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2022年10月26日

【新型コロナ】糖尿病の人はインフルエンザの予防接種も必要 冬に新型コロナとインフルが同時流行するおそれが

 インフルエンザに注意が必要な季節になってきた。今年は、季節性インフルエンザと新型コロナが、同時流行する可能性があるので、とくに注意が必要になる。

 日本感染症学会は、「今季もインフルワクチン接種を推奨します」と呼びかけている。日本糖尿病学会も、糖尿病とともに生きる人に、インフルと新型コロナのワクチン接種を受けることを推奨している。

 ワクチンで予防できる疾患については、できるだけ接種を受けて、医療現場の負担を軽減することも重要としている。

今年の冬はインフルエンザが流行すると予測

 厚生労働省は、2022年の冬は、新型コロナの感染拡大が夏を上回り生じる可能性があるのに加えて、季節性インフルエンザ(インフル)も流行し、より多数の発熱患者が同時に生じる可能性があると、注意を呼びかけている。

 新型コロナとインフルの同時流行に備えて、国民ひとりひとりに自主的に感染予防の行動を実行してもらい、高齢者や基礎疾患をもつ人など重症化リスクの高い人を守るとともに、医療を通常通り受けられる体制を確保するため、保健医療体制の強化・重点化を進めていくとしている。

 インフルエンザは、国内で新型コロナの流行がはじまった2020年2月以降、患者報告数は急速に減少し、危惧されていた新型コロナとインフルエンザの同時流行もなかった。

 これは、新型コロナ対策として普及した手指衛生やマスク着用、3密回避、国際的な人の移動の制限などの感染対策が、インフルの感染予防についても効果的であったからだと考えられる。

南半球でインフルが流行 日本にもウイルスが持ち込まれる可能性が

 しかし、日本感染症学会によると、2022~2023年シーズンは、インフルの流行の可能性が大きい。

 南半球の国では、2022年前半からインフルの流行が起きている。オーストラリア政府の報告によると、2020年と2021年は、日本と同様にインフル患者は極めて少なかったが、2022年は4月後半から報告数が増加し、例年を超えるレベルの患者数となっており、医療の逼迫が問題となっている。

 北半球の冬季のインフル流行の予測をするうえで、南半球の状況は参考になる。今後、海外からの入国が緩和され、人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、日本でも今秋から冬には、同様の流行が起こる可能性があるという。

 さらに、過去2年間、国内での流行がなかったために、社会全体のインフルに対する集団免疫が低下しているおそれがある。そのため、いったん感染が起こると、とくにに小児を中心に社会全体で大きな流行となる可能性がある。

今季もインフルワクチン接種を推奨

 日本感染症学会は、「今季もインフルワクチン接種を推奨します」と呼びかけている。

 インフルワクチンには、4種類(A型2種類、B型2種類)のウイルス型が含まれており、A香港型もそのうちのひとつ。

 一般に、ワクチンは、発症予防効果とともに重症化防止効果を期待できる。欧州からの報告によると、65歳以上の高齢者で、ワクチンを接種した場合は、接種しなかった場合に比べて、A香港型感染による入院が抑制された。

 また、新型コロナについても、減少が続いていた重症者や亡くなる人の数は下げ止まりとなり、今後の感染拡大が懸念されている。

 そうしたなか、ワクチンで予防できる疾患については、できるだけ接種を受けて、医療機関への受診を抑制して、医療現場の負担を軽減することも重要としている。

 そのため同学会は、「今季も例年通りに、小児、妊婦も含めて、接種できない特別な理由のある方を除き、できるだけ多くの方に、インフルワクチンの積極的な接種を推奨します」と呼びかけている。

糖尿病の人はとくに予防接種を受けることが必要

 同学会によると、ワクチン接種がとくに必要な人は、▼65歳以上の高齢者、▼5歳未満の小児、▼年齢には関係なく、心臓や肺などに慢性の持病のある人、がんで治療中の方、高度の肥満の人。

 また、これらの人といっしょに生活している人、学校や職場などで人との接触の多い人も、ワクチン接種を積極的に受ける必要がある。

 糖尿病などの基礎疾患をもつ人にも、予防接種が勧められている。インフルにより入院を要した患者の基礎疾患を調べた調査では、糖尿病の人は重症化リスクが高いことが示された。

 インフルは、糖尿病などの慢性的な健康問題を悪化させ、さらに血糖コントロールを難しくするおそれもある。

 日本糖尿病学会は、糖尿病とともに生きる人に、インフルと新型コロナのワクチン接種を受けることを推奨している。

 糖尿病の人がインフルのワクチン接種を受けることで、重症化して入院が必要となるリスクが減少することが示されている。予防接種はインフルの感染を100%防ぐものではないが、そのリスクを大きく減少できる。

 米国糖尿病学会(ADA)も、インフルの予防接種を毎年受けることを勧めている。

 「糖尿病の人はインフルエンザのリスクが高いので、すべての糖尿病患者さんはインフルエンザの予防接種を受けるべきです。インフルエンザの予防接種について、かかりつけの医師に相談してください」としている。

 「糖尿病の人は、インフルエンザの飛沫および接触などによる感染を防ぐため、ふだんから手洗いとマスクの着用を行い、インフルが疑われる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することも大切です」。

A香港型インフルの流行が予想されている

 欧米では2021~2022年に、インフルウイルスのタイプのうち、主としてA香港型と呼ばれるウイルスによる流行がみられた。中国でも、今年になってA香港型が増加している。また、オーストラリアで今年度に検出されたインフルウイルスの型が判明したもののうち、約80%がA香港型だった。

 そのため、今季は日本でもA香港型の流行が主体となる可能性がある。A香港型が流行すると、インフルによる死亡や入院が増加することが知られているので、とくに警戒が必要となる。

一般社団法人 日本感染症学会 インフルエンザ情報
新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース (厚生労働省)
新型インフルエンザ治療ガイドライン・手引きなど (厚生労働省)
新型インフルエンザ等対策 (日本医師会)
Flu and Pneumonia Shots (米国糖尿病学会)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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