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2024年11月07日

糖質の多い甘い食べものが好きな人は糖尿病リスクが上昇 健康的な食品に置き替えるとリスクは減少

 糖質を多く含む甘いものが好きで食べすぎている人は、2型糖尿病や、脳卒中や心臓病などのリスクが高く、うつ病のリスクも高いことが明らかになった。

 菓子パン・スナック菓子・ドーナツ・ポテトチップスなど、ジャンクフードや超加工食品をよく食べている人ほど、2型糖尿病や肥満などの代謝障害のリスクが高いことも示されている。

 それらを健康的な食品に置き替えることで、糖尿病リスクを減らせることが、新しい研究で示された。

 甘い食べものや飲みものが欲しくなったときは、低カロリー甘味料を使った食品や飲料を上手に利用すると、糖尿病や肥満のリスクは上昇しないことが示されている。

糖質のとりすぎはなぜ良くない?

 糖質は、米やパン、めん類、イモ類などの主食、ジュースやコーラなどの清涼飲料、お菓子やスイーツなどの加工食品に多く含まれる。

 糖質は炭水化物の一種で、体内でエネルギー源として利用されている。生命維持に必要な栄養素で、重要な役割を果たしているが、とりすぎると血糖は上がりやすくなり、内臓脂肪や皮下脂肪が蓄積され、2型糖尿病や肥満などに悪影響をもたらす。

甘い食べものが好きな人は糖尿病・心臓病・うつ病のリスクが高い

 糖質を多く含む甘いものが好きで食べすぎている人は、2型糖尿病や、脳卒中や心臓病などのリスクが高く、うつ病のリスクも高いことが、英国のサリー大学の新しい研究で明らかになった。

 研究グループは、40~69歳の中高年約50万人を追跡して調査している大規模研究である「英国バイオバンク」の18万人を超える参加者のデータを用いて、糖質の含まれる食品を摂取する習慣と健康との関連を調べた。

 その結果を、甘いものを食べるのを好む人は、血糖値や中性脂肪などの脂質値が高く、糖尿病や心臓病のリスクが高いだけでなく、炎症の指標であるC反応性タンパク質の値も高い傾向が示された。

 さらには、甘いもが好きな人は、うつ病になる可能性も31%高いことが分かった。逆に、食物繊維などの摂取量の多い健康志向の高い人は、心不全、腎臓病、脳卒中のリスクが低かった。

 「もしもあなたが、ケーキやお菓子などの食べものや甘い飲みものがお好きで、よく利用しているのなら、それが健康に悪影響をおよぼすこともあると知っておくべきです」と、同大学健康医学情報学部のノファー ガイフマン教授は述べている。

糖質をとりすぎると「細胞の発電所」が低下

 糖質のとりすぎにより、ミトコンドリアの働きが低下し、そのことが体のエネルギー生産を低下させている可能性があることが、米国のヴァンアンデル研究所の別の研究で明らかになっている。

 ミトコンドリアは、細胞内にある小器官で、体のエネルギーのもとになるアデノシン三リン酸(ATP)をつくる働きをしており、「細胞の発電所」とも呼ばれている。

 「体が生きていくためには、ブドウ糖が必要ですが、"良いものであっても、ほどほどが良い"という諺にもあるように、とりすぎには注意が必要です」と、同研究所で生物化学を研究しているニン ウー氏は言う。

 「細胞内にブドウ糖が多すぎると、体全体の脂質組成に影響を与え、ミトコンドリアの健康にも影響をもたらし、最適な機能が失われてしまうおそれがあります」としている。

 米国人は糖質をとりすぎており、男性は食事ガイドラインで推奨されている量の3倍以上を、女性も2倍以上をそれぞれ摂取しているという。

ジャンクフードや超加工食品は糖尿病や肥満のリスクを高める

 菓子パン・スナック菓子・ドーナツ・ポテトチップスなど、ジャンクフードや超加工食品をよく食べている人ほど、2型糖尿病や肥満などの代謝障害のリスクが高いことを示した報告は増えている。

 超加工食品を健康的な食品に置き替えることで、糖尿病リスクを減らせることが、英国のケンブリッジ大学やロンドン大学などによる新しい研究で明らかになった。

 食事中の超加工食品の量が10%増加するごとに、2型糖尿病のリスクは17%増加したが、代わりに加工度の低い食品を摂取することで、糖尿病のリスクを軽減できることが明らかになった。

 研究は、「EPIC研究」に参加した欧州8ヵ国の31万1,892人の成人を平均11年間追跡し、超加工食品の摂取量と健康状態の関連を調べたもの。期間中に4.6%の人が2型糖尿病を発症した。

健康的な食品に置き換えると糖尿病リスクを減らせる

 「食事でとる超加工食品の10%を、より加工度の少ない自然な食品に置き換えることで、2型糖尿病のリスクは14%減少することが示されました」と、ロンドン大学で行動健康科学を研究しているサミュエル ディケン氏は述べている。

 「健康的な食品を選ぶことで、2型糖尿病のリスクを減少できることが分かったのは、良いニュースです」としている。

 なお、超加工食品をもっともよく利用している上位の25%では、超加工食品が食事全体の24%を占めており、高カロリーの清涼飲料だけでも9%を占めていたという。

「低カロリー甘味料」は糖尿病や肥満のリスクを低下

 甘い食べものや飲みものが欲しくなったときは、低カロリー甘味料を使用した食品を利用する方法もある。

 過体重や肥満のある成人が低カロリー甘味料を利用すると、体重管理を長期にわたり改善でき、糖尿病のリスクも高めないという長期のランダム化比較試験の結果が発表されている。研究は、英国のリーズ大学などが欧州肥満学会議(ECO)で発表したもの。

 低カロリー甘味料を使用したグループは、より多くの体重減少を達成し、食事満足度が高く、甘い食品への欲求が少ないなどの傾向もみられた。

 デンマークのコペンハーゲン大学などは、デンマーク・スペイン・ギリシャ・オランダの過体重と肥満の成人341人と、過体重の範囲にある子供38人を対象に、1年間のランダム化比較試験を実施した。

 その結果、12ヵ月後に低カロリー甘味料を使用したグループでは体重が7.2kg減少し、使用しなかったグループの5.6kg減少よりも優れていた。

 低カロリー甘味料を使用すると、2型糖尿病や心血管疾患のリスクは増えず、6ヵ月後以降は外食での食事満足度が高くなり、甘い食品への欲求が低く、積極的な気分も高くなることも示された。

 また、試験を完了した22人の小児では、肥満傾向などの結果に差はみられなかったものの、低カロリー甘味料を利用した小児は、食事の調整の失敗が少ない傾向がみられたという。

 アスパルテーム、エリスリトール、ステビア、スクラロース、アセスルファムKなどから作った低カロリー甘味料は、エネルギー摂取にほとんど寄与しない。糖質を減らすために、多くの食品に使われており、世界中の数百万人もの人々が利用している。

 「長期試験の結果は、体重管理を助けるために、低カロリーの食品や飲料を上手に利用するメリットを示すものです。低カロリー甘味料の利用について、甘味に対する嗜好・食欲・血糖管理などに対して、懸念すべき根拠がないことを示唆しています」と、コペンハーゲン大学の栄養健康学部のアン レーベン教授は述べている。

Having a sweet tooth is linked to higher risk of depression, type 2 diabetes, and stroke, study finds (サリー大学 2024年10月9日)
Artificial intelligence driven definition of food preference endotypes in UK Biobank volunteers is associated with distinctive health outcomes and blood based metabolomic and proteomic profiles (Journal of Translational Medicine 2024年10月1日)
An overactive sweet tooth may spell trouble for our cellular powerplants (ヴァンアンデル研究所 2021年8月2日)
Excess dietary carbohydrate affects mitochondrial integrity as observed in brown adipose tissue (Cell Reports 2021年8月3日)
Replacing ultra-processed foods in diet reduces type 2 diabetes risk (ロンドン大学病院 2024年9月27日)
Food consumption by degree of food processing and risk of type 2 diabetes mellitus: a prospective cohort analysis of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) (Lancet Regional Health - Europe 2024年11月)
Replacing sugar with sweeteners can improve weight loss control over the long-term in adults in the overweight range, finds European randomised controlled trial (欧州肥満学会議 2024年3月21日)
Sweeteners can improve weight loss maintenance, new research suggests (リーズ大学 2024年3月22日)
Sweeteners can improve weight loss maintenance, new research suggests (リーズ大学 2024年3月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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