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2024年01月25日

「納豆」は糖尿病の人も活用したい食品 毎日食べている人は心筋梗塞や脳卒中のリスクが減少

 「納豆」は、日本の伝統的な発酵食品で、食卓の定番として親しまれており、栄養価が優れていることが知られている。

 2型糖尿病のある人が、納豆などの大豆食品を食べていると、血糖や脂質の代謝が改善し、腎臓も保護されることが明らかになった。

 納豆をよく食べている人は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが低いことが、日本人を対象としたコホート研究でも明らかになっている。

日本食の魅力は「発酵食品」を食べること

 日本食の魅力は、野菜・魚・海藻・キノコなどを食べる、ヘルシーでバランスの良い食事スタイルであること。さらには、発酵食品をよく食べることだ。

 「納豆」は、日本の伝統的な発酵食品で、食卓の定番として親しまれており、栄養価が優れていることも知られている。コロナ禍で自己免疫力の重要性が再認識され、日本の発酵食品はますます注目されている。

 納豆に含まれる納豆菌は、腸内で乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を助ける働きをする。腸内の善玉菌を増やして、腸内環境を整えるのに役立つ。

 納豆菌、ナットウキナーゼなどによる高い栄養価に加え、原料の大豆に含まれるイソフラボンや食物繊維、ビタミンK2、植物性の脂肪やタンパク質などの効果も期待できることから、「最強の発酵食品」とも呼ばれている。

 以前は納豆をよく食べる地域は関東や東北だったが、近年は健康に良いことが知られるようになり、関西や西日本でも食べられるようになった。納豆の消費量はこの20年間で増えている。

糖尿病の人にとって納豆などの「大豆食品」は賢い選択

 2型糖尿病のある人が、納豆などの大豆食品を食べていると、血糖や脂質の代謝が改善し、腎臓も保護されることが、中国の長春中医薬大学や中国医学科学院などの研究で明らかになった。

 研究グループは、大豆タンパクをとることが糖尿病にどのように影響するかを調べるため、116人の参加者を対象とした6件のランダム化臨床試験の結果を解析した。

 その結果、大豆食品を食べている人は、そうでない人に比べ、空腹時血糖や体重、善玉のHDLコレステロール、悪玉のLDLコレステロールなどが改善しやすいことが分かった。

 食事でとるタンパク質の35%以上を大豆などの植物性食品からとると効果を期待できるという。「納豆などの大豆食品を取り入れた食事は、2型糖尿病の人にとって最良の選択になる可能性があります」と、中国医学科学院のボクスン チャン氏は述べている。

納豆を毎日食べている人は心血管疾患のリスクが減少

 大豆食品を食べる習慣は、2型糖尿病や心臓病のリスクを減らすのに役立つという、別の研究も発表されている。

 中国の国立老年病臨床研究センターや西南医科大学などの研究で、イソフラボンを豊富に含む大豆食品を食べている人は、糖尿病や心臓病などのリスクが低いことが示された。

 1,963件の研究を解析した結果、大豆食品を食べる習慣のある人は、2型糖尿病・心血管疾患・冠状動脈性心疾患・脳卒中のリスクが17%低いことが明らかになった。

 とくに納豆を毎日10g以上食べている人は、心血管疾患のリスクが17%低く、とくに脳卒中のリスクが減少することが明らかになった。

 大豆食品に多く含まれる大豆イソフラボンが、インスリン感受性を媒介する受容体である転写調節因子を活性化し、グルコースの取り込みを改善し、糖尿病を改善している可能性があるという。

 「納豆などの大豆食品を食べる習慣があると、コレステロールや血糖値が下がりやすくなり、糖尿病の人では耐糖能異常の改善を期待できます」と、同大学のシンロン ズオ氏は述べている。

日本の研究でも納豆を食べている人は健康的であることが判明

発酵性大豆食品を食べている人は心筋梗塞や脳卒中のリスクが低い

 納豆や味噌などの発酵性大豆食品をよく食べている人は、死亡リスクが低いことが、日本人を対象としたコホート研究でも明らかになっている。

 とくに納豆は効果が高く、納豆をよく食べている人は、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが低いことが示された。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 国立がん研究センターなどの研究グループは、JPHC研究に参加した、日本の5つの保健所エリアに在住していた45~74歳の男女9万2,915人を対象に15年近く追跡して調査した。

納豆を食べている人は死亡リスクが20%以上減少

 その結果、発酵性大豆食品の摂取量が多い男性は、心筋梗塞や脳卒中などによるによる死亡リスクが18%減少することが明らかになった。

 とくに納豆をよく食べている人は、それらの疾患による死亡リスクが、男性で24%、女性で21%低いことが示された。

 「納豆の摂取量が多いほど循環器疾患死亡リスクが低いという関連がみられました。大豆には、タンパク質や食物繊維、ミネラル、イソフラボンといったさまざまな成分が含まれ、血圧・体重・血中脂質などに良い効果を及ぼすことが報告されています」と、研究者は述べている。

 「納豆などの発酵性大豆食品は、加工の過程で成分の消失が少ないことも、理由のひとつと考えられます」としている。

納豆をよく食べている人は循環器疾患による死亡リスクが低い
大豆食品の摂取量とがんや循環器疾患による死亡との関連

出典:国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト、2020年

Comparison of the effects of different percentages of soy protein in the diet on patients with type 2 diabetic nephropathy: systematic reviews and network meta-analysis (Frontiers in Nutrition 2023年8月24日)
Soy Consumption and the Risk of Type 2 Diabetes and Cardiovascular Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis (Nutrients 2023年3月10日)
Fermented soy products linked to lower risk of death (BMJ 2020年1月29日)
Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study (BMJ 2020年1月29日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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