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2022年09月26日
糖尿病改善のためのウォーキングは1日1万歩が必要? 2000歩増やしただけでも健康効果が

認知症・心臓病・がんなどを予防するために、1人1万歩のウォーキングを達成するのと同じくらい、歩くペースも重要であることが、40歳~79歳の成人約7万8,500人を対象とした研究で明らかになった。
ウォーキングの歩数を1日に2,000歩増やすごとに、早死のリスクは8~11%ずつ減少するという。歩数を1万歩まで増やしていくと、健康効果はより高まっていく。
さらに、ウォーキングの速度やペース、強度を高めることも、1日の歩数を増やすのと同様に重要であることが示された。
「1日に1万歩を歩くことは、病気や死亡のリスクを下げるための"スイート スポット"になりますが、歩く速度も同様に大切である可能性があります」と、研究者は述べている。
歩数を増やすのと同じくらい歩くペースも大切
オーストラリアのシドニー大学やデンマークの南デンマーク大学などの研究で、1日1万歩のウォーキングを達成することは、認知症・心臓病・2型糖尿病・がん・死亡などのリスクの低下と関連していることが明らかになった。 一方で、少し速めのペースで歩くことも、歩数を増やすことと同じようにベネフィットがあるという。少し汗ばむくらいのペースで活発に歩くと、ウォーキングの効果をより高めることができる。 「1日に1万歩を歩くことは、病気や死亡のリスクを下げるための"スイート スポット"になりますが、今回の研究では、歩く速度も同様に重要である可能性が示されました」と、論文の筆頭著者であるシドニー大学健康医学部のマシュー アフマディ氏は言う。 「1日1万歩を達成するのが難しいという人でも、ウォーキングの歩数を増やし、ペースを高めることで、健康効果を期待できます」と、南デンマーク大学健康加齢活動センターのボルハ デル ポゾ クルス氏は言う。 「今回の研究では、あまり活動的に体を動かしていない人の場合、1日の歩数を2,000歩増やしただけでも、2型糖尿病や認知症のリスクを減少できることが示されました。少しでも歩数を増やすように心がけることをお勧めします」としている。歩数を1日に2,000歩増やすごとに、早死のリスクは8~11%ずつ減少
「UKバイオバンク」は、遺伝的素質や環境因子が健康にもたらす影響を調査している、英国の大規模な前向きコホート研究。 研究グループは、UKバイオバンクのデータを使用し、40歳~79歳の英国の成人約7万8,500人の歩数データと、7年後の健康状態との関連を解析した。参加者に活動量計を装着してもらい、週末を含めて最低3日間、睡眠のモニタリングも含めて、7日間にわたり身体活動を測定した。 その結果、主に次のことが明らかになった――。- ウォーキングの歩数を1日に2,000歩増やすごとに、早死のリスクは8~11%ずつ減少する。歩数を1万歩まで増やしていくと、健康効果はより高まっていく。
- ウォーキングの歩数を増やすことで、心血管疾患やがんの発症リスクも減少できる。1日の歩数が多い人ほど、認知症のリスクが低い傾向もみられた。
- 1日に9,800歩を歩くことで、認知症リスクは50%減少した。それを達成できない場合でも、1日に3,800歩で、認知症リスクは25%減少した。
- ウォーキングの速度やペース、強度を高めることは、1日の歩数を増やすのと同様に、認知症・心臓病・2型糖尿病・がん・死亡などのリスクを減少することと関連している。
活動量計を活用 活動量計はより便利になり性能も高まっている

Prospective Associations of Daily Step Counts and Intensity With Cancer and Cardiovascular Disease Incidence and Mortality and All-Cause Mortality (JAMA Internal Medicine 2022年9月12日)
Association of Daily Step Count and Intensity With Incident Dementia in 78 430 Adults Living in the UK (JAMA Neurology 2022年9月6日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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