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2024年08月02日

白米を玄米に変えて糖尿病リスクを低下 食物繊維と栄養が豊富な「全粒穀物」で糖尿病を改善

 玄米、麦ごはん、全粒粉パン、全粒シリアルなどの全粒穀物は、白米などの精製穀物に比べて、GI値が低く、血糖値を上げにくいことが知られている。

 全粒穀物を食べると、2型糖尿病のリスクが大幅に減少することが示されている。週に白米を5回以上食べている人が、うち2回を玄米に変えるだけでも、糖尿病リスクを下げられるという。

 全粒粉で作ったパンは、精白された小麦粉で作ったパンに比べて、主要なミネラルの含有量が大幅に多いという最新の調査結果を、米国栄養学会(ASN)が発表した。

玄米などの全粒穀物は血糖値を上げにくい

 全粒穀物は、精白されていない穀物で、胚芽・胚乳・外皮などが取り除かれていないぶん、食物繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質などが多く含まれる。

 一般的に、血糖値が上がりやすいのは、ごはんやパン、麺などの主食や、ジャガイモ、お菓子、高カロリーの清涼飲料など、糖質の多い食品だ。

 しかし、玄米、麦ごはん、全粒粉パン、全粒シリアルなどの全粒穀物は、白米などの精製穀物に比べて、GI値が低く、血糖値を上げにくいことが知られている。

 「グリセミック・インデックス(GI)」は、食後血糖値の上昇度を示す指数のこと。GI値の高い食品を食べると、血糖値が短時間で上昇しやすい。

 食事のGI値を低くし、血糖値が上がりにくくするために、食物繊維が豊富に含まれる「全粒穀物」を利用する方法がある。

白米を玄米などに変えると糖尿病リスクは減少

 白米を玄米などの全粒穀物に変えると、糖尿病リスクが減少するという研究を、米国のハーバード公衆衛生大学院が発表している。

 研究グループによると、1日の摂取量の3分の1(50g)の白米を玄米に変えると、2型糖尿病のリスクが16%減少するという。精白穀物をすべて全粒穀物に変えると、リスクは36%低下する。

 週に白米を5回以上食べている人が、うち2回を玄米に変えるだけでも、2型糖尿病のリスクを下げられる可能性があるという。

 研究グループは、米国の3万9,765人の男性と15万7,463人の女性が参加した大規模調査のデータを解析した。

 「白米などの精白された穀物を、玄米などの全粒穀物に置き換えることは、2型糖尿病のリスクを下げるのに役立つとみられます。米国でも米の消費量は、この数十年で増えています」と、同大学院栄養疫学部のチー サン氏は言う。

 「米はアジア地域でよく食べられていますが、玄米を食べることは民族性とは関係がなく、より健康志向の高い食事スタイルになりえます」としている。

全粒穀物を食べると食物繊維を摂取できる

 東フィンランド大学などによる別の研究でも、全粒穀物を食べると、2型糖尿病のリスクが大幅に減少することが示されている。

 1日の食事で1食に全粒穀物を取り入れただけでも、2型糖尿病の発生リスクは減少し、糖尿病のある人の合併症のリスクも減るという。その結果、糖尿病に関連する医療費などの直接的なコストも削減できるとしている。

 研究グループは、フィンランドで実施された全国的な追跡調査の結果を利用して、全粒穀物の摂取量の増加が2型糖尿病の予防にもたらす影響について調査した。

 全粒穀物は体重コントロールにも役立つ可能性があり、2型糖尿病を予防・改善するためのカギになるとしている。

 「フィンランド人の3分の1は、毎日1回も全粒穀物を食べておらず、3分の2は食物繊維の摂取量が足りていないことが課題になっています」と、フィンランド保健福祉研究所のヤアナ リンドストローム氏は述べている。

 「食物繊維を毎日とることと糖尿病リスクの低下との関連は、多くの研究で確かめられています」としている。

全粒粉のパンは栄養が豊富 米国栄養学会が発表

 精白された小麦粉で作ったパンは、全粒粉で作ったパンに比べて、主要なミネラルの含有量が4分の3近く減少しているという最新の調査結果を、米国栄養学会(ASN)が発表した。

 「精製度の低い小麦パンと精製度の高い小麦パンを比べて、栄養価に大きな違いがあることが明らかになりました」と、カリフォルニア大学で食品科学を研究しているデビッド キリリア氏は言う。

 「全粒粉を多く含む食事をとることが重要であることがあらためて示されました」としている。

 研究グループは、単一農場から入手した小麦の穀粒を製粉して、3種類の小麦粉を製造し、その小麦粉を使ってパンを作った。各段階でカルシウム・マグネシウム・リン・カリウムなどの主要ミネラル、銅・鉄・亜鉛などの微量ミネラル、カロテノイド、ビタミンEの含有量を比べた。

 その結果、精白された小麦粉で作ったパンは、全粒粉で作ったパンに比べて、主要ミネラルは最大で72%減少し、微量ミネラルは最大で64%減少していることが分かった。

 精白された小麦粉は、ビタミンEやカロテノイドの含有量も大幅に少ないことも分かった。精白する過程で、ビタミンEは5分の1未満に、カロテノイドは4分の1未満に減ることが示された。

 米国の食事ガイドラインでは、摂取する穀物の少なくとも半分を全粒粉からとることが推奨されているが、ほとんどの米国人はこの推奨値を満たしていないという。

Get to Know Carbs (米国糖尿病学会)
Can brown rice slow the spread of type 2 diabetes? (ハーバード公衆衛生大学院 2012年1月3日)
Brown Rice or White Rice: Glucose Control (スタンフォード大学)
Replacing white rice with brown rice or other whole grains may reduce diabetes risk (ハーバード公衆衛生大学院 2010年6月14日)
White Rice, Brown Rice, and Risk of Type 2 Diabetes in US Men and Women (JAMA Internal Medicine 2010年6月14日)
Whole-Grain Processing and Glycemic Control in Type 2 Diabetes: A Randomized Crossover Trial (Diabetes Care 2020年5月18日)
Increased consumption of whole grains could significantly reduce the economic impact of type 2 diabetes(東フィンランド大学 2021年10月25日)
Type 2 Diabetes-Related Health Economic Impact Associated with Increased Whole Grains Consumption among Adults in Finland(Nutrients 2021年10月13日)
Farm-to-table study reveals why whole grains are healthiest (米国栄養学会 2024年7月1日)
Whole-Grain Processing and Glycemic Control in Type 2 Diabetes: A Randomized Crossover Trial (Diabetes Care 2020年5月18日)
Whole grains one of the most important food groups for preventing type 2 diabetes (Chalmers University Of Technology 2018年9月5日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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