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2024年12月24日

年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」

 「年末年始の健康管理はいつもより難しい」「連休中は食事がうまくいかなくなる」と感じている人が多いことが調査で明らかになった。

 とくに、糖尿病とともに生きる人では、連休中に糖尿病の管理が難しくなると感じている人が多いことが示されている。

 「達成が可能な小さな目標からはじめて、それを毎日の習慣に取り入れていくと成功しやすいと言えます。持続させようという熱意があれば、長続きする健康的な習慣につなげることは可能です」と、専門家はアドバイスしている。

 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」をご紹介する。

連休中にふだんの生活を見失ってしまう人は多い

 「年末年始の連休の健康管理はいつもより難しい」と、感じている人が半数に上ることが、日本を含むアジア太平洋地域の11ヵ国で実施された調査で明らかになった。

 調査では、年齢に関係なく60%の人は「連休中は食事がうまくいかなくなる」と回答し、37%の人は「連休には食べ物への誘惑が強くなる」と回答した。

 調査は、健康やウェルビーイングの増進をサポートする事業を展開しているグローバル企業であるハーバライフによるもの。

 アジア太平洋地域の11ヵ国のアジア太平洋地域(日本、韓国、台湾、香港、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア)の5,500人を対象に10月に調査した。

 連休にはさまざまな誘惑が出てきて、半数の人は「誘惑に負けそうになる」と答え、「年齢を重ねるにつれて、その瞬間を楽しもうとする気持ちが強くなった」(43%)、「家族や友人といっしょにいられることに感謝する気持ちが強くなり、自制心が低くなる」(40%)という回答も多かった。

 「連休を最大限に楽しむために、健康的な習慣を中断することがある」という人も多く、57%の人は「健康的な習慣と体重増加に対する心配がなければ、連休をもっと楽しく過ごせるようになる」と感じていることも分かった。

 「多く人は、連休中にふだんの健康的な生活スタイルを見失ってしまいがちになります」と、ハーバライフ健康・ウェルネス部門のルイジ グラットン氏は言う。

 「達成が可能な小さな目標からはじめて、それを毎日の習慣に取り入れていくと成功しやすいと言えます。持続させようという熱意があれば、長続きする健康的な習慣につなげることは可能です」としている。

連休中の糖尿病の管理は難しいと感じている人が多い

 米国糖尿病学会(ADA)と米国心臓学会(AHA)が、2型糖尿病とともに生きる45歳以上の成人1,079人を対象に行った調査でも、連休中には糖尿病の管理が難しくなると感じている人が多いことが示されている。

 「食事の管理が上手にできている」と感じる人は、通常の日であればほぼ4分の3(73%)に上るが、連休中は半分の52%にまで下がってしまう。連休中に具体的にどうすれば良いのかが分からず戸惑っているという人も28%に上る。

 糖尿病とともに生きる人々は、心臓病、脳卒中、腎臓病、網膜症などの深刻な合併症を予防するために、血糖値を良好に管理する必要があるが、そのために食事や運動を管理して、服薬をきちんと守るのは、1年間休むことなく続くハードワークのようなものだ。

 「糖尿病とともに生きる人々にとって、連休をどのように過ごすかが、健康を維持するうえで課題になっています」と、内分泌学が専門の米コロラド大学医学部のロバート エッケル氏は言う。

 「食事や運動、服薬など、糖尿病の管理は特別なことをしているわけではありせん。糖尿病の人にとって良い健康的な環境や生活スタイルは、友人やご家族など、周囲にいるすべての人にとっても大切なものです」としている。

達成が可能な小さな目標からはじめて習慣に取り入れることが大切

 連休に、健康的な食事をとり、運動を続け、十分な休息をとるのを困難に感じている人が多いことは、米オハイオ州立大学医療センターによる別の調査でも示されている。調査は、米国の1,007人の成人を対象に、インスータネットと電話で行ったもの。

 調査に協力した人の3分の2は、「連休中に食べすぎたり飲みすぎたりしてしまう」と回答。さらに、45%近くは、「平日に続けていた運動を休んでしまう」と回答し、半数以上は疲れを感じやすくなり、自分の時間も減ると感じていることが分かった。

 とくにアルコールの飲みすぎは深刻で、3分の1の人は「休日には、アルコールをより多く飲んでしまう」と回答した。

 「多く人は、連休にたくさんのことをやりとげようとして、ふだんの健康的な生活スタイルを見失ってしまいがちになります。健康的な習慣がひとつでも失われると、すぐに生活全体に影響が広がる可能性があります」と、同センターの家庭医学が専門のバーバラ バウアー氏は指摘する。

 「とくに連休の前後に、健康的な習慣を維持しようというモチベーションを失ってしまうことが多く、そうなると元に戻すのは難しくなります。達成が可能な小さな目標からはじめて、少しずつ積み重ねて継続することが、健康増進の目標を達成するために大切です」としている。

連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」

 米国糖尿病学会(ADA)や米国心臓学会(AHA)などは、連休を健康的に過ごすために、次のことをアドバイスしている。

1
連休中をどう過ごすか計画をたてる

 連休中は生活が不規則になりがちで、ふだん通りの食生活を続けるのは難しくなる。仕事の片付け、買い物、料理、知人や友人との会食、子供の相手をして過ごすなど、いつもの日課とは違う行動をするため、ストレスがたまりやすい時期でもある。

 事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、簡単にカレンダーやスマホアプリなどに書きとめておくと、健康的な食事や運動のために時間を確保しやすくなる。

2
生活リズムを乱さないように計画的に

 連休中は生活リズムが乱れやすい時期だ。睡眠や体温、血圧、ホルモン分泌など体の基本的な機能はおよそ24時間のリズムを示す。この1日周期のリズムは「概日リズム」と呼ばれる。

 概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。体内時計を乱さないために、次のような工夫が役立つ――。

 ▼なるべく毎日決まった時間に起床・就寝する、▼食事の時間はなるべく通常の生活に合わせる、▼散歩などリラックスできることをする、▼毎日一定の時間、屋外で過ごす、▼毎日同じ時間帯に運動する、▼十分な睡眠をとる、▼昼寝をする場合は30分以内にする。

3
宴席やパーティーで食べすぎないようにする

 会食や宴会が続くと、自分がどれだけ食べたかを把握するのは難しくなる。宴席では多くの料理が出るので、つい食べすぎてしまいそうになる。

 1日の食事で500kcal分を余計にとる生活が続くと、とりすぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が1kg増える計算になる。増えすぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。

 会食などの予定があるときは、食欲を管理しやすくするために、野菜や低糖質の食品などを軽く食べてから出かけるようにし、空腹の状態では行かないようにする。

 朝食と昼食を抜かないようにし、ふだん通りに食べることも大切。バランスのとれた食事を、間隔をあけて食べるようにする。とくに血糖値を下げる薬を使っている人は、食事をきちんととることが必要。
4
運動を続ける

 運動や身体活動は、血糖や血圧の良好な管理につながり、多くの健康上のメリットがあり、ストレス解消にもなる。

 30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2~3回とりいれても良い。

 ウォーキング以外でも、掃除などの家事、家族との散歩、ガーデニング、子供や孫と遊ぶなどの生活活動も運動になる。

 運動を続けるために、いっしょに運動する仲間をつくり励ましあったり、家族とウォーキングなどを行うと効果的だ。

 神経障害や網膜症など、糖尿病の合併症がある人は、運動をするときに注意が必要となる場合もある。どのように運動をしたら良いかを、事前に主治医と相談しておくと良い。

5
自分が何を食べたいのか考えよう

 脳が満腹であると感知するために、食べはじめてから20分以上の時間が必要だ。食事では、よく味わいながら、なるべくゆっくり食べると、満足感を得やすくなる。

 料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぼう。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感もえやすいという報告がある。

 揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要になる。

 パーティーなどの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流だ。そう意識していれば、食べすぎや飲みすぎを防ぎやすくなる。

6
野菜や食物繊維を十分にとる

 食物繊維は、食物が胃から小腸へ移動する時間を遅らせ、吸収を遅くする。炭水化物を含む食品がゆっくり吸収されるようになるので、インスリンの分泌が食べた分に追いつかない体質の人でも、食後の血糖値上昇を抑えやすい。

 野菜や、精製されていない全粒穀物を食べると、食物繊維が多く含まれるので、血糖値の上昇が抑制され、満腹感が続きやすいので、食べすぎを抑えられる。

7
ストレスをためない

 ストレスによって、血糖管理や肥満に悪影響が出てくるおそれがある。ふだん通りの食事を続けられなくなったり、アルコールを飲みすぎたり、運動不足が続くことも、ストレスの原因になる。

 連休中の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作りすぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。

 たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。

 睡眠を十分にとることも大切だ。睡眠不足になると、高脂肪・高糖質の食品を食べたくなり、血糖管理を良好に保つのが難しくなる。7~8時間の睡眠時間を目安に、余裕をもって1日をすごすことが大切。

8
体重を毎日はかる

 連休中は、体重管理が難しい時期だ。「食べすぎ」がもっとも起きやすいのがこの時期であることが、ハーバード公衆衛生大学院の調査で明らかになっている。

 多くの人が連休中に体重を平均1.5kg以上増やすという。体重を増やさない人でも、平日は食べすぎないようにしても、週末には食べすぎてしまい、食事の管理を相殺するというサイクルを繰り返すことがある。

 体重を決まった時間に毎日はかることを習慣にすれば、体重を管理しやすい。体重計を台所や冷蔵庫のそばに置いて体重を毎日はかり、減量に成功した人もいる。「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切。

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Ohio State survey finds Americans struggle to maintain healthy habits during the holiday season (オハイオ州立大学医療センター 2023年12月4日)
7 Tips to Stay on Track with Your Diabetes Management During the Holidays (米国糖尿病学会)
Diabetes control at the holidays: It's not about perfection (米国心臓学会 2023年12月12日)
Healthy eating through the holidays (ハーバード大学医学部 2021年11月5日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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