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2024年09月26日

テレビゲームを使った室内運動で糖尿病を改善 ゲームで遊ぶとメンタルヘルスが改善するという調査結果も

 新型コロナの感染拡大の影響で、屋外での運動機会が減り、運動不足や体力低下・体重増加、いわゆる"コロナ太り"を感じている人は多い。

 また、今年の夏も猛暑日が多く、多くの人は外出が減り運動不足になっている。

 テレビゲームに運動や身体活動の要素を取り入れた「エクサゲーム」であれば、室内で運動に気軽に取り組め、楽しく続けられると発表された。

 体を動かしながらプレイするエクサゲームは、室内で快適に運動でき、利用者が繰り返し参加できる仕掛けもしてあり、運動を無理なく楽しく続けるとしている。

コロナ禍と猛暑で運動機会が減少 テレビゲームで運動不足を解消

 新型コロナの感染拡大の影響で、屋外での運動機会が減り、運動不足や体力低下・体重増加、いわゆる"コロナ太り"を感じている人は多い。

 また、今年の夏も全国各地で35℃を越える猛暑日が多く、40℃以上を観測した地域もある。連日の猛暑により外出が減り、運動不足になったという人も多い。

 しかし、運動習慣のない人が、新たに運動をはじめ、続けるのは簡単なことではない。そういう人は、屋内でテレビゲームを使って運動をすると、運動不足を解消できる可能性がある。

 テレビゲームに運動や身体活動の要素を取り入れた「エクサゲーム」(Exergame)であれば、運動に気軽に取り組め、楽しく続けられることが報告された。

 エクサゲームに取り組むことで、体力が向上し、運動に対して意欲的になれ、座ったまま過ごす時間を減らすのにも効果的としている。

エクサゲームは室内で快適に運動ができる

 糖尿病とともに生きる人にとって、意識して体を動かして、毎日を活動的に過ごすことは、血糖値をより良く管理し、心血管疾患や腎臓病などの合併症のリスクを軽減するために重要だ。

 しかし、運動の効果は理解していても、毎日を忙しく過ごしていて、1日に運動をする時間をつくってモチベーションを維持するのが難しいという人は多い。

 米国糖尿病学会(ADA)は、室内で快適に運動できるエクサゲームであれば、利用者が繰り返し参加できる巧妙な仕掛けもしてあり、運動を無理なく楽しく続ける可能性があると提案している。

 エクサゲームとは、エクササイズとゲームを合わせた造語。15年以上前に「バランスWiiボード」や「ダンスダンスレボリューション」などが人気を集めて以来、ゲーム機器やコンピュータなどに運動の要素を取り入れる試みは注目されている。

 エクササイズを組みこんだテレビゲームは、双方向的なやりとりが可能で、ビデオと音声により運動のテクニックを教え、利用者にフィードバックを提供できるよう工夫されているものがある。

 利用者が、パフォーマンスにもとづき採点も受けられ、モチベーションを高め維持できるようにプログラムされてあるものもあるという。

エクサゲームで遊ぶと楽しく運動できるという結果に

 米ジョージア大学は、運動ガイドラインで推奨されている、1週間に150分の運動・身体活動を行うという基準を満たしていない、運動不足の18~24歳の男女55人を対象に、6週間の試験を実施した。

 研究グループは、参加者をランダムに、エクサゲームに取り組む群と、従来のエアロビクス教室に定期的に参加する群に振り分けた。エクサゲームは、人気のあるゲームから自由に選択できるようにした。

 その結果、エクサゲームに取り組んだ群は、運動をしている時間をより楽しく過ごせたことが示された。さらには運動ルーチンに対して自分でコントロールできている自信が高まり、運動を続けることに意欲的になり、他の運動に対してもよりオープンな気持ちになっている傾向が示された。

 一方、従来の運動クラスに割り当てられた群は、エクサゲームの群よりも活動量は多かったが、運動の継続に対するプレッシャーや義務感、ストレスなどを感じていることも示された。

 「誰かの指導を受けて運動をするのと、自分で進んで運動に取り組むのとでは、運動を続けるうえで大きな違いが出てくると考えられます」と、同大学運動学部のサーミ・イリ-ピイパリ氏は言う。

 「運動にテクノロジーを取り入れ支援する取り組みは始まったばかりですが、とくにこれまで運動をする習慣をもたなかった人々に対して、より良い方向へ導く第一歩となる可能性があります」としている。

アクティブなテレビゲームにより運動量を増やせるかを調査
ブリガムヤング大学が公開しているビデオ

ゲーム機で遊ぶとメンタルヘルスが改善し人生満足度が向上?

 「Nintendo Switch」や「Play Station5(PS5)」といったゲーム機で遊ぶことで、メンタルヘルスが改善し、人生満足度が向上することが、日本大学や浜松医科大学などによる新しい調査で示された。

 ビデオゲームには、日常での主観的ウェルビーイング(メンタルヘルスおよび人生満足度)を向上させる可能性があるという。

 研究グループは、2020~2022年にオンラインサーベイで収集した日本在住の10~69歳の9万7,602件の回答データを分析した。

 その結果、ゲームの効果には個人差があり、その背景は複雑かつ多様であることが、機械学習の結果から示唆されたものの、たとえばPS5は成人・男性のメンタルヘルスに大きな恩恵をもたらし、Nintendo Switchは、未成年に恩恵をもたらしていることなどが示唆された。

 デジタル機器やインターネットが日常生活に欠かせない今日、とくにコロナ禍を契機にユーザー数が30億人に達したとされるビデオゲームについて、さまざま議論が続いている。

 研究者は、「将来的には、各ユーザーの性格、好み、家庭環境などにもとづいて、ウェルビーイングを高めるためのツールとして、あるいは治療目的としても、商用ビデオゲームを活用することができるようになる可能性があります」と述べている。

 研究は、日本大学経済科学研究所の江上弘幸助教、浜松医科大学子どものこころの発達研究センターのモハマド シャフィウル ラハマン特任講師(大阪大学大学院連合小児発達学研究科講師)らによるもの。研究成果は、「nature human behaviour」に掲載された。

Working Out With Video Games (米国糖尿病学会)
Active Video Games Provide Alternative Workout (ジョージア大学 2022年3月22日)
Short- and longer-term psychological and behavioral effects of exergaming and traditional aerobic training: A randomized controlled trial (International Journal of Sport and Exercise Psychology 2022年1月17日)
浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター
Causal effect of video gaming on mental well-being in Japan 2020-2022 (Nature Human Behaviour 2024年8月19日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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