ニュース
2024年08月07日
野菜を食べている人は認知症が少ない 糖尿病リスクも減少 野菜の栄養の抗酸化作用 日本人を調査

野菜と果物をよく食べている人は、あまり食べない人に比べ、認知症の発症リスクが男性で13%、女性で15%、それぞれ低いことが、日本人4万人超を対象とした調査で明らかになった。
男性では全野菜・アブラナ科の野菜、女性では全野菜・全果物・緑色野菜・ネギ類野菜をよく食べている人で、認知症リスクは低かった。
野菜をよく食べている人は、あまり食べない人に比べ、糖尿病リスクが低いことも示されている。
糖尿病のある人は認知症リスクが高い
糖尿病のある人は、そうでない人に比べて、認知症のリスクが高いことが知られている。糖尿病の人は、アルツハイマー病に1.5倍なりやすく、脳血管性認知症に2.5倍なりやすいという報告がある。 一方、野菜や果物には、抗酸化作用のあるα-カロテンやβ-カロテン、ビタミンCなどのビタミン、食物繊維などが豊富に含まれている。こうした栄養が、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症に予防的に働いている可能性がある。 「JPHC研究」は、全国の11保健所管内の約14万人の地域住民を対象に、生活習慣とがん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関連について長期追跡している多目的コホート研究で、国立がん研究センターを中心に行われている。 研究グループは、野菜・果物の摂取量、および野菜・果物に関連する抗酸化ビタミンとして、α-カロテン、β-カロテン、ビタミンCの摂取量と、その後の認知症リスクとの関連を明らかにするために調査を行った。男性はアブラナ科の野菜を食べていると認知症リスクが低下
その結果、全野菜・果物の摂取量がもっとも多いグループは、もっとも少ないグループに比べて、認知症の発症リスクは男性で13%、女性で15%低いことが明らかになった。 野菜の種類別でみると、男性では全野菜、アブラナ科の野菜の摂取量がもっとも多いグループで、認知症リスクは12%、16%それぞれ低下した。 アブラナ科の野菜は、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、コマツナ、カブ、ブロッコリー、カリフラワーなどがある。 女性では、全野菜、緑色野菜、ネギ類野菜、全果物の摂取量がもっとも多いグループで、認知症リスクは13%、21%、14%、12%それぞれ低下した。 緑黄色野菜は、ホウレンソウ、ニンジン、ピーマン、トマト、カボチャ、インゲン、オクラ、クレソン、サラダ菜、春菊などがある。
野菜を食べている人は認知症リスクが低い
野菜の種類別摂取量と認知症リスクとの関連 男 性
女 性
野菜の種類別摂取量と認知症リスクとの関連 男 性


出典:国立がん研究センター、2024年
研究グループは今回、1995年と1998年に秋田、長野、沖縄、茨城、高知の5保健所管内に在住していた50~79歳の4万2,643人の男女を2016年まで追跡して調査し、野菜・果物の摂取と、介護保険の要介護認定情報から把握した要介護認知症との関連を調べた。
2006~2016年の追跡期間中(中央値 11年)に、要介護認定情報から4,994人が認知症と判定された。
野菜には抗酸化作用のある栄養が

野菜をよく食べている人は糖尿病リスクが減少
JPHC研究の過去の研究では、野菜をよく食べている男性は、あまり食べない男性に比べ、2型糖尿病の発症リスクが20%低いことが示されている。
とくに、緑の葉野菜を多く食べている男女や、アブラナ科の野菜を多く食べている男性で、糖尿病リスクは低い傾向が示された。
ホウレンソウやコマツナなどの緑の葉野菜には、インスリン感受性を高める、ビタミンCやカロテノイドなどの抗酸化作用のある栄養が多く含まれる。
また、野菜には食物繊維も含まれる。これまでの調査でも、野菜や穀類などから食物繊維を多くとっている人は、2型糖尿病のリスクが低いことが示されている。
「野菜には、抗酸化ビタミンが多く含まれており、過去の疫学研究でも、そうした抗酸化ビタミンを多く摂取している人は、糖尿病リスクが低いという報告があります」と、研究者は述べている。
「また、キャベツやダイコンなどのアブラナ科の野菜に豊富に含まれる辛み成分であるイソチオシアネートにも、抗酸化作用があることが確認されています」としている。
野菜を食べている人は糖尿病リスクが低い
野菜の種類別摂取量と糖尿病リスクとの関連
野菜の種類別摂取量と糖尿病リスクとの関連

出典:国立がん研究センター、2024年
Dietary intake of antioxidant vitamins and risk of stroke: the Japan Public Health Center-based Prospective Study (European Journal of Clinical Nutrition 2017年7月12日)
Vegetable and fruit intake and risk of type 2 diabetes: Japan Public Health Center-based Prospective Study (British Journal of Nutrition 2012年5月9日) 多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- ニンジンやカボチャが血糖値の上昇を抑制 糖尿病の人が食べたい野菜 どう食べると良い?
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法
- 糖尿病が認知症リスクを高める 野菜を食べている人は認知症リスクが低い 中年期の生活改善によりリスク低下
- 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?
- 大豆を食べると糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中も減少 大豆タンパクは腸内細菌にも良い
- 早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」