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2022年07月06日

座位時間が長いと糖尿病リスクは上昇 運動はコロナ対策にも 椅子を新鮮な空気と交換しよう

 座ったままの時間が1日6~8時間と長い人は、早死や心臓病のリスクが上昇することが、21ヵ国の10万人以上を対象とした調査で明らかになった。

 座位時間をなるべく減らして、その分をウォーキングなどの運動に置き換えることで、早死や心臓病、2型糖尿病などのリスクを減らせる。

 新型コロナの感染は、糖尿病やうつ病のリスクを高めることが知られている。運動を行うことは、新型コロナの後遺症を解決する対策にもなる。

座っている時間が長いと死亡リスクは最大で50%上昇

 座ったままの時間が1日6~8時間の人は、早死や心臓病のリスクが12~13%増加し、1日8時間以上の人では、20%に上昇することが、21ヵ国の10万5,677人を平均11.1年間追跡した調査で明らかになった。

 座っている時間が1日8時間以上と長く、体を活発に動かしていない人は、死亡などのリスクが最大で50%上昇した。一方で、座っている時間は長いが、活発に運動している人は、リスクは17%上昇に抑えられていた。

 これは、カナダのサイモンフレイザー大学が、中国の北京協和医学院などと共同で行った、21ヵ国の10万人以上を対象とした国際研究で分かったもの。

 「全体として明らかになったのは、座ったままの時間をなるべく最小限に抑えるべきだということです」と、同大学健康科学部のスコット リア教授は言う。

 「1日のなかで座位時間を減らして、その分をウォーキングなどの運動や身体活動をする時間に置き換えることで、早死や心臓病、2型糖尿病などのリスクを減らすことができます」。

座位行動と運動不足は喫煙と同じくらい悪い

 「1日4時間以上座っている人が、座位時間のうち30分を運動に置き換えると、死亡などのリスクは2%減少しました」と、リア教授は述べている。

 「座位行動と運動不足は、全死因の8.8%を占めており、これは喫煙による害に近いことが分かりました。しかし、運動ガイドラインの推奨量を満たしている人は、たとえばカナダでは4人に1人しかいません」。

 「医療従事者や保健指導に携わる人は、座ったままの時間を減らすべきだというメッセージを広める必要があります」。

 「これは世界的な問題となっていますが、とても簡単に修正できます。1日に椅子から離れて立ち上がる時間をスケジュールすることは、すばらしいスタートになります」としている。

運動は新型コロナの後遺症が誘発する糖尿病やうつ病も改善

新型コロナは糖尿病やうつ病のリスクも高める

 新型コロナに感染すると、症状のある/なしに関わらず、感染から回復した後にも、さまざまな後遺症があらわれることがある。

 しかし、ウォーキングなどの運動をすると、感染から回復してから数ヵ月後に、糖尿病やうつ病の発症につながる炎症の悪循環を断ち切れる可能性がある。

 新型コロナの後遺症は、感染者の15%~80%にあらわれると推定されている。

 その症状は、強い疲労感、倦怠感、息苦しさ、味覚・嗅覚異常、睡眠障害、発熱、集中力の低下、うつなどさまざまだが、最初に感染し回復してから、数ヵ月続くこともあるという。

運動で新型コロナに打ち克つ 炎症の悪循環を断ち切る

 「新型コロナの後遺症を解決するひとつの方法は運動を行うことです」と、米ペニントン生物医学研究センターの研究グループは述べている。

 「新型コロナの感染は、糖尿病やうつ病を引き起こすことが知られています。運動や身体活動が、健康に生活していくために、重要な要素となることは明らかです」と、同センターのジョン カーワン氏は言う。

 「運動をすることは、血糖値の上昇を抑えるために役立ちます。さらには、糖尿病やうつ病の発症と進展につながる炎症の悪循環を断ち切ることにもつながる可能性があります」と説明している。

できることから運動を始めれば効果を期待できる

 「数キロメートルを走ったり、速歩でウォーキングをしたり、水泳をするなど、本格的なスポーツをしなければならないわけではありません。家や職場の近所をゆっくり歩くだけでも立派な運動になります」と、同センターの研究員であるカンディダ レベロ氏は言う。

 「1日に合計30分の運動セッションを行うのが理想です。1度に15分しかできないという場合は、15分のセッションを2回実行してみてください。大切なことは、運動に取り組み、それを続けることです」。

 「運動はどこから始めてもかまいません。慣れてきたら、運動量を少しずつ増やしていき、推奨されるレベルまで積み上げることもできます」とアドバイスしている。

Trade the chair for fresh air--study weighs in on link between sitting time and cardio health (サイモンフレイザー大学 2022年6月15日)
Association of Sitting Time With Mortality and Cardiovascular Events in High-Income, Middle-Income, and Low-Income Countries (journal Jama Cardiology 2022年6月15日)
Exercise may treat long COVID-induced diabetes, depression (ペニントン生物医学研究センター 2022年3月11日)
Exercise as a Moderator of Persistent Neuroendocrine Symptoms of COVID-19 (Exercise and Sport Sciences Reviews 2022年4月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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