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2024年04月18日

「卵を1日に1個」は健康的 卵を毎日食べても糖尿病や心臓病のリスクは上昇しない

 目玉焼き、ゆで卵、卵焼き、スクランブルエッグなど、卵料理がコレステロール値を上げ、心臓の健康に悪影響をもたらすのを心配している人は少なくない。

 しかし、卵をほぼ毎日食べている人は、あまり食べない人に比べ、コレステロール値は同じくらいであることが明らかになった。

 日本人を対象とした調査でも、卵を1日に1個を食べても、糖尿病リスクは上昇しないことが示されている。女性ではむしろ、卵を食べていると糖尿病リスクは低くなった。

 卵には必須アミノ酸が含まれている、栄養価が高い食品だ。どこでも安く買えて、調理が手軽というメリットもある。とくに食料自給率の低い日本では、タンパク質の供給源として貴重だ。

卵を毎日食べてもコレステロール値は上がらない

 目玉焼き、ゆで卵、卵焼き、スクランブルエッグなど、卵料理がコレステロール値を上げ、心臓の健康に悪影響をもたらすのを心配している人は少なくない。

 しかし、卵をほぼ毎日食べている人は、あまり食べない人に比べ、コレステロール値は同じくらいだという、4ヵ月のランダム化比較試験の結果を、米国心臓病学会(AHA)が発表した。

 この試験は、心血管疾患があるかそのリスクの高い、平均年齢が66歳の計140人の患者が参加して実施された。すべての患者は、以前に心血管イベントを経験しているか、高血圧・高コレステロール・2型糖尿病・肥満など、心血管疾患の危険因子を2つもっていた。

 研究グループは、参加者を週に12個以上の卵を食べるグループと、卵を週に2個未満しか食べないグループに無作為に分け、善玉のHDLコレステロールや悪玉のLDLコレステロール、心血管の健康などの変化を調べた。

糖尿病のある人のコレステロール値にも悪影響はない

 その結果、卵を食べたグループは、HDLコレステロールが0.64mg/dL下がり、LDLコレステロールが3.14mg/dL下がったものの、卵を食べなかったグループに比べ、統計的に有意な差はでなかった。

 さらに、サブグループ分析では、65歳以上の人や糖尿病のある人では、卵を食べると善玉のHDLコレステロールの値が少し増加し、悪玉のLDLコレステロールの数は少し減少したことが示された。

 「卵を毎週12個食べても、血中コレステロールに悪影響はあらわれないことが示唆されました」と、米デューク大学臨床研究所で循環器病を専門に研究しているニーナ ノウフラベシュ氏は言う。

 「心臓病のリスクがある人にとっても、卵を食べる習慣は安全であることが示されました」としている。

関連情報

卵は栄養価の高い食品 食事全体のバランスが大切

 卵には、炭水化物はほとんど含まれておらず、タンパク質と脂質が多く含まれる。食物繊維とビタミンCを除いた、ビタミンやミネラルも含まれているため、栄養価が高い食品だ。どこでも安く買えて、調理が手軽というメリットもある。

 一方で、卵にはコレステロールも多く含まれるので、健康に良くないというイメージがある。

 その点については、「食事は全体的にバランスがとれていることが大切です。特定の食品が原因になっているというのは誤った理解です」と、ノウフラベシュ氏は指摘している。

 「ただし、バターをたっぷり塗ったトースト、ベーコンやソーセージなどの加工肉など、体に悪い脂肪の多い動物性の食品といっしょに卵を食べていて、野菜などをあまり食べないといった偏った食事をしていると、心臓病のリスクは上昇します」としている。

卵を食べることに潜在的なベネフィットが

 心筋梗塞などの心血管疾患は、高血圧・高コレステロール・2型糖尿病・肥満などと関連が深く、食事スタイルはそうした疾患に影響をもたらす。

 「今回の試験は規模が小さいので、より大規模な研究で確かめる必要はあるものの、心臓血管の健康に関するバイオマーカーに対する、卵の悪影響はみられませんでした。栄養価が優れているので、卵を食べることには潜在的なベネフィットがあると考えられます」と、ノウフラベシュ氏は言う。

 「糖尿病のある人など、心臓病のリスクが気になる人は、ご自分の健康的な食事スタイルについて、かかりつけの医師や管理栄養士に相談することをお勧めします」としている。

卵を1日に1個を食べても糖尿病リスクは上昇しない 日本人を調査

 日本人を対象とした多目的コホート研究である「JPHC研究」でも、卵を1日に1個を食べても、糖尿病リスクは上昇しないことが示されている。女性ではむしろ、卵を食べていると糖尿病リスクは18%低くなった。

 研究グループは、45~75歳の男女6万3,466人を対象に、卵の摂取と10年間の糖尿病の発症との関連を調べた。

 その結果、男女ともに卵を1日に1個以上食べているグループでは、あまり食べないグループに比べ、糖尿病の発症リスクは上昇しなかった。卵の摂取は、グルコース代謝に悪影響をもたらさないと考えられるとしている。

 海外の研究でも、卵を食べる習慣と2型糖尿病のリスクの上昇は関連していないことが示されている。

 ただし、バターやチーズ、赤身の肉、ベーコンやハムなど、動物性の脂に多く含まれる飽和脂肪酸などは、悪玉のLDLコレステロールの値を上昇させるおそれがある。

 心臓病を予防するために勧められるのは、不飽和脂肪酸の含まれるイワシ、サバ、サンマといった魚や、野菜、精製されていない全粒穀物、大豆や豆類、海藻なども、バランス良く食べることだという。

卵を食べても糖尿病の発症リスクは上昇しない
日本人約6万3000人を調査

出典:国立がん研究センター、2014年

Eggs May Not Be Bad for Your Heart After All: Subgroup analyses signal a possible benefit among older adults and those with diabetes (米国心臓病学会 2024年3月28日)
多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト)
Cholesterol and egg intakes and the risk of type 2 diabetes: The Japan Public Health Center-based Prospective Study (British Journal of Nutrition 2014年9月18日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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