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2022年06月09日

【新型コロナ】糖尿病の人は長期の後遺症のリスクが4倍高い 「ワクチン接種を」と呼びかけ

 糖尿病の人は、新型コロナを発症し回復した後も、「ロングCOVID-19」と呼ばれる新型コロナの長期の後遺症があらわれる可能性が、最大で4倍高いことが明らかになった。

 ただし、新型コロナのワクチン接種を受けた患者は、発症した場合でも、後遺症があらわれるリスクは低いというデータも出ている。

 「新型コロナから身を守るため、糖尿病の人はワクチン接種を必ず受けるべきです」と、研究者は呼びかけている。

糖尿病の人の新型コロナの長期の後遺症を調査

 糖尿病の人は、新型コロナを発症し回復した後も、「ロングCOVID-19」と呼ばれる新型コロナの長期の後遺症があらわれる可能性が、最大で4倍高いことが明らかになった。

 これは、2022年6月3日~7日にニューオーリンズで開催された第82回米国糖尿病学会年次学術集会(ADA2022)で発表されたもの。

 新型コロナの長期的な後遺症について、世界中で研究が行われているが、糖尿病の影響についても対策する必要性が示された。

 新しい研究では、糖尿病が「新型コロナの急性後遺症(PASC)」の潜在的な危険因子であり、▼疲労感・倦怠感、▼思考力・集中力の低下、▼呼吸困難・息切れ、▼筋力低下、▼うつ病など、新型コロナの回復後もさまざまな症状があることが判明した。

 「時間が経つにつれて、新型コロナの長期の残存症状が、患者さんの日常生活に悪影響を及ぼしていることが分かってきました」と、エモリー大学医学部外科のジェシカ ハーディング氏は言う。

 「より多くの研究が必要ですが、糖尿病とともに生きる人々は、長期にわたる新型コロナの不均衡なリスクにさらされており、これらの患者さんは注意深く観察されるべきであることが示されています」。

 「新型コロナのリスクの高い患者さんの、血糖コントロールを注意深く行い、過剰なリスクを軽減し、長引く症状による負担を軽減し、生活の質(QOL)が低下しないようにする戦略が求められています」としている。

糖尿病は新型コロナの後遺症の強力な危険因子?

 研究グループは、糖尿病の人が新型コロナの感染後に発症した場合に、長期的にどのような影響があらわれるかを調べるため、糖尿病患者および糖尿病のない人を対象に、新型コロナ診断後に最低4週間追跡してPASCのリスクについて調査した。

 同時に、2020年1月1日~2022年1月27日に英語で発表されたすべての観察研究の査読済み論文も確認した。

 その結果は、研究の43%が、糖尿病を新型コロナの後遺症の強力な危険因子として特定していることが示された。ただし、後遺症の定義(たとえば、疲労、咳・呼吸困難などの進行中の症状)、リスクのある集団(入院集団と非入院集団)、および追跡期間(4週間から7ヵ月の範囲)などは、研究によって異なっていた。

 「糖尿病が実際に新型コロナの後遺症の危険因子であるかどうかを特定するために、より多くの集団や環境を調査し、質の高い研究を行う必要があります」と、研究グループは指摘している。

なぜ糖尿病の人は新型コロナの後遺症が出やすいか

 調査によると、新型コロナに罹患した人の最大10~30%が、新型コロナの症状が長期間、残存する可能性がある。罹患後に残存する症状は、新型コロナの症状が重篤化した人でより一般的にみられる。

 糖尿病の人は、血糖コントロールが良好でないと、重度の新型コロナに感染した場合に重症化するリスクが高いことが知られており、新型コロナの後遺症についてとくに懸念される。

 「新型コロナに感染すると、ウイルスが直接的な細胞損傷をもらたし、これが長引く症状を引き起こしている可能性があります」と、メイヨークリニックの集中治療室(ICU)の室長であるデヴァン サンガビ氏は言う。

 「新型コロナの回復後に、炎症と免疫系とのあいだになんらかの相互作用が起こり、それが長引く症状につながっているのかもしれません」。

 「筋肉の衰弱や脳の機能障害が影響している可能性もあります。ICUへの入院により心理社会的ストレスが生じ、心的外傷後ストレス障害のような症候が起きている可能性も考えられます」としている。

糖尿病の人はワクチン接種を必ず受けるべき

 「ただし、新型コロナに罹患しても、多くの人は重症化しないで、発症しても数週間以内に良くなります。新型コロナのワクチン接種を受け続けていれば、入院が必要となるほどの重症化の確率は劇的に低下します。糖尿病の人はワクチン接種を必ず受けるべきです」と、サンガビ氏は強調している。

 新型コロナのワクチン接種を受けた患者は、新型コロナの発症と重症化のリスクは低下し、発症した場合でも、新型コロナの後遺症があらわれるリスクは50%低いというデータも出ている。

 「米国では新型コロナのワクチンは3種類が利用可能です。糖尿病とともに生きる人は、そのいずれかを選択し、予防接種を受けてください。さらに、ブースター(3回目)接種の資格があれば、利用可能な時期に接種を受けて、このウイルスから身を守ってほしい」と、サンガビ氏は付け加えている

 「ワクチン接種以外にも、屋内でのマスク着用や、手洗い、人が大勢集まっている場所では身体的な距離をおくなど、これまで行ってきた感染対策を行うことで、新型コロナのパンデミックを終わらせることができます」。

 「糖尿病が、長期にわたり新型コロナの危険因子となるかについて、さらには新型コロナの重症化を防ぐための予防戦略の開発について、さらに研究が必要です」と、研究グループでは述べている。

 「糖尿病とともに生きる人々は、けっしてひとりぼっちではありません。ケアや助けを求められる医療従事者がいることを知ってもらいたい」としている。

第82回米国糖尿病学会年次学術集会 (ADA2022)
Individuals with Diabetes are Up to Four Times More Likely to Develop Long COVID-19 (米国糖尿病学会 2022年6月4日)
What doctors wish patients knew about long COVID (米国医師会 2022年3月11日)
Long COVID or Post-COVID Conditions (疾病予防管理センター 2022年5月5日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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