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2024年01月29日
タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すれば2型糖尿病のリスクが30~40%減少

タバコを吸う習慣のある人は、禁煙をすることで、2型糖尿病のリスクが30~40%低下することが明らかになった。
禁煙することで、糖尿病の管理を大幅に改善でき、糖尿病合併症のリスクも軽減できるとしている。
タバコは糖尿病リスクを高める 合併症のリスクが上昇
タバコを吸う習慣のある人は、禁煙をすることで、2型糖尿病の発症リスクが30~40%低下することが、国際糖尿病連合(IDF)、世界保健機関(WHO)、オーストラリアのニューカッスル大学の研究で明らかになった。 喫煙習慣は、2型糖尿病のリスクを高めることが知られている。喫煙が2型糖尿病の人に多いインスリン抵抗性のリスクを高めると報告されている。 細胞にブドウ糖を取り込むインスリンの効きが悪くなるのがインスリン抵抗性。2型糖尿病の人の多くは、体質や加齢が影響しインスリン分泌が低下し、それにインスリン抵抗性が加わることで、糖尿病を発症すると考えられている。 喫煙はまた、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓病、失明などの糖尿病合併症のリスクを高める。喫煙習慣があると、糖尿病性神経障害や足潰瘍も起こりやすくなり、下肢切断のリスクが高まる。禁煙すれば糖尿病による負担を確実に減らせる
国際糖尿病連合(IDF)は、世界で糖尿病とともに生きる人の数は5億3,700万人に上ると推定している。 糖尿病症例の95%以上を占める2型糖尿病は、世界でもっとも蔓延している慢性疾患のひとつだが、2型糖尿病は多くの場合で予防・改善が可能としている。 「喫煙は、2型糖尿病の発症リスクに寄与し、糖尿病が引き起こす、生命を脅かす合併症の発症リスクも高めます」と、ノルウェーのノルド大学の教授でIDFの会長であるアクタル フセイン氏は言う。 「伝えるべきメッセージは明確です。禁煙は、肺や心臓を健康にするために必要で、2型糖尿病による負担を軽減するための具体的で確実な一歩になるということです」。 「IDFは、糖尿病リスクを軽減し、糖尿病がある人では合併症の発症を予防したり遅らせるために、禁煙することを強く推奨します」。 「医療従事者は、2型糖尿病の人の禁煙の動機付けと指導で重要な役割を担っています」。 「私たちは各国の政府に対し、喫煙が健康障害をもたらすことを多くの人に知ってもらい、すべての公共スペースからタバコの煙を除去する措置を導入するよう求めます」と述べている。タバコと糖尿病
喫煙習慣は、糖尿病とともに生きる人に悪影響を及ぼす。国際糖尿病連合(IDF)や世界保健機関(WHO)は、タバコの害について、次のように解説している。
- 糖尿病を放置していると、失明・腎臓病・心臓病・脳卒中・下肢切断などの深刻な合併症が引き起こされます。タバコを吸う習慣のある人にとって、禁煙をすることは、これらの合併症の発症リスクを減らすための重要なステップになります。
- 禁煙は、糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病を発症するリスクを30〜40%低下させ、糖尿病の管理を改善するのに役立ちます。
- 喫煙習慣は、2型糖尿病患者にとって深刻な合併症である心血管疾患の発症リスクも大幅に高めます。
- 喫煙習慣があると、糖尿病性神経障害や足潰瘍が起こりやすくなり、治療もとどこおるようになります。禁煙すれば、そうした合併症のリスクが減り、健康を長期にわたり維持できるようになります。
- 喫煙は、網膜の血管を傷つけ、糖尿病の合併症である網膜症や視力低下のリスクを高めます。タバコを止めることは、これらの合併症のリスクを減らし、視力を守るのに役立ちます。
- 喫煙者だけでなく、受動喫煙にさらされている人も、若い年齢で2型糖尿病を発症するリスクが高まります。各国政府は、屋内の公共の場での禁煙を推進し、国民を守るべきです。
タバコと糖尿病 (国際糖尿病連合)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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