ニュース
2024年01月10日
歩数を1000歩増やすことを目標に ウォーキングで糖尿病を改善できる 1日にどれだけ歩くと良い?
1日の歩数を1,000歩増やすだけで、毎日続けることで糖尿病を改善できることが明らかになった。
運動習慣のなかった人が、5年間をかけて1日の歩数を1万歩に増やすのに成功すると、インスリン感受性が3倍改善し、血糖値を下げるインスリンが働きやすい体に変わるという。
ウォーキングなどの運動をする習慣は、新型コロナの発症や重症化、死亡のリスクを低下させることも分かった。
歩数計や活動量計を持ち歩くと、歩数を増やせるという研究も発表されている。
1日の歩数を1000歩増やしただけでも糖尿病を改善できる
毎日の歩数を増やすだけで、糖尿病のリスクを軽減でき、肥満を予防できることが明らかになっている。 1日の歩数を1,000歩増やすことを、毎日続けるだけで、インスリン感受性が改善し、血糖値を下げるインスリンが効きやすい体に変わっていく。内臓脂肪が減り、体重やウエスト・ヒップ比なども減少する。 1日に10分以上歩くと、歩数を1,000歩増やせる。これは、がんばって肩に力を入れて歩かなくても、毎日の生活で少し工夫するだけで楽に達成できる目標だ。 さらに、5年間をかけて1日の歩数を1万歩に増やすのに成功した人は、インスリン感受性が3倍改善するとしている。多くの人は、1日の歩数を3,000歩増やすことで、この目標を達成することができる。 「ウォーキングは手軽に取り組める運動で、確かな効果を期待できます」と、がんや心臓病、糖尿病などの研究プロジェクトに携わっている英オックスフォード大学のテリー ドワイヤー名誉教授は言う。 「ウォーキングにより、インスリン感受性を向上でき、体重も減らせることを、長期間の研究で確かめました」としている。 研究グループは、オーストラリアで実施された大規模コホート研究に参加した、平均年齢50.3歳の男女592人を5年以上追跡して調査した。参加者に活動量計を配布し、その使い方や運動について指導した。 体格指数(BMI)、ウエスト・ヒップ比、インスリン抵抗性の指標となるHOMA-IRなどについても調べた。1日の歩数を増やすことは、BMIやウエスト・ヒップ比の低下、さらにはインスリン抵抗性の改善と関連していた。歩数計を持ち歩くと歩数を増やせる 1日に8200歩以上が目標
運動をする習慣は新型コロナのリスクも低下させる
運動をしている人は新型コロナの重症化リスクが低い
新型コロナの影響で運動不足の人が世界中に増えている
欧州心臓病学会(ESC)が発表した別の研究では、新型コロナのパンデミックの影響で、身体活動量が減少し、運動不足になった人が増え、ポストコロナの現在も回復していないことが懸念されている。 運動不足は、世界の4分の1以上の人に影響を及ぼし、とくに女性や、高所得国に住んでいる人で深刻だという。 研究では、とくに60歳以上の高齢者の死亡リスクは、1日に6,000歩~1万歩を歩いている人で42%減少し、7,000歩~1万3,000歩を歩いている人で49%減少することが示された。 研究グループは、17件のコホート研究に参加した、平均年齢が64歳の計22万6,889人の参加者のデータを解析した。 「心血管疾患などをターゲットとした新しい治療薬が開発されていますが、食事や運動などの生活スタイルの改善は依然として重要です」と、ポーランドのウッチ医科大学の心臓病学部のマチェイ バナッハ教授は言う。 「運動不足の人が増えているなかで、あらゆる原因による死亡を大幅に減らすには、1日の歩数を増やすことが必要です」。 「座ったまま過ごす時間が長い生活スタイルが、心血管疾患などの増加や寿命の短縮に関連していることを示した研究は多く発表されています」としている。Taking more steps every day can help ward off diabetes (BMJ-British Medical Journal 2011年1月14日)
Association of change in daily step count over five years with insulin sensitivity and adiposity: population based cohort study (BMJ 2011年1月13日)
Counting steps can reduce disease risk, study finds (ヴァンダービルト大学医療センター 2022年10月10日)
Association of step counts over time with the risk of chronic disease in the All of Us Research Program (Nature Medicine 2022年10月10日)
Association between physical activity and risk of COVID-19 infection or clinical outcomes of the patients with COVID-19; A systematic review and meta-analysis (Journal of Preventive Medicine and Hygiene 2023年8月1日)
World's largest study shows the more you walk, the lower your risk of death, even if you walk fewer than 5,000 steps (欧州心臓病学会 2023年8月8日)
The association between daily step count and all-cause and cardiovascular mortality: a meta-analysis (European Journal of Preventive Cardiology 2023年8月9日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
運動療法の関連記事
- ストレスは糖尿病と肥満のリスクを高める ストレス対策が必要 ウォーキングなどの運動が効果的
- 夜に明るい光を浴びると糖尿病リスクが上昇 朝の日光浴で体内時計をリセット 光で概日リズムを調節
- 魚を食べると糖尿病リスクは低下 小魚を食べる食事スタイルが寿命を延ばす 魚の油が脂肪燃焼を促進
- 糖尿病の人は腰痛リスクが高い ウォーキング・ヨガ・太極拳・気功は腰痛に効く 体を動かすことが大切
- 糖尿病の人のメンタルヘルスを改善 手軽にできる3つのストレス解消法 心と体をケア
- 夕方から夜のウォーキングが血糖値を下げる 糖尿病や肥満のある人に運動がおすすめ 睡眠も改善
- 暑い夏の水分補給 甘い飲み物を水に置き換えると糖尿病リスクは低下 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」
- スマホで写真を撮ると食事改善がうまくいく 糖尿病の治療に活用 食事の振り返りができる
- 掃除や買い物などの家事も立派な運動? わずか20分の活動が糖尿病を改善 「座っている時間」を中断して体を動かす習慣を
- 楽しく歩きつづけるための「足のトリセツ検定」をスタート 糖尿病の人にとっても「足の健康」は大切