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2024年08月06日
糖尿病の人は運動をすると健康リスクを減らせる 座ったままの時間の長い人も運動によりリスク低減

糖尿病とともに生きる人は、運動ガイドラインで推奨されている運動量を達成していると、1日に座ったまま過ごす時間が長い場合でも、それに関連する死亡リスクを減らせることが明らかになった。
「座ったまま過ごす時間を減らして、立ちあがって、わずか5分間でも歩いてみるなど体を動かすことが、健康に大きな効果をもたらします」と、研究者は述べている。
運動をすれば座位行動にともなう死亡リスクの上昇を抑えられる
糖尿病とともに生きる人は、運動ガイドラインで推奨されている運動量を達成していると、1日に座ったまま過ごす時間が長い場合でも、それに関連する死亡リスクを減らせることが、6,335人の成人を約6年間追跡した調査で明らかになった。 「糖尿病のある人は、運動を適切に行うことで、毎日長時間座りつづける生活スタイルに関連する死亡リスクの増加を相殺できることが示されました」と、米コロンビア大学公衆衛生大学院疫学部のウェン ダイ氏は言う。 「糖尿病の人にかぎらず、現代では多くの人は1日に座っている時間が長く、運動不足である傾向があり、2型糖尿病が世界中で増えていることを考えると、運動を習慣として行うことは重要です」としている。糖尿病の人は運動不足だと死亡リスクが上昇
研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)に2007~2018年に参加した糖尿病のある成人を2019年まで追跡したデータを解析した。 参加者を、「運動不足」(週に10分未満)、「運動量が中くらい」(週に10~149分)、「運動量が多い」(週に150分以上)に分けて比較したところ、1日の座位時間が長い人でも、運動量が多いとあらゆる原因による死亡のリスクは上昇しなかったが、運動不足の人は死亡リスクが高いことが示された。 なお、参加者の糖尿病の罹患期間は、半数が5年以下で、34%は10年以上だった。平均年齢は60歳で、全体の38%の人は運動不足と判定された。 研究は、米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)の支援を受けて実施されたもので、研究結果は、米国糖尿病学会(ADA)が刊行している医学誌「Diabetes Care」に掲載された。座っている時間を減らして体を動かそう

日本人は座位時間が長く座りすぎのリスクが高い
1日のうちで座っている時間を減らして、わずか数分間でもウォーキングなどの運動に置き換えるだけで、心臓の健康が目に見えて改善することが、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドンなどの研究で明らかになっている。 100万人以上を対象とした研究で、ウォーキングなどの活発な運動を1日60分から75分行うことで、座りすぎがもたらす悪影響を打ち消されることが示された。 「座ったまま過ごす時間を減らして、わずか5分間でも歩いてみるなど、強度を高めた運動をすることが、健康に大きな効果をもたらすことが分かりました」と、同大学スポーツ・運動・健康研究所のジョー ブロジェット氏は言う。 「1日のうちで座ったまま過ごす時間の長い人は、立ちあがって、早歩きや階段のぼりなど、心拍数を上げて呼吸を少し速めるような活発な運動を、たとえ1分や2分でも良いので行うことをお勧めします。運動になれてきたら、その頻度と時間を増やしていくと効果的です」としている。 世界の20ヵ国の座位時間を調べた調査では、日本人は座位時間がもっとも長く、座りすぎのリスクが高いことが示されている。 座位行動 (厚生労働省)Physical Activity Offsets the Mortality Risk Associated with Excessive Sitting Time in Adults With Diabetes (コロンビア大学公衆衛生大学院 2024年7月30日)
Sitting Time and Its Interaction With Physical Activity in Relation to All-Cause and Heart Disease Mortality in U.S. Adults With Diabetes (Diabetes Care 2024年7月19日)
What are the risks of sitting too much? (メイヨークリニック 2022年7月13日)
Any activity is better for your heart than sitting (ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2023年11月10日)
Device-measured physical activity and cardiometabolic health: the Prospective Physical Activity, Sitting, and Sleep (ProPASS) consortium (European Heart Journal 2023年11月10日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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