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2024年10月22日

チーズなどの乳製品が糖尿病リスクを減少 朝に食べると血糖管理が改善 チーズをとる習慣は認知機能の高さとも関連

 チーズなどの乳製品を食べる習慣があると、糖尿病や高血圧のリスクが減少することが、大規模な調査で明らかになっている。

 糖尿病のある人が血糖管理を良くするために、朝食では牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品もとるようすると効果的という研究も発表されている。

 チーズを食べる習慣が健康的であることは、日本人を対象とした新しい研究でも示されている。

 チーズ、とくにカマンベールチーズを食べる習慣が、認知機能の高さと関連することが、日本の高齢女性を対象とした疫学研究により明らかになった。

チーズやヨーグルトを食べる習慣があると糖尿病や高血圧のリスクが減少

 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品には、タンパク質や脂肪だけでなく、骨に良いカルシウムなどのミネラル、ビタミンも含まれる。

 チーズなどの乳製品を食べる習慣があると、2型糖尿病や高血圧のリスクが減少するだけでなく、心血管疾患のリスクを高める肥満やメタボも改善することが、19万人を平均9年間追跡した大規模な調査で明らかになっている。

 研究グループは、大規模な調査である「前向き都市農村疫学(PURE)研究」に参加した、21ヵ国の35~70歳の成人を対象に調査した。

 その結果、乳製品を1日2回以上食べる習慣のある人は、肥満・メタボのリスクが24%低く、高血圧と2型糖尿病のリスクも11~12%低いことが明らかになった。

 「今回の研究は観察研究であるため、原因を特定することはできませんが、乳製品を十分に食べることは、世界中で増えている肥満やメタボ、高血圧、2型糖尿病、さらには心血管疾患のリスクを減らすための、実現可能で低コストなアプローチとなる可能性があります」と、研究者は述べている。

朝食で乳製品をとると1日を通して血糖値の管理が改善

 朝食ではパンやシリアル、バナナなど糖質を多く含む食品しか食べないという人は多いが、糖尿病のある人が血糖管理を良くするために、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品もとるようすると効果的という研究を、米ブリティッシュコロンビア大学も発表した。

 「食生活を全体的に見直すのは大変なことですが、朝食を少し変えるだけでも効果があることが示されました。毎日を忙しく過ごしていて、食事の管理が難しいという人は多くいますが、朝食だけなら工夫できるのではないでしょうか」と、同大学健康・運動化学部のバーバラ オリベイラ氏は言う。

 「2型糖尿病とともに生きる人を悩ませていることのひとつに、食後の血糖値の上昇があります。今回の研究で、朝食の糖質を減らし、タンパク質や脂肪を十分にとると、1日を通して血糖値の管理が改善することが示されました」としている。

 研究グループは、2型糖尿病のある平均年齢64歳の男女を対象に、12週間の試験を行った。参加者を無作為に2つのグループに分け、1つには[糖質は多め、タンパク質・脂肪は少なめ]の朝食を、もう1つには[糖質は少なめ、タンパク質・脂肪は多め]の朝食をとってもらった。

 その結果、両グループで体重・体格指数(BMI)、ウエスト周囲径には大きな差はなかったが、低糖質の朝食をとったグループは、血糖値の変動が少なく、血糖値が下がり血糖降下薬の服用量を減らすことができた人もいた。

チーズなどの乳製品に含まれる天然の脂肪が糖尿病リスクを減少

 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品に含まれる天然の脂肪が、2型糖尿病のリスクを大幅に減らす可能性があるという別の研究を、ハーバード公衆衛生大学院(HSPH)も発表している。

 研究グループは、米国で実施された大規模研究「心血管・健康スタディ(CHS)」に参加した3,736人の成人を20年間追跡したデータを解析した。

 乳製品にはトランスパルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸も含まれる。研究グループは、参加者のこの脂肪酸の血中濃度を測り、糖尿病の発症などとの関連を調べた。

 その結果、この脂肪酸のレベルが高いほど、血中コレステロール、炎症マーカー、インスリンレベル、インスリン感受性が良好である傾向が示された。

 この脂肪酸のレベルがもっとも高いグループは、もっとも低いグループに比べ、2型糖尿病を発症するリスクが約60%と大幅に低いことが分かった。

 「これまでの研究でも、乳製品の摂取量が多いと糖尿病のリスクは低くなる傾向があることが報告されています」と、同大学院疫学部のダリウシュ モザファリアン氏は述べている。

 「体内にある不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸は、炎症を抑えることで、血糖値を下げるインスリンの働きを良くするなどの作用があると考えられます。乳製品に含まれる天然の脂肪酸であるトランスパルミトレイン酸は、これに似た働きをしている可能性があります」としている。

チーズを食べる習慣が認知機能の高さとも関連

 チーズを食べる習慣が健康的であることは、日本人を対象とした新しい研究でも示されている。

 チーズ、とくにカマンベールチーズを食べる習慣が、認知機能の高さと関連することが、日本の高齢女性を対象とした疫学研究により明らかになった。

 研究は、東京都健康長寿医療センター、桜美林大学、明治などによるもの。研究成果は、栄養学の国際学術誌「Nutrients」に掲載された。

 研究グループは、東京都板橋区在住の65歳以上の高齢女性1,035人を対象に、機能的能力や認知機能をスクリーニングする検査を行い、食品摂取や日頃の生活習慣、身体状態と認知機能の関連を評価する横断研究を行った。

 その結果、チーズを週に1回以上食べている人は、チーズを食べない人に比べ、認知機能のスコアが高く、とくにカマンベールチーズを食べている人はその傾向が強いことが分かった。

 さらに、チーズを食べている人は、ふくらはぎの周囲径が大きく、握力が強く、通常歩行速度が速く、食品摂取多様性スコアが高く、老年期うつ病評価尺度のスコアが低いことも示された。

 「年齢が若い」「通常歩行の速度が速い」「嚥下機能が維持できている」といったことも、認知機能の高さと関連する重要な因子であることも分かった。なお、チーズを食べる習慣のある人は、全体の85.3%だった。

チーズを食べる習慣が高齢女性の認知機能の高さと関連

出典:明治、2024年

Dairy-rich diet linked to lower risks of diabetes and high blood pressure (BMJ 2020年5月18日)
Association of dairy consumption with metabolic syndrome, hypertension and diabetes in 147 812 individuals from 21 countries (BMJ Open Diabetes Research & Care 2020年5月18日)
Cutting breakfast carbs can benefit people with Type 2 diabetes (ブリティッシュコロンビア大学 2023年5月31日)
Impact of a Low-Carbohydrate Compared with Low-Fat Breakfast on Blood Glucose Control in Type 2 Diabetes: A Randomized Trial (American Journal of Clinical Nutrition 2023年7月)
Component in common dairy foods may cut diabetes risk (ハーバード公衆衛生大学院 2010年12月20日)
Trans-Palmitoleic Acid, Metabolic Risk Factors, and New-Onset Diabetes in U.S. Adults: A Cohort Study (Annals of Internal Medicine 2010年12月21日)
Association between the Intake/Type of Cheese and Cognitive Function in Community-Dwelling Older Women in Japan: A Cross-Sectional Cohort Study (Nutrients 2024年8月22日)

食育:食を知る・楽しむ (株式会社 明治)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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