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2024年08月19日

【夏の水分補給】甘い飲料を飲む習慣があると糖尿病リスクが上昇 おすすめは無糖のお茶や水 4つのアドバイス

 まだまだ暑い日が続く。大量の汗をかく夏場は、水を飲むことで、失った水分を補うことが大切だ。

 しかし、コーラやジュースなどの糖質が多く含まれる甘い飲料を飲むのを習慣にしていると、糖尿病リスクが上昇することが、大規模な調査で明らかになった。

 高カロリーの飲みを、水や無糖のお茶、コーヒーに置き換えると、糖尿病リスクは減ることも分かった。

 甘い炭酸飲料、ジュース、砂糖入りコーヒー、エナジードリンク、スポーツドリンクなどでカロリーをとりすぎないようするため、専門家は4つのことをアドバイスしている。

糖質の多い高カロリー飲料が糖尿病リスクを22%上昇

 水分補給をするときに気を付けたいのは、簡単に手に入るコーラやジュース、缶コーヒーなどの清涼飲料には、糖質が含まれている高カロリーのものが多いことだ。

 糖質の多い高カロリーのソフトドリンクを飲む習慣のある人が、飲む量が1日に1本(320mL)増えただけで、2型糖尿病を発症するリスクが22%上昇することが、欧州8ヵ国の約35万人が参加して行われた大規模なコホート研究で示されている。

 「糖質が含まれる高カロリー飲料を飲む習慣があり、体重が増えてきたという人は、注意する必要があります」と、英国のインペリアル カレッジ ロンドンで栄養疫学を研究しているドラ ロマグエラ氏は言う。

 さらに、低カロリー甘味料の入った飲料を利用しており、体重の増加がなかった人では、糖尿病のリスクは上昇しなかった。

水や無糖のお茶に置き換えると糖尿病リスクは減少

 高カロリーの清涼飲料水を、水や無糖のお茶、コーヒーに置き換えると、糖尿病リスクが減ることが、英ケンブリッジ大学による別の研究で示されている。

 研究グループは、英国で実施された大規模研究に参加した40~79歳の男女2万5,639人を対象に、約11年間追跡して調査した。

 その結果、糖質の含まれる高カロリー飲料を飲まずに、水や無糖のお茶、コーヒーに置き換えた人は、2型糖尿病の発症リスクが14%から25%低下することが示された。

 逆に、高カロリー甘い飲料によるカロリー摂取量が5%増えるごとに、糖尿病のリスクは18%増加することも分かった。

若い人の3分の2が甘い高カロリー飲料を毎日飲んでいる

 若い人の加糖飲料の飲みすぎも課題になっている。

 コーラやジュースなどの糖質が多く含まれる飲料を毎日、1日250mL以上飲んでいる小児と若年者は、2型糖尿病を発症するリスクが高くなるという別の調査結果を、米国心臓学会(AHA)が発表した。

 とくに男子では、糖質の多い甘い飲みものを、毎日1杯(250mL)飲む習慣は、インスリン抵抗性が34%増え、空腹時血糖値が5.6mg/dL増加し、1~2ヵ月の血糖値の平均が反映されるHbA1cが0.12%上昇することと関連していた。

 高カロリー飲料を飲む代わりに、新鮮な野菜や果物を食べるようにすると、糖尿病リスクは上昇しないとしている。

健康的な食事スタイルについて専門家に相談

 AHAによると、米国の小児と若年者の3分の2が、ソーダ・レモネード・エナジードリンクなどの甘い飲み物を、毎日1本以上飲んでいる。

 糖質の多い甘い飲料の飲みすぎが習慣になると、体重が増加し、心臓病・高血圧・2型糖尿病・虫歯などのリスクが高まるとしている。

 「2型糖尿病のリスクは、考えられていたよりも若い年齢ではじまることが分かり、驚いています」と、ハーバード ヘルスケア研究所およびハーバード大学ポピュレーション医学部のソレン ハルノワ ルブラン氏は述べている。

 「糖質が多く加えられた飲料を飲む習慣のある人は、医師や栄養士などの医療従事者に、健康的な食事スタイルについて相談することをお勧めします」としている。

 研究グループは、妊娠中・出産後の女性とその子供を対象に、米国で実施されている長期の大規模調査である「プロジェクト ビバ」に参加した、455人の小児と若年者を対象に調査した。
甘い飲みものを飲みすぎないための4つのアドバイス
 糖質が多く含まれる甘い飲料は、多くの人にとって食事で摂取する糖質の最大の供給源となっている。

 米国心臓学会(AHA)は、甘い炭酸飲料、ジュース、砂糖入りコーヒー、エナジードリンク、スポーツドリンクなどで余分なカロリーをとりすぎないようするため、次の4つのことをアドバイスしている。

加工食品に表示された栄養表示と原材料名をみる
 エナジードリンクやボトル入りスムージーなど、体に良さそうにみえる飲み物にも、糖質が多く加えられている場合があります。
 コーラやジュースなどの清涼飲料や、お菓子やスイーツなどの甘味の強い加工食品の多くに、甘味料として「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」が使われています。
 そうした飲料や食品を多く利用している人で、肥満や2型糖尿病などの代謝疾患が多くみられます。
 そうした食品は手早く利用することができますが、高カロリーで、体に良い食物繊維や必須栄養素はあまり含まれていないことが多いので注意が必要です。

無糖のお茶や水に徐々に慣れる
 高カロリーの清涼飲料水を、水や無糖のお茶、コーヒーなどに置き換えると、肥満や糖尿病のリスクを減らせます。甘い飲みものを習慣として飲んでいる人は、半分を甘味を抑えた飲みものに変えるなどして、徐々に慣れるようにすると上手くいきます。

水分補給はなるべく水で
 水分補給するのにもっとも適しているのは、糖質の含まれていない普通の水です。ミネラルウォーターなどの入ったボトルを持ち歩いたり、机に置いておくと、水を飲みことを習慣にできます。

野菜や果物の入ったスムージーを利用
 甘いものが食べたいときや午後にエネルギーを補給したいときは、甘いコーヒーや炭酸飲料の代わりに、自家製スムージーを作ってみましょう。野菜や果物、ヨーグルトを使ったスムージーは簡単に作れます。砂糖を加えすぎないように注意しましょう。

Sugary Drinks (ハーバード公衆衛生大学院 2023年8月)
Rethink Your Drink: How to Reduce Sugary Drinks (米国心臓学会 2024年8月2日)
Drinking one 12-ounce sugar-sweetened soft drink a day can increase the risk of type 2 diabetes by 22 percent, study suggests (Diabetologia 2013年4月24日)
Consumption of sweet beverages and type 2 diabetes incidence in European adults: results from EPIC-InterAct (Diabetologia 2013年4月26日)
Replacing one serving of sugary drink per day by water or unsweetened tea or coffee cuts risk of type 2 diabetes, study shows (Diabetologia 2015年4月30日)
Prospective associations and population impact of sweet beverage intake and type 2 diabetes, and effects of substitutions with alternative beverages (Diabetologia 2015年5月6日)
Sugary drinks, fruit juices linked to higher risk of developing Type 2 diabetes among boys (米国心臓学会 2024年3月19日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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