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2026年08月21日

「人工甘味料は砂糖の代わり」にならず―高摂取でCKDの発症リスクが上昇

 「人工甘味料」は、カロリーを大幅に抑えられ、血糖値への影響が少ないとされるため、砂糖の代わりとなる便利な存在として、糖尿病管理においても広く浸透している。しかし、人工甘味料の摂取が腎臓の健康、特に慢性腎臓病(CKD)の発症にどのような影響を与えるかについては議論の余地がある。中国の研究グループは、英国のコホート研究UK Biobankを用いて、人工甘味料の摂取とCKD新規発症との関連を検討。人工甘味料の摂取はCKD新規発症リスクの上昇と関連すること、CKD予防において砂糖の代替品とはならないこと―などが明らかになったと、J Nutr Health Agingに報告した。

研究ごとに異なる腎への影響

 糖尿病治療において、食事や体重の管理は非常に重要な柱である。砂糖の代わりに人工甘味料を利用している人もいるだろう。しかし医療現場では、「人工甘味料は、長期的に見て本当に健康に影響がないのか」について議論されてきた。特に糖尿病患者さんは、高血糖の持続によって腎臓の微細な血管がダメージを受けやすく、将来的にCKDが発症・進行するリスクを抱えている。腎機能は、一度低下すると元に戻すことは難しいため、生活習慣の中で腎臓を守る努力を重ねることは極めて重要となる。

 これまでの研究から、砂糖入り甘味飲料の過剰摂取が、肥満や代謝異常を引き起こし、CKDのリスクを高めることは広く知られている。しかし、その代替品として推奨されることもある人工甘味料入りの甘味飲料が腎機能に与える影響については、研究ごとに結果が異なり、結論は一貫していなかった。

UK Biobankの登録者156,000人を中央値で13年間追跡

 そこで研究グループは今回、英国の大規模コホート研究UK Biobankのデータを用いて、人工甘味料の摂取とCKDの新規発症リスクとの関連を検討した。

■対象
UK Biobankに登録された40~69歳の参加者156,000人(平均年齢56.8歳、女性54.5%)

■除外条件
・ベースライン時にCKDの既往がある人、尿アルブミン30mg/L超の人
・食事調査の回答不備などにより、人工甘味料の摂取量を正確に把握できなかった人

■対象の分類
人工甘味料の摂取量に応じて3群に分類
①非摂取群
②低摂取群(1日あたり小さじ4杯未満)
③高摂取群(1日あたり小さじ4杯以上)

■追跡期間
中央値で13.3年間

■CKD新規発症の定義
国際疾病分類(ICD)コードによる新規診断またはeGFR 60 mL/min/1.73m²未満

 日常的な食事内容や飲料の摂取状況は、詳細な栄養調査(24時間思い出し法や食事頻度質問票など)を用いて収集。1日あたりに摂取している人工甘味料の総量や、人工甘味料入り飲料、砂糖入り甘味飲料の摂取頻度を高精度に算出した。

高摂取群でCKDリスクが19%高かった

 中央値で13.3年の追跡期間中に、6,022人が新たにCKDと診断された。

 年齢、性、人種、BMI、喫煙状況、飲酒量、身体活動量、栄養状態、高血圧や糖尿病といった併存疾患の有無、服薬状況など、CKDの発症に関与しうるさまざまな要因の影響を調整したうえで解析したところ、非摂取群と比べて高摂取群で、CKDの新規発症リスクが19%高かった〔ハザード比(HR)1.19、95%信頼区間(CI)1.08~1.30、P<0.001〕。

 また、人工甘味料の摂取量が増えるにつれ、段階的にCKDの新規発症リスクが上昇するという「用量反応関係」も確認された(1標準偏差増加あたりの多変量調整HR 1.04、95%信頼区間1.02~1.06、P<0.001)。

 CKDの遺伝的リスクの評価指標である「CKD-PRS(ポリジェニック・リスク・スコア)」を用いて、遺伝的リスクと人工甘味料の摂取量がCKDの新規発症に及ぼす複合的な影響について検討。解析の結果、非摂取かつ低CKD-PRSのグループに比べて、高摂取かつ高CKD-PRSのグループでは、CKD新規発症リスクが49%高かった(HR 1.49、95%信頼区間1.28~1.74、P<0.001)。

 特定の条件が組み合わさることで、結果が変わるかどうかを確認するため、交互作用解析を行ったところ、人工甘味料の摂取量とCKD-PRSの間に明らかな交互作用は認められなかった(交互作用のP=0.23)。これは、人工甘味料の摂取とCKD発症との関連が、PRSの程度によって大きく異なるわけではないことを示唆するものである。

砂糖を人工甘味料に置き換えても、CKDの発症抑制につながらず

 CKD発症リスクの観点から、人工甘味料が砂糖の代替品となりうるかを検証した置換解析では、興味深い結果が得られた。砂糖9gを、同等の甘さを持つ人工甘味料(小さじ1杯)に置き換えた場合、CKDの新規発症リスクは低下せず、逆にわずかに上昇した(調整後HR 1.02、95%信頼区間1.01~1.04、P<0.001)。研究グループは、「砂糖を人工甘味料に置き換えても、CKDの発症抑制にはつながらない」としている。

 性別、年齢別、肥満度別、疾患別のサブグループ解析では、非摂取群と比べて、高摂取群でCKDの新規発症リスクが高く、その傾向は特に女性、60歳未満、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの代謝性疾患のない人で顕著だった。これは、糖尿病などの疾患がない人であっても、人工甘味料の多量摂取には注意が必要であることを示すものである。

 以上から、研究グループは「人工甘味料の摂取はCKD発症リスクの増大と関連しており、この関連は、CKDの遺伝的リスクのレベルによらず認められた。また、砂糖の代わりに人工甘味料を使用しても、腎機能へのメリットはなさそうだ」と結論。「人工甘味料の摂取とCKDの新規発症との関連については、大規模な前向き研究での更なる検討が必要だ」とコメントしている。

 糖尿病患者さんの血糖管理において、「砂糖の代わりに人工甘味料を使えば大丈夫」との考えには再考の余地がありそうだ。もちろん、血糖管理のために人工甘味料を活用する場面はあるかもしれないが、長期的な腎機能の保護という観点からは、人工甘味料に頼りすぎないことが望ましいのかもしれない。

■参考

[ 糖尿病ネットワーク編集部 ]

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