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2026年07月29日
夜間の血糖管理、鍵は食事時間にあり! ~妊娠糖尿病
妊娠糖尿病(GDM)は、妊婦にとってもおなかの赤ちゃんにとっても大きなリスクとなるため、きめ細かい血糖管理が欠かせない。米国の研究グループは今回、妊娠糖尿病患者を対象に、食事のタイミングを調整する「時間栄養学」と呼ばれるアプローチが血糖変動に与える影響を検討。1日の最初の食事を早めの時間に摂ることが、夜間の血糖管理の改善につながることを明らかにし、Diabetologia〔2026;69(7):1839-1848〕に報告した。今回得られた知見は、妊娠糖尿病の患者さんはもちろん、2型糖尿病の患者さんにとっても、日常の中で無理なく実践できる介入法の1つになるかもしれない。
食事の量や質ではなく、タイミングに着目
妊娠糖尿病では、母子の安全を守るため生活習慣を改善し、質の高い血糖管理を行うことが求められる。しかし、従来の食事療法は「炭水化物の量や質をいかに調整するか」に重きが置かれており、それ以外で有効な介入法となると、選択肢は限られていた。
そこで研究グループは、食事を摂るタイミングを調整する「時間栄養学」と呼ばれるアプローチに着目。妊娠糖尿病患者を対象に、食事のタイミングと24時間の血糖変動との関連を詳しく分析した。
妊娠糖尿病患者71人を最初の食事を摂る時間で2グループに分類
血糖変動の正確な把握には、持続血糖測定(CGM)を用いた。対象者に持続血糖測定器を装着してもらい、従来の測定法では捉えにくかった夜間を含む24時間の連続データを取得した。並行して、毎日最低4回(毎朝の空腹時+毎食後1時間)、手指での自己血糖測定(SCBG)も実施してもらった。
解析にあたっては、参加者ごとに1日のうち「最初の食事を摂る時間」の平均値を算出。全参加者の中央値(ちょうど全体の真ん中となる時間)である午前9時56分を境界線とし、それより早い参加者を「早期グループ」、遅い参加者を「遅期グループ」に割り付けて比較した。
■分析対象
妊娠糖尿病患者71人(早期グループ36人、遅期グループ35人)
■血糖値の測定
①CGM:24時間
②SCBG:毎朝の空腹時+毎食後1時間
■持続血糖測定器の装着日数
平均48.5日
■最初の食事の平均時間
早期グループ:8時31分
遅期グループ:11時23分
遅期グループに比べ早期グループで夜間の血糖値が有意に低い
年齢、妊娠週数、薬剤使用などを調整後に、CGMによる24時間の血糖データを分析したところ、1日の平均血糖値や目標範囲内時間(TIR)に、両グループで大きな差はなかった。
一方、夜間(23時~翌朝5時59分)の血糖値には明らかな違いが見られ、遅期グループに比べ早期グループで、夜間の血糖値が有意に低く抑えられていた(P=0.023)。
また、夜間を通じて血糖値が低下していく変化のパターンにも差が見られ、遅期グループに比べ早期グループでは最低値に達する時間帯が早かった。
夜間の血糖値が高い状態が続くと、翌朝の空腹時血糖値の上昇や、赤ちゃんの巨大児リスクにつながるため、夜間血糖の管理は重要だ。研究グループは、結果について「朝一番の食事のタイミングを早めることで、体内時計のリズムが前倒しになり、結果として夜間の血糖値が下がりやすくなった」と分析している。
食事の時間幅を無理に短縮しなくてもOK
時間栄養学を応用した最近の血糖管理におけるトレンドとして、たとえば1日のうち食事を摂る時間を8時間程度に制限し、残りの16時間は断食するといった「時間制限食(TRE)」という方法がある。これは2型糖尿病の血糖改善に有効とされている。
しかし、妊娠中の長時間の断食や極端な時間制限は、強い空腹感や吐き気を引き起こす可能性があり、安全面を考慮すると導入しづらい。また、2型糖尿病で効果的な方法が、そのまま妊娠糖尿病に当てはまるとは限らない。
今回の研究で注目すべきは、「最初の食事から最後の食事までの時間幅」が、遅期グループの8時間18分に対し、早期グループでは平均9時間55分と長かった点である。これはつまり、食事を摂る時間を無理に縮めて、長時間の断食をしなくても、1日の最初の食事時間を早める工夫だけで、夜間の血糖管理が改善しうることを示している。
工夫を味方につける「食べる時間の前倒し」
日々の血糖管理において、「これを食べてはいけない」「もっと我慢しなければ」と自分を追い詰めてしまう患者さんは少なくない。しかし、制限ばかりの生活では、心身への負担が増してしまう。
今回の研究結果は、食事の量や質を厳しく制限するのでなく、「いつ食べるか」という行動の工夫を味方につけることで、無理なく血糖値を改善できる可能性を示唆している。この「食べる時間を少し前倒しする」という発想は、妊娠糖尿病の患者さんはもちろん、2型糖尿病の患者さんにとっても、取り入れやすい実用的な選択肢となりうる。
もし、普段から朝食の時間が遅くなりがちなら、まずは15分でも30分でも早い時間に1日の最初の食事を摂ることから始めてみてはいかがだろうか。
■参考
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