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2024年09月02日
コロナ禍で糖尿病の人のうつ病リスクが上昇 人からサポートを受けるとメンタルは改善 社会的サポートが必要

新型コロナの流行期に、孤独を経験した糖尿病のある高齢者は、うつ病のリスクを3倍に高めたという調査結果を、カナダのトロント大学などが発表した。
ストレスの多い時期に、他人からサポートを受けることで、うつ病のリスクを軽減できることも示されている。
「多くのストレスを経験し、うつ病リスクが高いと判定された人では、それを予防・改善するために、社会的つながりを保つことが重要です」と、研究者は述べている。
コロナ禍での孤独が糖尿病の人のうつ病リスクを3倍に上昇
新型コロナウイルス感染症の流行期に、孤独を経験した糖尿病のある高齢者は、うつ病のリスクを3倍に高めたという調査結果を、カナダのトロント大学などが発表した。 とくに糖尿病があり、うつ病の病歴があった高齢者は、コロナ禍によりほぼ50%がうつ病を経験したとしている。 「新型コロナのパンデミックのあいだに、糖尿病のある人の多くが孤独を経験しました」と、同大学ライフコース エイジング研究所(ILCA)のグレース リー氏は言う。 「コロナ禍には、対策として隔離とロックダウンを実施した国や地域が多く、多くの人は行動が制限されました。このことは、個人のメンタルヘルスにも大きな影響を与えました」としている。 関連情報家族間のトラブルを経験した人はうつ病リスクが上昇
研究グループは、カナダの大規模な全国調査であるカナダ エイジング縦断研究(CLSA)に参加した、2,730人の糖尿病のある高齢者を対象に調査した。このうち、1,757人はコロナ禍以前にはうつ病の病歴がなく、973人はうつ病の病歴があった。 その結果、コロナ禍以前にはうつ病の病歴がなかった糖尿病のある高齢者でも8人に1人が、2020年秋にはうつ病を患っていたことが分かった。 とくに女性や、体に機能的制限や慢性的な痛みのある人では、うつ病のリスクは高い傾向が示された。また、家族間の対立や葛藤を経験していた人は、うつ病のリスクが3倍以上に上昇したことが示された。こころの健康状態が良好にみえる人も注意が必要
コロナ禍中に結婚していた参加者は、長期間にわたる隔離やロックダウンにより、家族などと近い距離で生活する必要があり、人間関係が悪化していた可能性も考えられるという。 「このことは、糖尿病のある高齢者のためにより良いサービスを提供するために、改善の余地があることを示しています」と、リー氏は指摘する。 「プライマリヘルスケアの提供者は、たとえ過去にはメンタルヘルスが良好にみえた高齢患者であっても、うつ病の兆候がないかを注意深く見守ることが必要です」としている。周囲のサポートによりうつ病リスクは軽減できる
人とのポジティブな関係は体と心の健康を改善する

手を差し伸べて社会的なつながりを強めることが大切
うつ病のリスクは、研修医ではもっとも多忙な時期などに26%、家族を亡くした人では34%、それぞれ増加した。 しかし、うつ病リスクのスコアの高い人でも、ストレスの多い時期に社会的サポートを受けられると、うつ病の発生率は低下した。 たとえば、夫を亡くした女性のなかには、配偶者を亡くした後、友人や家族に助けを求めたり、話を聞いてもらったり、手を差し伸べてもらった体験のある人が多かった。 うつ病の遺伝的リスクが高いと判定された人も、社会的支援を受けられると、うつ病の症状がはるかに低くなった。社会的支援をえられた人は、遺伝的リスクが低い同世代の人に比べても、うつ病のスコアは低かった。 「今回の研究は、多くのストレスを経験している人に対して、周囲にいる人が手を差し伸べて、社会的なつながりを維持・強化することが重要であることを示すメッセージになります」と、クリアリー氏は述べている。 「とくにうつ病リスクが高いと判定された人では、それを予防・改善するために、社会的つながりを保つことが重要であることが明らかになりました」としている。Pandemic exacerbated depression in older adults with diabetes (ブライトン アンド サセックス医科大学 2024年7月31日)
Exploring the Impact of the COVID-19 Pandemic on Depression in middle-aged and older Canadians with Diabetes: Insights on Incidence, Recurrence, and Risk Factors from the Canadian Longitudinal Study on Aging (Archives of Gerontology and Geriatrics Plus 2024年7月23日)
Support from others in stressful times can ease impact of genetic depression risk (ミシガン大学医学部 2023年1月13日)
Polygenic Risk and Social Support in Predicting Depression Under Stress (American Journal of Psychiatry 2023年1月11日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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