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2022年07月19日
【新型コロナ】ワクチンは肥満の人の重症化リスクも減らす 糖尿病や肥満は重症化の危険因子
新型コロナワクチンは、体格指数(BMI)の高い肥満の人でも、標準体重の人でも、体の大きさに関係なく、すべての人の重症化リスク大幅に減らすことが、オックスフォード大学などの研究で明らかになった。
肥満や糖尿病は新型コロナ重症化の危険因子
新型コロナワクチンの追加接種は、肥満の人だけでなく、低体重や過体重に人に対しても、非常に効果があることが、英国のオックスフォード大学などの研究で明らかになった。研究成果は、医学誌「Lancet Diabetes & Endocrinology」に掲載された。 新型コロナワクチンは、体格指数(BMI)の高い肥満の人でも、標準体重の人でも、体の大きさに関係なく、すべての人の重症化リスク大幅に減らした。 肥満や糖尿病は、パンデミックの初期に、新型コロナが重症化する危険因子であることが明らかになった。英国の2021年時点のワクチン政策でも、肥満対策は重視された。 「今回の調査結果は、新型コロナワクチンがあらゆる体型の人の命を救うという、新しい証拠を示すものです。ワクチンは、BMIが高い人でも、低い人と同じくらい効果があり、ワクチン接種によって新型コロナの重症化リスクが大幅に減少することが明らかになりました」と、同大学プライマリケア健康科学部のカルメン ピエルナス氏は言う。 「このことは、肥満の人に安心感を与えることにつながります。体重が[低体重・標準体重・過体重・肥満]のどのグループであっても、引き続きワクチン接種の重要性をアピールする必要があります」としている。肥満の人がワクチン接種を受けると新型コロナの入院リスクが70%減少
研究グループは、英国の1,800万人以上の患者の健康記録が登録された大規模な医療データベースである「QResearch」に参加した、1,738ヵ所の医療機関の一般医の診療の対象となった、1,200万人以上の医療記録を解析した。 そのうち、18歳以上でBMIのデータがあり、新型コロナに感染したことがない917万1,524人のデータを使用した。 肥満の判定は、世界保健機関(WHO)の基準にしたがい行った。体重と身長から求められる体格指数(BMI)によって、▼低体重(BMI 18.5未満)、標準体重(BMI 18.5~24.9)、▼過体重(BMI 25~29.9)、▼肥満(BMI 30以上)の4つのグループに分けた。** 日本人の基準では、BMIが18.5~24.9だと標準体重、25以上だと肥満と判定される。 研究グループは、ワクチンの有効性を知るために、2回目の接種から14日以上後に、ワクチン接種を受けた人とワクチン接種を受けていない人の、新型コロナの重症化リスクを比べた。 その結果、ワクチン接種を受けると、どのBMIのグループでも、高い予防効果を得られることが明らかになった。 BMIが高く、ワクチンの2回接種を受けたグループでは、ワクチン接種を受けていないグループに比べ、新型コロナで入院する可能性が70%低いことが分かった。 さらに、標準体重のグループとBMIが高いグループでは、2回目の投与の2週間後に、ワクチン未接種の人に比べ、新型コロナで死亡する可能性が3分の2低かった。
肥満だけでなく低体重の人も新型コロナのリスクは上昇
ただし、ワクチン接種を受けたグループでは、BMIが低い人と高い人は、標準体重の人に比べて、新型コロナの重症化のリスクは高くなった。 低体重でワクチン接種を受けたグループでは、接種を受けていないグループに比べて、入院と死亡のリスクが約半分に減少し、やはりワクチンは効果があることが示された。 しかし、ワクチンは、BMIが高い人でも、標準体重の人でも、同様に効果があるものの、低体重のグループではわずかに低下し、しかもワクチン接種率ももっとも低かった。 たとえば、BMIが17で低体重の人は、BMIが23の標準体重の人に比べて、入院のリスクが50%上昇した。さらに、BMIが44の高度な肥満の人は、標準体重の人に比べて、入院のリスクが3倍に上昇した。 新型コロナワクチンの接種を受けていない人の割合は、標準体重のグループでは23.3%、低体重では32.6%、過体重では16.8%、肥満では14.2%になり、低体重の人がワクチン接種を受けていない割合がもっとも高かった。ワクチン接種を受けていない低体重の人が多い 接種勧奨が必要
これまで、BMIの高い肥満の人にワクチン接種を優先する政策がとられてきたが、肥満の人に対する新型コロナワクチンの有効性については、実際にはよく分かっていなかった。 「どのBMIの人でも、ワクチン接種は、高い保護効果をもたらすことが明らかになりましたが、体重の少ない人では効果がわずかに低いことも分かりました。肥満だけでなく、低体重の人に対しても、ワクチン接種を増やすために、的を絞った取り組みが必要であることが浮き彫りになりました」と、ピエルナス氏は言う。 これまでの研究で、肥満の人は季節性インフルエンザのワクチン接種率が低く、ワクチンの効果がやや低下することが示されていたが、その理由は不明だった。 感染症の原因となるウイルスは、身体のなかに入ると細胞に入り込む。そして細胞のなかで自らのコピーを複製させることで、ウイルス量を増やし、周囲の細胞へと広がっていく。 これに対し、身体の中には外敵から身体を守るための免疫システムがある。多くの免疫物質や免疫細胞が関わっており、外敵を見つけると駆除しようとする。 肥満や低体重の人が重症化しやすい理由として、感染により炎症性サイトカインの分泌が増え、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性が起こりやすいことや、免疫応答の変化が起こりやすいことなどを挙げている。低体重の人では、虚弱などの影響で、免疫応答が低下しやすくなっている可能性があるという。 THE LANCET DIABETES & ENDO.: COVID-19 vaccine protects people of all body weights from hospitalization and death, study of 9 million adults in England suggests (Health data research 2022年7月1日)Associations of BMI with COVID-19 vaccine uptake, vaccine effectiveness, and risk of severe COVID-19 outcomes after vaccination in England: a population-based cohort study (Lancet Diabetes & Endocrinology 2022年6月30日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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