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2024年08月14日

ヨーグルトを食べると糖尿病・高血圧のリスクが低下 ハチミツを加えると腸内の善玉菌が増えやすい

 ヨーグルトを食べている人は、2型糖尿病や高血圧のリスクが低いことが、大規模な調査で示されている。

 発酵乳製品に含まれる栄養や、プロバイオティクスによる腸内環境の改善が、糖尿病や高血圧のリスクを低下させている可能性がある。

 プレーンヨーグルトを食べるのが好きな人は、スプーン1杯のハチミツを加えると、甘みが加わりおいしくなるだけでなく、健康にも良いことが、新しい研究で示された。

ヨーグルトを食べている人は糖尿病リスクが低い

 米ハーバード公衆衛生大学院などによる、米国の計19万4,458人を対象とした3件の大規模な調査を解析した研究で、ヨーグルトを食べる習慣のある人は、糖尿病のリスクが低いことが示されている。

 ヨーグルトを毎日1食食べている人は、2型糖尿病の発症リスクが18%低いことが示された。

 「ヨーグルトが糖尿病のリスクを減少するメカニズムについて、すべては解明されていませんが、乳製品に含まれるカルシウムやマグネシウム、あるいは特定の脂肪酸が、2型糖尿病のリスクを低下させている可能性があります」と、同大学院栄養・疫学部のフランク フー教授は言う。

 「また、ヨーグルトが腸内環境を改善するプロバイオティクスの効果が、炎症を軽減するのに役立っており、インスリン感受性を改善し、血糖値を下げるインスリンの効きを良くしている可能性も考えられます」としている。

 ヨーグルトが糖尿病のリスクを低下させる因果関係を確かめるために、大規模なランダム化比較試験の実施が必要としている。

ジャンクフードをヨーグルトに置き換えると糖尿病リスクは低下

 英ケンブリッジ大学による別の研究でも、ヨーグルトを食べている人は、2型糖尿病のリスクが最大で28%低いことが示されている。ヨーグルトが、糖代謝を改善している可能性があるとしている。

 研究グループは、2型糖尿病を発症した人を含む、英国に在住する2万5,000人以上の成人を11年追跡した研究のデータを解析した。その結果、ヨーグルトを食べている人は、2型糖尿病の発症リスクが低いことが分かった。

 とくに、ポテトチップスやドーナツ、スナック菓子などの、糖質や脂肪の多い高カロリーの食品を食べるのを控えて、代わりに無糖のヨーグルトを食べるようにすると、糖尿病リスクの減少を期待できるという。

 「牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品には、良質なタンパク質、脂肪、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムなどが含まれており、とくに発酵乳製品にはビタミンKも含まれます」と、同大学医学研究会議(MRC)疫学部門のニタ フォルーヒ氏は指摘している。

 「ヨーグルトなどの発酵食品は、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を減らし、腸内環境を改善する、プロバイオティクスの効果も期待できます」としている。

 「糖質が加えられた甘い飲料や食品を食べすぎると、健康に悪いという報告が増えているなかで、低脂肪のヨーグルトなどの発酵乳製品が健康に良いというメッセージは心強いです」としている。

高血圧のある人がヨーグルトを食べると心血管疾患リスクが減少

 高血圧のある人は心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの心血管疾患のリスクが高くなるが、ヨーグルトを食べている人は、そうしたリスクが低下することが、別の調査で確かめられている。

 これまで、乳製品の摂取が心血管の健康に有益な効果をもたらすことが示されているが、とくにヨーグルトは、心血管疾患のリスクの減少と独立して関係している可能性があるという。

 研究グループは、米国で実施されている看護師健康調査に参加した高血圧のある30~55歳の女性5万5,898人と、医療従事者追跡調査に参加した高血圧のある40~75歳の男性1万8,232人を対象に調査した。

 その結果、ヨーグルトを週に2回以上食べている人は、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが20%低いことが分かった。

 「ヨーグルトを食べる習慣と、健康的な食事との組み合わせは、高血圧のある男女の心血管疾患リスクの大幅な低下と関連していることが示されました」と、米ボストン大学医学部のジャスティン ブエンディア氏は言う。

 「食物繊維が豊富に含まれる野菜や全粒穀物を食べる健康的な食事スタイルに、ヨーグルトを加えると、心臓の健康に効果がある可能性があります」としている。

ヨーグルトにハチミツを加えると腸内の善玉菌が増えやすい

 朝にプレーンヨーグルトを食べるのが好きな人は、スプーン1杯のハチミツを加えると、甘みが加わりおいしくなるだけでなく、健康にも良いことが、新しい研究で示された。

 ハチミツは、ヨーグルトなどの発酵乳製品のプロバイオティクス効果を高める可能性があるという。

 「ヨーグルトに、大さじ1杯くらいのハチミツを組み合わせると、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌などの有用菌が腸内で生きのびやすくなることが分かりました」と、米イリノイ大学農業・消費者・環境科学部のハンナ ホルシャー氏は言う。

 「ハチミツには糖質も多く含まれるために、食べすぎは肥満の多い米国人には勧められないものの、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの栄養が含まれるため、適量を食べることが勧められます」としている。

 研究グループは実験により、アルファルファ、ソバ、クローバー、オレンジの花から集めた4種類のハチミツが、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌の生存率を高めることを確かめた。

 さらに、66人の健康な成人を対象に、クローバーのハチミツ入りヨーグルトと、低温殺菌・熱処理ヨーグルトをそれぞれ2週間食べてもらい、腸内細菌や健康状態にどのような変化があらわれるかを調べた。

 その結果、ヨーグルトとハチミツを組み合わせると、ヨーグルトのプロバイオティクス菌が腸内で増えやすくなることが分かった。

Yogurt may reduce type 2 diabetes risk (ハーバード公衆衛生大学院 2014年11月25日)
Does a yogurt a day keep diabetes away? (BioMed Central 2014年11月25日)
Dairy consumption and risk of type 2 diabetes: 3 cohorts of US adults and an updated meta-analysis (BMC Medicine 2014年11月25日)
Study shows yogurt consumption reduces the risk of type 2 diabetes (Diabetologia 2014年2月5日)
Dietary dairy product intake and incident type 2 diabetes: a prospective study using dietary data from a 7-day food diary (Diabetologia 2014年2月8日)
Eating yogurt may reduce cardiovascular disease risk(オックスフォード大学 2018年2月15日)
Regular Yogurt Intake and Risk of Cardiovascular Disease Among Hypertensive Adults( American Journal of Hypertension 2018年2月15日)
Honey added to yogurt supports probiotic cultures for digestive health (イリノイ大学農業・消費者・環境科学部 2024年8月5日)
Honey Added to Yogurt with Bifidobacterium animalis subsp. lactis DN-173 010/CNCM I-2494 Supports Probiotic Enrichment but Does Not Reduce Intestinal Transit Time in Healthy Adults: A Randomized, Controlled, Crossover Trial (Journal of Nutrition 2024年6月1日)
Honey Varietals Differentially Impact Bifidobacterium animalis ssp. lactis Survivability in Yogurt through Simulated In Vitro Digestion (Journal of Nutrition 2024年3月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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