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2024年09月03日
糖尿病の遺伝リスクのある人も糖尿病リスクを減らせる 食事や運動に取り組めば健康に生きられる
食事や運動などの生活スタイルを見直すことで、2型糖尿病の遺伝的リスクが高い人も、糖尿病のリスクを軽減し、健康に生きられることが明らかになった。
食事ガイドラインで推奨されている健康的な食事をしていると、血糖値が改善し、2型糖尿病のリスクが低下することも分かっている。
「生活スタイルを改善することで、糖尿病になりやすい遺伝子をもつ人も、恩恵を受けられることが示されました」と、研究者は述べている。
生活スタイルを改善すれば誰もが糖尿病リスクを下げられる
糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの分泌が減ったり働きが悪くなり、血糖値が上昇することで起こる。 糖尿病の発症と進行には、複雑な要因が関わっており、食事や運動、ストレスなどの生活スタイルが影響するが、社会的・環境的な要因、さらには体質や遺伝的な影響も大きいと考えられている。 このうち遺伝的な影響については、2型糖尿病の人に多くみられる遺伝子が発見されており、そうした糖尿病の遺伝的リスクのある、糖尿病になりやすい体質の人は、少し食べすぎたり運動不足や肥満になっただけでも、血糖値が上がりやすいとみられている。 しかし、食事や運動などの生活スタイルを見直すことで、2型糖尿病の遺伝的リスクが高い人でも、糖尿病のリスクを軽減し、健康に生きられることが、東フィンランド大学による新しい研究で明らかになった。 「生活スタイルを変えることで、遺伝的リスクに関係なく、誰もが恩恵を受けられることが示されました」と、同大学公衆衛生・臨床栄養研究所のマリア ランキネン氏は言う。糖尿病の遺伝リスクの高い人と低い人を比較
研究グループは、2型糖尿病の人の遺伝子を調べている大規模な研究である「T2D-GENES」試験に参加した、フィンランドの50~75歳の男性約1,000人を対象に、3年間の介入試験を行った。 うち600人以上が、食事療法や運動療法の指導を受け、グループミーティングに参加し、オンラインのサポートも受け、生活スタイルの改善に積極的に取り組んだ。 特定の遺伝子に多型(人による遺伝情報の違い)があると、2型糖尿病になりやすくなることが報告されており、糖尿病の遺伝子多型と呼ばれている。 研究グループは、2型糖尿病の発症に関連しているとみられる76の遺伝子を調べ、参加者を糖尿病の遺伝的リスクの高い人と低い人に分けて比較した。糖尿病の遺伝リスクの高い人も生活改善の効果は高い
その結果、生活スタイルの改善に取り組んだグループは、食事の質が大幅に良くなり、運動習慣を維持できるようになり、体重も減少した。 さらには、糖尿病の遺伝的リスクの高い人でも、生活改善に取り組むことで、糖尿病リスクを大幅に減少できることが明らかになった。 これまでに、2型糖尿病のかかりやすさと関連する遺伝子は500以上が特定されている。 これまでの研究でも、食事や運動などの生活スタイルを改善することで、2型糖尿病のリスクを効果的に減らせることが示されているが、2型糖尿病になりやすい遺伝子を多くもつ人にも効果があるかはよく分かっていなかった。毎日の生活に変化を加えて健康を促進
「糖尿病は世界的な問題になっています。国際糖尿病連合(IDF)によると、世界中で成人の11人に1人が糖尿病とともに生き、2型糖尿病はその症例の90%以上を占めます」と、ランキネン氏は指摘する。 「今回の研究で、毎日の生活に積極的に変化を加えることで、誰もがご自分の健康を促進できることが実証されました」。 「さらには、グループやオンラインがベースの生活指導も効果があることも分かりました。医療資源を効果的に活用し、誰もが生活改善に取り組めるようにすることが望まれます」としている。健康的な食事により糖尿病の遺伝リスクのある人も改善できる
Effects of Genetic Risk on Incident Type 2 Diabetes and Glycemia: The T2D-GENE Lifestyle Intervention Trial (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2024年6月18日)
A healthy diet is associated with a lower risk of type 2 diabetes, regardless of genetic risk (東フィンランド大学 2024年6月18日)
Healthy dietary pattern is associated with lower glycemia independently of the genetic risk of type 2 diabetes: a cross-sectional study in Finnish men (European Journal of Nutrition 2024年6月12日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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