、重症化予防の効果は比較的高く保たれているものの、効果は徐々に低下する可能性が報告されています。ワクチンの追加接種を受けることで、発症と重症化の予防効果を高めることができます。オミクロン株に対応した2価ワクチンによる接種も行われています」。

 「糖尿病とともに生きる人は、新型コロナのワクチンの追加接種の時期がきたら、すみやかに接種を受けることが大切です」としている。

 「今後は、新型コロナの感染から10年~20年後に、糖尿病にどのような影響があらわれるかを調査し、新たな予防法や治療法を開発することを計画しています」と、シングラ教授は述べている。

新型コロナの重症化に血管内皮の異常が関連

 日本の順天堂大学などの研究では、血管内皮の異常や障害が、新型コロナの重症化につながっている可能性が指摘されている。

 研究グループは、日本人とドイツ人の患者データを比較し、新型コロナの重症化メカニズムに、いくつかの炎症性サイトカインの産生の増加、サイトカインストームの発生と、これにともなう血管内皮の障害や機能異常が関連することを突き止めた。

 血管内皮は、全身をめぐる血管の最内層にある細胞で、たえず循環する血液と接しており、血管の健康状態を維持するのに重要な役割を果たしている。

 動脈硬化が起こると、これら血管内皮の働きに異常あらわれ、また糖尿病や高血圧、肥満などの人では、血管内皮機能が低下していることが多いことが知られている。血管内皮機能の低下した状態を早期に発見し、その機能を高める治療を行えば、動脈硬化も予防・改善できると考えられている。

日本人とドイツ人のデータを比較 重症化を予防する治療法の開発へ

 ウイルスなど体内に入ってきて、粘膜細胞が傷つくと、マクロファージや樹状細胞にその情報が行き、免疫の司令官であるT細胞というリンパ球に情報が伝わり、さまざまな免疫反応が起きて、病原菌を排除する働きが起こる。

 マクロファージやリンパ球などの炎症細胞や上皮細胞、血管内皮細胞などからは、サイトカインと呼ばれるタンパク質が分泌されている。サイトカインは、免疫応答を調節する生理活性物質であり、ウイルスなどに対する生体防御をになっている。

 感染症などにより、炎症性サイトカインが大量に産生され、血液中に放出されると、過剰な炎症反応がひきおこされ、臓器に致命的な傷害を生じさせることがある。こうした病態は「サイトカインストーム」と呼ばれる。

 新型コロナの重症例では、IL-6やTNFαといったサイトカインの血中濃度が上昇したり、Tリンパ球の細胞数が低下したり機能異常が起こることが知られている。

 順天堂大学などの研究グループは、新型コロナの重症化が血管内皮の異常や障害と関連していることについて、「こうした炎症性疾患に対する新しい分子標的療法を開発し、また早期診断法の開発基盤をつくることが、新型コロナの重症化を抑制するともに、多くのサイトカインストーム症候群、慢性炎症性疾患にとっても多大な寄与をもたらすと考えられます」としている。

UCF Researcher Exploring Long-Term Effects of COVID-19 in Diabetics (セントラルフロリダ大学 2022年11月18日)
Mechanisms of COVID-19 pathogenesis in diabetes (American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology 2022年8月4日)
順天堂大学大学院医学研究科ゲノム・再生医療センター
COVID-19 severity and thrombo-inflammatory response linked to ethnicity (Biomedicines 2022年10月26日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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