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2026年08月13日
慢性腎臓病向け「メディカルフード」開発へ ~バイオベンチャー、医療機関と連携も~
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- 時事通信社
ワカメや昆布と同じ藻の一種であるミドリムシの研究開発で知られるバイオベンチャー、ユーグレナ(東京)が、ミドリムシに含まれる成分を活用し、慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせる食品の開発を進めている。動物を使った実験では腎臓を保護する効果が示唆されており、医療機関と連携した患者への商品展開も始まった。共同創業者で研究開発を担う鈴木健吾氏は「病気として症状が出る前から、日々の食事や生活でケアをしていくことがとても大事だ」と語る。

髙取優二氏
◇成人の5人に1人がCKD
CKDは腎臓の機能が少しずつ低下していく病気で、国内の患者数は約2000万人、成人の5人に1人に上るとされる。腎臓は悪くなっても自覚症状が出にくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれる。しかも一度機能が落ちると元には戻りにくいため、症状が出る前の日頃の食事や生活での対策が重要になる。
同社が注目するのは、ミドリムシの細胞内にたまる「パラミロン」という多糖類の成分だ。動物実験では、腎臓の機能が悪くなったラットにパラミロンを与えたところ、腎障害で増える尿タンパクの量の増加が抑えられ、腎臓の組織が硬くなったり傷んだりする度合いも小さくなる傾向が確認された。
パラミロンには、体の免疫の働きのバランスを整える作用があるとの報告もある。免疫力に不安のある10人にパラミロンを8週間とってもらった試験では、免疫に関わる血液中の物質の数値に変化が見られ、免疫のバランスが整えられている可能性が示された。鈴木氏は、腎臓の機能が悪化する背景
は体の炎症が関係していることが多く、パラミロンの炎症を抑える働きが腎臓の保護につながっているのではないかとみている。
◇既存薬とは異なるアプローチ
CKDの治療では、体に有害な物質を吸着して外に出す「クレメジン」という薬が使われることがある。腎臓内科が専門の埼友八潮クリニックの髙取優二院長によると、この薬が実際の診療で使われ始めるのは、病気がかなり進んでからのケースが多いという。「本当は使えるものであれば、もっと早い段階から使った方がいい可能性は十分ある」と述べ、より早く取り入れられる選択肢への期待を語った。
パラミロンは薬ではなく、あくまで食品として開発が進められている。腎臓の機能は一度下がると回復が難しいため、薬を使うようになる前の段階で進行を予防したり抑えたりできないかというのが開発の狙いだ。薬による治療や食事の管理と並行して、腎臓を守る一つの手段にしたい考えだという。
人での効果をさらに確かめるには、長期間の観察が欠かせない。鈴木氏は「半年から1年ほど経過を見て、それで足りない部分があれば調べる項目を増やすといった形で対応していきたい」との方針を示した。比較的短期間で分かる数値もあれば、腎臓そのものの働きの変化を確認するにはより長い時間がかかる項目もあるという。

鈴木健吾氏
髙取院長は、病院でCKDと診断されてから対策を始めるのでは遅い場合があると指摘する。高血圧や糖尿病があると腎臓の機能が落ちるスピードが速まり、寿命を迎える前に腎臓の方が先に「寿命」を迎えて透析が必要になるという。「病院に来る前の段階で体に良いことを取り入れ、悪いことを減らせれば、腎臓の機能が落ちていくペースを緩やかにできる可能性がある」と話し、減塩や添加物を控える工夫に加え、こうした食品を取り入れることも一つの選択肢になり得るとの見方を示した。
◇クリニックへの導入も
同社はパラミロンを含む既存商品について、一部の医療機関への導入を今年から始めた。実際に取り入れているクリニックも出てきているという。今後は医療機関と協力しながら効果の検証や商品開発を進め、早期の新製品展開につなげたい考えだ。
鈴木氏は「CKDが将来、自分や家族の生活を大きく損なう可能性があることを正しく知ってもらった上で、解決策の一つとしてこの食品を役立ててもらいたい」と話す。髙取院長も、病気を予防する意識が社会全体で高まることへの期待を示した上で、患者にとって選べる方法が増えることの意義を語った。(江川剛正)
[時事通信社 2026年8月12日]
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