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2026年08月14日

透析中の「腎臓リハビリ」が生存率を改善 700人超を3年間追跡した後ろ向き調査

キーワード
透析 運動/運動療法

 社会の高齢化に伴い、透析患者さんも高齢化の傾向にあることから、身体機能の低下が大きな課題となっている。東京女子医科大学などの研究グループは、血液透析中の時間を活用した「腎臓リハビリテーション(以下、腎臓リハビリ)」の有用性を検討するため、維持血液透析患者を対象とした3年間の後ろ向き調査と5年間の前向き調査から成る多施設共同研究REVEAL-Dを実施。今回示されたのは3年間の後ろ向き調査の結果で、腎臓リハビリが患者の3年生存率を大きく改善することが明らかになったと、Clin J Am Soc Nephrol(2026年7月10日オンライン版)に報告した。

透析治療中の時間を有効活用する「腎臓リハビリ」

 筋肉量が減少して筋力が低下する「サルコペニア」や、加齢とともに心身の活力が低下する「フレイル」は、透析患者さんの間で高頻度に見られ、生活の質(QOL)を大きく損なうだけでなく、死亡リスクにも直結しうる。

 こうした背景から、近年、透析治療そのものに加えて、運動を取り入れることの重要性が認識されるようになった。日本では、透析治療中の時間を有効活用した「腎臓リハビリ」が保険適用されている。

 腎臓リハビリは、単なる運動療法ではなく、運動療法、栄養療法、薬物療法、患者さんの教育、心理・社会的支援を組み合わせた包括的プログラム。多職種が関わり、フレイル・サルコペニアを有する慢性腎臓病患者さんの身体的・心理的影響を軽減し、社会生活への復帰と長期予後の改善を目指すものである。

 しかし、透析中の腎臓リハビリが、実際に患者さんの長期的な生存率とどう関連するかについては、十分に検討されていなかった。

全国の透析患者700人超を3年間追跡した大規模調査

 そこで研究グループは、透析患者さんに対する腎臓リハビリの有用性を検討するため、3年間の後ろ向き調査および5年間の前向き調査を組み合わせた「REVEAL-D研究」を実施した。今回報告されたのは、3年間の後ろ向き調査の結果である。

 対象となったのは、2021年1月時点で全国10施設に通院し、維持血液透析を受けていた成人患者708人。平均年齢は69.8歳、男性が59%を占め、重度フレイル(Clinical Frailty Scale 6以上)の状態にある人が13%だった。既往歴を見ると、糖尿病が44%、心血管疾患が39%だった。

 対象患者を、透析中に腎臓リハビリ指導士の監督下での運動支援と栄養・生活支援の組み合わせを、週1回以上かつ1か月以上にわたって受けた「腎臓リハビリ群」(228人)と、それらの介入を受けていない「非・腎臓リハビリ群」(480人)の2群に分類した。

 追跡期間は3年間、主要評価項目は全死亡だった。

腎臓リハビリ群で、3年生存率が有意に向上

 3年間の追跡期間中に死亡した人の割合は、非・腎臓リハビリ群で23.1%だったのに対し、腎臓リハビリ群では14.9%にとどまった。3年生存率は、非・腎臓リハビリ群の75.6%に対し、腎臓リハビリ群では84.6%と有意に高かった(P=0.007)。

 フレイルの重症度、糖尿病の有無、心血管疾患の既往、喫煙習慣など、生存率に影響しそうな要因を調整後に解析したところ、非・腎臓リハビリ群に比べ腎臓リハビリ群では、死亡リスクが34%低かった(HR 0.66、95%信頼区間0.44~1.00)。

 さらに、患者背景(年齢、性、フレイル度、併存疾患、検査値など)に偏りが生じないよう、傾向スコアマッチングという手法を用いた解析でも、非・腎臓リハビリ群と比べ、腎臓リハビリ群の死亡リスクは35%低く(HR 0.65、95%信頼区間0.40~1.05)、これまでと同様の傾向が認められた。

男性、重度フレイルで、より有効な結果

 興味深いことに、この腎臓リハビリによる生存率の改善は女性よりも男性患者、また既に心身の衰えが進行している重度フレイルの患者においてより強かった。

 腎臓リハビリに関連する有害事象は報告されなかった。

 以上から、研究グループは「透析中の腎臓リハビリは、維持血液透析患者、特に男性および重度のフレイル患者において、生存率の向上と関連しうる」と結論。「世界に先駆けて『透析中の腎臓リハビリ』が保険適用された日本において、実際の医療現場での包括的な腎臓リハビリが患者さんの生存率向上に関連することが、多施設のデータで明確に示された意義は大きい」と評価した。

 現在、REVEAL-D研究の一環として、運動支援、栄養・生活支援、継続状況などを評価する前向き調査が進行中である。これについては「腎臓リハビリをどのような患者さんに、どのような内容で、どの程度実施すると最も効果的かを明らかにしたい」と期待感を示している。

■参考

[ 糖尿病ネットワーク編集部 ]

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