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2024年01月30日

糖尿病の診断を受けたときにすでに合併症を発症 84%が「もっとできることがあった」と後悔 国際糖尿病連合

 糖尿病とともに生きる人の3人に2人以上が、糖尿病の診断を受けたときに、すでに合併症を発症していたことが、国際糖尿病連合(IDF)による世界規模の調査で明らかになった。

 合併症のリスクは、糖尿病とともに生きる人々に大きなストレスをもたらしている。調査の回答者の半数以上は、「糖尿病に関連する合併症の発症を、ほぼ毎日心配している」と回答した。

 「糖尿病のリスクがある人々が、合併症の発症を防いだり遅らせるためにできることがあります。ご自分のリスクを知り、どのような対策ができるかを知ることが重要です」と、研究者は強調している。

糖尿病の診断を受けたときに3人に2人以上がすでに合併症を発症

 糖尿病とともに生きる人の3人に2人以上が、糖尿病の診断を受けたときに、すでに合併症を発症していたことが、国際糖尿病連合(IDF)による世界規模の調査で明らかになった。

 糖尿病のある人の72%は、診断を受けた時に、視力障害・神経障害・心臓病など、糖尿病が引き起こす合併症を1つ以上もっていた。

 さらに、調査に協力した人のほとんど(94%)は、糖尿病とともに歩む人生で、糖尿病合併症を1つ以上経験していることが分かった。

 合併症を発症した人の5人に4人(84%)が、「もっとできることがあった」と後悔していることも示された。また、3人に2人(62%)は、「医療サービスへのアクセスが十分ではなかった」と回答した。

 調査は、IDFが市場調査機関を通じて、スペイン・ブラジル・メキシコ・パキスタン・インド・中国・ナイジェリアなどで、糖尿病のある成人700人を対象にオンラインで実施したもの。結果は、2023年の「世界糖尿病デー」に発表された。

糖尿病を放置していると命に関わる合併症が引き起こされる

 合併症のリスクは、糖尿病とともに生きる人々に大きなストレスをもたらしている。調査の回答者の半数以上(55%)は、「糖尿病に関連する合併症の発症を、ほぼ毎日心配している」と回答した。

 糖尿病のある人が、血糖値が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳卒中、認知症など、命に関わる合併症を発症する危険性が高まる。

 原因となるのは、血液中のブドウ糖が過剰に増えたことで、全身の血管が傷つくことだ。

 糖尿病を発症したばかりの時期は、多くの場合は自覚症状が少ない。しかし、血糖値が高い状態を長く放置していると、心臓・目・腎臓・足などに、深刻な合併症が引き起こされる。

 糖尿病合併症は、▼早期に発見し、▼医療機関で適切な治療を受け、▼適切な情報にもとづくセルフケアを行うことで、大幅にリスクを軽減できる。

 「糖尿病の合併症を起こさない、悪くしないためには、血糖値を目標の値に管理することが重要です。血圧やコレステロールの値や、体重などを、望ましい範囲に管理することも必要となります」と、研究者は述べている。

糖尿病の発症には社会環境的な因子も関わっている

 2型糖尿病の発症には、遺伝的な因子も大きく関わることが分かっているが、健康的な食事や、適度な運動、過体重・肥満の解消など、生活スタイルの改善により、合併症のリスクを減らせることが、多くの研究で示されている。

 2型糖尿病の発症には、体質などの遺伝的な因子に加え、社会環境的な因子も関わっていると考えられている。

 また、1型糖尿病は、糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病とは、発症要因や治療の考え方はまったく異なる。1型糖尿病は、「自己免疫」を主な原因として、膵臓のβ細胞が破壊され、血糖値を下げるインスリンを体内で作れなくなり発症する。

 1型糖尿病の治療法は、絶対的に不足しているインスリンを、注射やインスリンポンプにより補充すること。食事療法や運動療法が必要となる2型糖尿病とは、治療の考え方はまったく異なる。

糖尿病を管理する最善の方法について理解を高めることが大切

 ノルウェーのノルド大学の教授で国際糖尿病連合(IDF)の会長でもあるアクタル フセイン氏は、次のようにコメントしている。

 糖尿病に対する意識を高め、合併症を早期に発見し、その管理をサポートするための教育を提供するために、さらに多くのことを行う必要があります。
 私たちが学んだことは、糖尿病の合併症があらわれるまで、糖尿病が発見されない人が世界には多いということです。
 糖尿病とともに生きる人々は、適切な情報を入手し、治療を受けていれば、合併症のリスクを大幅に軽減できることが明らかになっています。
 糖尿病のリスクがある人々が、合併症の発症を防いだり遅らせるために実行できることがあります。ご自分のリスクを知り、どのような対策ができるかを知ることが重要です。

 とくに医療体制が十分に整備されていない途上国では、糖尿病の診断と治療の開始が遅れる患者が多いという。

 そうした国では、糖尿病が発見されたときには、すでに合併症を発症していたという人が多い。合併症で多いのは、目(46%)、足(38%)、口腔の健康(37%)であることが示された。

 フセイン氏は、次のように付け加えている。

 糖尿病の適切なサポートが受けられない人にとって、糖尿病とその合併症は、日常生活に深刻な影響をおよぼし、場合によっては生命を脅かすこともあります。
 糖尿病を管理する最善の方法について、理解を高めることが大切です。糖尿病とともに生きる人が、自分の糖尿病のリスクを知り、利用可能な最良の医療サービスにアクセスできるようにするため、改善する必要があります。
 医療従事者も、糖尿病を早期に診断し、適切なサポートを提供するために、医療体制とリソースを整備する必要があります。

国際糖尿病連合(IDF)
世界糖尿病デー
More than two in three people with diabetes already have complications at diagnosis (国際糖尿病連合 2023年11月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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