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2024年12月25日
アルコールを適量飲んでいる人は糖尿病や心臓血管病のリスクが減少 ただし少しでも飲みすぎると健康は悪化
アルコールを適量飲んでいる人は、糖尿病のリスクが低いという調査結果が発表されている。
少量あるいは適度な量のワインを飲む習慣のある人は、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが低いことも明らかになった。
ただし、アルコールを少しでも飲みすると、糖尿病や肥満のリスクは逆に上昇することも、大規模な調査で確かめられている。
適度な飲酒は糖尿病リスクを減らす?
適度な飲酒は、糖尿病のリスクを減らす可能性があるという研究が発表されている。 研究は、南デンマーク大学によるもの。研究グループは、「デンマーク健康調査」(DAHNES)に参加した7万551人の成人を平均4.9年追跡して調査した。 その結果、週に3~4日の適度な飲酒をしている人は、ほとんど飲まない人に比べて、2型糖尿病の発症リスクが男性で27%、女性で32%、それぞれ低くなった。 「とくにワインを飲む習慣のある人は、糖尿病のリスクが25~30%低くなりました」と、同大学国立公衆衛生研究所のヤンネ トルストルプ教授は述べている。 「赤ワインにとくに含まれるポリフェノールは、血糖値の管理に有益な効果をもたらし、潜在的な保護効果をもたらす可能性があります」としている。赤ワインを飲んでいる人は心筋梗塞や脳卒中のリスクが低い
少量あるいは適度な量のワインを飲む習慣のある人は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが低いことが、スペインのバルセロナ大学の別の研究でも明らかになった。 心血管疾患のリスクは、ワインを少量(週に1杯から1日に半杯未満)飲んでいる人では38%低下し、中程度(1日に半杯から1杯)を飲んでいる人では50%低下した。ただし、ワインを飲む量が増えると予防効果は失われた。 研究グループは、「地中海式ダイエット」が心血管系の健康に及ぼす影響を調査している多施設共同研究である「PREDIMED」プロジェクトの参加者1,232人を対象に調査した。 「アルコールの飲みすぎは深刻な健康障害をもたらしますが、ワインを1日に適量を飲むくらいであると、心臓疾患のリスクを軽減できる可能性があります」と、同大学食品科学部および栄養・食品安全研究所のイネス ドミンゲス氏は言う。 「ただし、ワインを飲むのは食事中であるべきであり、空腹時に飲むべきではありません。アルコールを飲むときは食事も重要で、バランスの良い健康的な食事が勧められます」としている。 「地中海式ダイエット」は、イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の伝統的な食事スタイルで、野菜や魚を食事に多く取り入れ、未精製の全粒穀物、チーズやヨーグルト、豆類、ナッツ類を食べ、不飽和脂肪酸が含まれるオリーブオイルを多くとることなどが特徴となる。 食事といっしょに、ポリフェノールが含まれる赤ワインを適量飲むのも、「地中海式ダイエット」の特徴のひとつだ。アルコールを少しでも飲みすぎると糖尿病リスクは逆に上昇
アルコールの飲みすぎによる健康障害は深刻
米国では、アルコールの飲みすぎがもたらす健康障害が深刻な問題になっている。
フロリダアトランティック大学の研究によると、米国でのアルコールに関連する死亡者数は、1999年から2020年にかけてほぼ2倍に増加した。
アルコールによる10万人あたりの死亡率は、1999年の10.7人から、2020年には21.6人にほぼ倍増している。
すべての年齢層で増加がみられるが、とくに25~34歳の若年者と、55~64歳の中高者で、アルコールに関連する死亡者は増えている。男性だけでなく、女性でも死亡者は増えているという。
「アルコールの飲みすぎが、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の主要なリスク要因であり、全死亡率を引き上げる原因になっていることを知るべきです」と、同大学医学部および人口健康・社会医学部のリチャード ドール教授は言う。
「多量のアルコールを毎日摂取すると、肝臓障害も引き起こし、糖尿病や肥満にも影響します。プライマリケアでアルコール摂取のスクリーニングを実施し、アルコールがもたらす健康障害に対して、個別対応した介入により対処すれば、改善できる可能性があります」としている。
Alcohol drinking patterns and risk of diabetes: a cohort study of 70,551 men and women from the general Danish population (Diabetologia 2017年7月27日)
New evidence on the relationship between moderate wine consumption and cardiovascular health (バルセロナ大学 2024年12月18日)
Urinary tartaric acid as a biomarker of wine consumption and cardiovascular risk: the PREDIMED trial (European Heart Journal 2024年12月18日)
Light or moderate alcohol consumption does not guard against diabetes, obesity (米国内分泌学会 2023年6月27日)
Dose-dependent Association of Alcohol Consumption With Obesity and Type 2 Diabetes: Mendelian Randomization Analyses (Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2023年6月27日)
Alcohol-Related Deaths in the U.S. More than Double from 1999 to 2020 (フロリダアトランティック大学 2024年11月18日)
New Clinical and Public Health Challenges: Increasing Trends in United States Alcohol Related Mortality (American Journal of Medicine 2024年11月10日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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