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2024年11月06日
インフルエンザ流行に備えて 糖尿病の人は予防のために「ワクチン接種」を受けることを推奨
日本でも各地で、インフルエンザの流行シーズン入りが伝えられている。
インフルエンザや新型コロナのワクチンの予防接種は効果があると発表された。「ワクチンは、発病を予防し、発病後の重症化や死亡を予防する一定の効果があります」と呼びかけられている。
「予防のための最善の方法は、ワクチン接種を受けることです。ワクチンは安全で、重症化を防ぐのに非常に効果的であることが分かっています」と、専門家は指摘している。
糖尿病の人はインフルエンザの予防接種を受ける必要が
糖尿病とともに生きる人は、インフルエンザなどのワクチンの定期予防接種が推奨されている。 糖尿病の人は、良好な血糖管理を維持できていないと、インフルエンザや新型コロナなど、さまざまな感染症にかかりやすく、重症化しやすいと言われている。 血糖値が高い状態が続くと、白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、免疫が低下し、体が病原菌と十分に戦えない状態になっている場合がある。 重症な感染を予防するために、ワクチンの接種を受けるのは効果が高い。「最新のワクチンの接種を受けることは、糖尿病の人に大きな利益をもたらし、感染症に対する重要な防御手段になります」と、米国糖尿病学会(ADA)では呼びかけている。 「糖尿病の人は一般的に、毎年インフルエンザの予防接種を受ける必要があります。予防接種により、インフルエンザを100%予防できるわけではないにしても、約6ヵ月間インフルエンザにかかる可能性が低くなります。ワクチン接種について、主治医と相談することが大切です」としている。インフルエンザワクチンは効果がある
インフルエンザウイルスに感染し発症すると、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状があらわれる。普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状もみられる。高齢者や免疫力の低下している人では、二次性の肺炎など重症化することもあるので注意が必要だ。 季節性インフルエンザは流行性があり、日本では例年12月~3月が流行シーズン。いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がるおそれがある。 日本の厚生労働省では、「高齢者に対するインフルエンザワクチンによって、重症な肺炎などにかかることを予防できます。65歳以上の方と、60~64歳で一定の基礎疾患がある方は毎年1回接種ができます」と呼びかけている。 インフルエンザワクチンは、接種を受ければインフルエンザに絶対にかからないというものではないが、インフルエンザの発病を予防し、発病後の重症化や死亡を予防する一定の効果がある。 国内の研究によると、65歳以上の高齢者施設に入所している高齢者については、34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった。対象者は予防ワクチンの接種を受けた方が良い
アルゼンチンやブラジルなどの南半球で流行したインフルエンザウイルスは、その後、北半球の冬季に流行する可能性があるので、南半球のインフルエンザの流行状況は注視されている。 米国疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、今年のインフルエンザワクチンは南半球で、インフルエンザに感染した人が重症化して入院が必要となるリスクを35%減らした。 呼吸器疾患、心臓病、糖尿病、腎臓病などの基礎疾患があり、インフルエンザが重症化するリスクが高い人々では、入院リスクは59%減り、ワクチンの効果はさらに高いことが示された。 こうしたデータについて、「生後6ヵ月以上のすべての対象者は、インフルエンザの予防ワクチンの接種を受けるべきだという、CDCとWHO(世界保健機関)の推奨を支持するものです」と、米国国立予防接種・呼吸器疾患センターのエリカ ゼノ氏らは述べている。 「手洗いやマスク着用などの生活上の対策と、ワクチン接種を受けること、さらには感染して発症した場合の早期の抗ウイルス治療には、ウイルスの拡散を抑える強力な予防効果があります」としている。若くて健康な人も感染し重症化する可能性が
オハイオ州立大学医療センターの調査によると、インフルエンザや新型コロナなどの季節性ウイルスの流行に備えて、ワクチン接種を受けるなど何らかの対策をしている米国人は、87%と大多数に上る。 その一方で、インフルエンザなどのリスクが高くなければ、ワクチンなどは必要ないと考えている人も3分の1に上ることも分かった。調査は、2023年10月に1,007人の米国成人を対象に実施したもの。 「残念ながら、呼吸器感染症の原因になるウイルスは、若くて健康な人であっても、感染し重症化する可能性があることを知らない人が多くいます」と、同センター呼吸器科の専門家であるメガン コンロイ氏は言う。 「予防のための最善の方法は、ワクチン接種を受けることです。ワクチンは安全で、重症化を防ぐのに非常に効果的であることが分かっています」としている。
米国人の87%がインフルエンザや新型コロナなどの流行に備えて対策
出典:オハイオ州立大学医療センター、2024年
新型コロナに感染 ワクチン接種を受けていなかったことを後悔
オハイオ州在住のジョー ジェームズさん(29歳)は、2年前に新型コロナに感染するまで、呼吸器疾患の心配をしていなかった。若くて持病もなかったため、ワクチン接種を受けていなかった。 新型コロナに感染したとき、最初の数日間はインフルエンザのような症状が出てきて、7日目に寝ているときに息切れがあり、目が覚めたときに何かひどくおかしいと思ったという。 病院で検査を受けると、酸素飽和度が70%台半ばで、呼吸不全におちいっていることが分かった。肺や心臓に異常があり酸素を取り込む能力が落ちてくると、酸素飽和度は下がっていく。正常な数値は95~100%だ。 ジェームズさんは地元の病院の集中治療室に入院し、容態が悪化したため数週間後にオハイオ州立大学に救急ヘリで搬送された。人工呼吸器を装着し、手術も受けたが、肺が治るのに長い時間が必要になった。多くの合併症を抱え、2年経った時点でも完全には回復していないという。 「インフルエンザや新型コロナ、RSウイルスが流行すると、呼吸器感染症が引き起こされ、患者さんのQOL(生活の質)が低下し、医療システムにも大きな負担がかかります」と、コンロイ氏は言う。 「インフルエンザは、毎年何万人もの米国人の命を奪っています。インフルエンザと新型コロナのワクチン接種については、まれな例外を除き、生後6ヵ月以上のすべての人は、両方のワクチン接種を毎シーズン受けることをお勧めします」としている。 予防接種 (米国糖尿病学会)インフルエンザ 総合ページ (厚生労働省)
インフルエンザワクチン(季節性) (厚生労働省) Interim Effectiveness Estimates of 2024 Southern Hemisphere Influenza Vaccines in Preventing Influenza-Associated Hospitalization -- REVELAC-i Network, Five South American Countries, March-July 2024 (米国疾病予防管理センター 2024年10月3日)
Survey finds many Americans are letting their guard down during respiratory illness season (オハイオ州立大学医療センター 2023年11月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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